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南の島の生命賛歌 23KB 観察 自業自得 群れ 自然界 現代 独自設定 うんしー 南の島のまりさ続編です 『ふたば系ゆっくりいじめ 777 南の島のまりさ』の続編です。 読みにくいところが多いと思いますが、ゆっくりしていただければうれしく思います。 独自設定多めです。ご注意ください。 設定 地理:亜熱帯気候に位置する無人島です。 絶海の孤島で、島の周囲のほとんどは断崖絶壁に囲まれています。 観察者:避難小屋に拠点を置き、周辺の漁師らの協力を得ながら観察しています。 避難小屋は島周辺で漁をすることもある近隣の島々の漁師たちが悪天候 に見舞われた際の避難所として使っているものです。 南の島のまりさ2 『南の島の生命賛歌』 季節は晩秋、とはいえ常夏の陽気に包まれたこの島に劇的な気候の変化は現れない。 夏に比べて若干降雨量が減少する程度で、依然として島は花に、虫に、海は魚に、その他 の小動物たちにあふれていた。しかし、この時期になると干潮を迎える時間帯が次第に夜 間へと移行していく。そのため、まりさ種以外でも海に漁にでかけられるようになるが、 夜の海は捕食者たちが動き出す危険な場所であった。また、視界も悪いため、この季節に なると食料は海での漁よりも林での狩りに依存する割合が高くなっていく。 この島の数少ない穏やかな海岸にある、ゆっくりのコロニー。 そこに一つの変化があった。 長く長老として群れを率いてきた老ぱちゅりーが息を引き取ったのである。 老ぱちゅりーは死ぬ場際、その枕元に、次のリーダーとなる若きぱちゅりー、ずっと長老 を支えてきたぶれーんの老ありす、群れ一の狩りの名手である父まりさらを集めた。 枯れ草を積んだベッドの周りに集まった面々をじろじろと疲れた目で見回した後、老ぱち ゅりーは口を開いた。 「げほっげほっ…もうぱちぇと一緒に海岸に引っ越してきた仲間たちは、みんな永遠にゆ っくりしてしまったわ…げほっ…最期の言葉…みんなに伝えておきたいことが、げほっ」 老ありすが優しくすーりすーりをする。みな、一言も言葉を発せずに、老ぱちゅりーの次 の言葉を待った。 「ありすは知らないんだったわね…げほっげほ…ぱちぇたちが山から逃げてきたことを…」 「ええ、ありすは逃亡中にゆっくり生まれた世代だわ。」 「ぱちぇたちのむれは最初、山の中にいたの…お水さんが豊かで、木陰もたくさん、カニ さんも虫さんもたくさんいた、とてもゆっくりしたぷれいすだったわ。」 「すごいわ!ぱちぇもおばちゃまのその、ゆっくりぷれいすに行って見たいわ!」 老ぱちゅりーの話に興味を示す若ぱちゅりー。 しかし、老ぱちゅりーは静かに首を横に振った。 「げほっげほっ…ひゅー…ひゅー…ぱちぇたちは逃げてきたの…山の中はとてもゆっくり できたけど、ゆっくりしているのはぱちぇたちだけじゃなかったのよ…ひゅー…」 老ぱちゅりーは呼吸を整えるのに数分を要した。 「…むきゅ…山の中には魔物がいるの」 老ぱちゅりーの話をまとめるとこうだ。 山の中は水・食料とも豊かだが、それを奪い合う、さらにはゆっくりを食べようとする魔 物がいるという。魔物は三種類いるらしい。 まず、キングベヒんもス 名前はこれに襲われたてんこが、「き、キングベヒんもス…」という言葉を残して事切れ たことに由来する。ゆっくりの巣を壊し、掘り起こし、ゆっくりが蓄えたエサやゆっくり 自身を捕食するという。前述のてんこは山にあったいくつかの群れの一つのリーダーだっ たが、この群れは三匹のキングベヒんもスによって全滅した。老ぱちゅりーによれば、豚 さんという生き物ではないか、という話だった。 次に、ぴかぴか 名前はこの魔物の目が夜間に爛々と輝くことからきている。物音一つ立てずに忍び寄り、 ゆっくりを永遠にゆっくりさせてしまうらしい。実質的な被害はキングベヒんもスに比べ ればたいしたことはなかったみたいだが、一度その姿を見ると恐怖のあまり死ぬまでしー しーを垂れ流したゆっくりが続出したらしい。時折、ものすごい声で鳴くことがある。 最期に、赤ゆ泥棒 名前はこの魔物は夜間に巣に音もなく忍び込み、赤ゆたちをさらっていくことに由来する。 子ゆっくりぐらいのサイズでもさらわれたことがあるらしいが、成体が襲われることはな かったという。 ぴかぴかと赤ゆ泥棒は夜行性、特に、赤ゆ泥棒は昼間の襲撃例は一つもない。 しかし、ぴかぴかは少数だが、夕方、明け方に襲われた事件もあり、明るいからといって 油断はできないという。 話を聞き終わったゆっくりたちはあまりの恐怖にゆっくりできなかった。 父まりさなどは、巣にいる新しい赤ゆたちが無事かどうか確認したくて気が気ではないよ うだ。 「ごほっ…う…ここも決して安全ではないけど…あの三種類の魔物に比べればたいしたこ とないわ。もし、ここにもあの三種類の魔物が来るようになったら他のゆっくりぷれいす を探しなさい…う!げほげっほっ!!」 老ありすが老ぱちゅりーの背中をすーりすーりする。 「今はみんななんだかんだで穏やかに暮らしてるわ。むきゅう…すてきなことね…げほっ でも、このゆっくりらいふは…当たり前のことじゃ…げほげほっ!!」 「おばちゃま!」 「次のりーだーはぱちぇよ…ひゅー…ひゅー…ゆっくり……」 こうして老ぱちゅりーは永遠にゆっくりし、山での生活や、海岸での生活を切り開いた実 体験を持つ世代はいなくなった。この先どのように転ぶにしろ、この群れは新しい時代を 迎えつつあった。 晩秋、雨季最後の長雨が何度か続く、ある日の夕方、山の奥の水源地から「それ」はやっ てきた。最初に異変に気づいたのは狩りに出ていた父まりさだった。 「ゆ?ここなっつの林さんが真っ赤だよ!!ゆっくりできないよ!!」 真っ赤なカーペットのようなものが、少しずつ、染みが広がるように海へと広がってくる。 這い寄る混沌、というものを見たとしたら、こんな感じだろうか? 「あれは?…カニさんだよ!!ゆっくりできないカニさんの群れがやって来たよ!!」 それは雨季最期の大潮に一斉産卵を海で行うアカガニの群れだった。 数万匹?いや数十万匹だろうか?そのすべてが卵を抱えた雌であり、ただ産卵をするため だけに海へと殺到する。その途中にあるものは、倒木だろうが、谷だろうが、ゆっくりの 巣だろうが情け容赦なく蹂躙し、ただただ海を目指していた。 「ゆゆ!かわいいかわいいれいむに食べられに来たんだね!いいこころがけだよ!ゆっく り死んでね!」 中にはカニがたくさん食べられると喜ぶゆっくりもいたが、巣の中、どこへでも入り込ん で来るため、すぐに大騒ぎになった。 「やめてね!入ってこないでね!カニさんゆっくりしないで出てってね!」 「ちねくちょがに!れいみゅのたからもにょかえちぇ!かえちて!ゆえええええええ!」 中には食べ物やたからものをアカガニに持っていかれて泣き喚いているゆっくりもいた。 この時期のアカガニは産卵に全力を注ぐため、ほとんど摂餌などは行わない。 ゆっくりのエサやたからものなど見向きもしないはずなのだが、余程気に入らなかったの だろうか?ゆっくりたちにつぶされても、吹っ飛ばされても、他の個体が拾い上げ、まる でバケツリレーのようにそれらは海へと持ち去られていった。食料などの貯蔵庫は、備蓄 品の管理や内装・道具の加工を担当するありす種がフタをしたため、入り込まれることは なかったが、何百というアカガニに侵入され、群れは大混乱を起こしていた。 その一方で、この大量のアカガニはいい獲物でもあり、普段狩りをしないれいむ種なども 外でアカガニを追い掛け回していた。なにせ、今は産卵にのみ集中しているのか、攻撃さ れても反撃よりも、海へ向かって逃げるほうを選ぶアカガニが多い。 かつてタカラガイにこだわっていた子まりさの妹は、子れいむといえるサイズにまで成長 していた。子れいむは大好物のカニの大群を相手に無双乱舞を披露していた。 「ちね!ちね!くちょがに!きゃわいいれいむのためにちね!」 かつて姉のまりさに作ってもらった狩り用の棒を振り回し、あちらこちらのアカガニへと 叩きつける。通常、ゆっくりの棒切れ程度ではこのサイズのアカガニを潰すことはできな いのだが、子れいむの執拗な攻撃によって脚が何本がもげ、片目がつぶれたアカガニは、 体当たりによって岩に叩きつけられ、ぐったりと黒い泡を吹いて動かなくなった。 子れいむは器用に小石を投げつけ、外骨格にひびが入った部分を棒で執拗に殴りつける。 「ゆへ!ゆっはー!れいむの強さ!おもいちったか!」 得意げにもみあげをぴこぴこわさわさするれいむ。アカガニのキチン質の甲殻の隙間から は黄色い内臓が飛び出、大事に山から抱えてきた卵は辺りに散乱していた。それをなめと るように食べていく子れいむ。 「うめ!これめっちゃうっめ!」 このアカガニの産卵大移動は毎年恒例であり、ゆっくりの巣も少なからず被害を受けるも のの、まだ幼いゆっくりに栄養価の高い卵やカニを食べさせることで、成長を促進する大 切な季節イベントでもあるのだ。そもそも、ゆっくりの跳ねる速度で捕らえられるカニは 限られており、そのようなカニは甲殻が堅く、岩場で割るにも一苦労するものが多い。 だが、今なら、海岸にものすごい数が集中しているため、適当に石を投げるだけでもアカ ガニを仕留めることができる。海岸で生きる上で、このアカガニのように産卵のために集 まってくる生物は貴重な食料源なのだ。 あの子まりさも石や棒切れを使ってカニを次々と仕留め、新しい妹たちへのごはんを集め ている。(既に子まりさと表現し辛いサイズまで成長しているのだが、便宜上この表現を 使わせていただく) 「ふう、れいむはもうおなかいっぱいだよ!」 アカガニを三匹平らげた子れいむは巣に戻って、お昼寝しようとしていた。 しかし(巣内はそれどころではないのだが)、アカガニがなにやらきらきらしたものを持っ てゆっくりの巣から海へと歩いていく。 「ゆ?しょくもつれんちゃのてーへんが、ゆっくりからたからもにょをうばおうなんて、 ゆるちぇないよ!げちゅはせーさいするよ!それはれいむがもらっちぇあげるよ!」 子れいむは巣から誰かのタカラガイを持ち去ろうとしたアカガニにとびかかり、三秒後 には十三匹のカニにはさまれていた。 「ゆげえええええええええ!!ばばじぇくじょがにいいい!!」 余程存在が腹立たしかったのか、アカガニは何をするわけでもなく、ただひたすら子れい むをはさみ続けていた。一匹のアカガニがぴこぴこわさわさと動くもみあげをはさみでつ かむ。 「やめりょおおお!れいみゅのきゃわいいもみあげにじゃわるなあああ!ちね!くじゅ…」 ぶちぶちぶち 「ゆぎゃああああああ!!れいみゅのぴこぴこきゃわいいもみあげがあ゛あ゛あ゛!」 アカガニは引きちぎったもみあげを口にしたが、食事に興味がないのか、美味しくなかっ たのか、泡と一緒に口から出して捨ててしまった。 「あぎゃああああああああああ!!」 そうしている間にも、髪を、口を、リボンを、あにゃるを引っ張られ、子れいむが悲惨な 姿になっていく。 「ゆ゛え゛え゛え゛!!どぼじででいぶがごんなめじいいいい!!!」 そこへ子れいむの異常に気がついた父まりさと子まりさが駆けつける。 「れいむー!今ゆっくりしないで助けるよ!」 「カニさん永遠にゆっくり死ね!」 父子まりさが数匹のアカガニを棒で叩きつけると、アカガニたちは我に返ったかのように 海への向かって走っていった。 「ゆぎゃああああ゛いじゃい!いじゃいよおお!どぼじでぼっどばやぐたじゅげにごない の!ばかなに!じぬにょ?」 「どぼじでぞんなごというのおおおおお!?」 子れいむの暴言に餡子がペタフレアした子まりさを押さえるように父まりさが割って入る。 「ケンカはあとだよ!ゆっくりしないでぱちゅりーたちのところにれいむをつれてくよ!」 「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」 二匹のまりさは泣き喚き暴言を二人に向かって機銃掃射する子れいむを抱えて、巣の奥に いるぱちゅりーのもとへと連れて行った。その後には子れいむのあにゃるからもれたうん うんが点々と残っていた。 その日の夜、多大な犠牲を払ったアカガニたちは一斉産卵を行った。 海水に体を洗われながら、全身をふるわせ、ゾエア幼生を海に放っていく。 たまに、卵塊ごと落下してしまうものもあったが、海中で孵化し、ゾエア幼生は新しい世界 へと拡散していった。 翌朝、海岸を埋め尽くすほどのアカガニの死体が残された。 ゆっくりたちはこの数日のうちに確実に肥え、巣の各地ですっきりーが行われることになっ た。他の地域のゆっくり同様、ゆっくりたちの集団繁殖を促す要因は栄養状態である。一般 的にゆっくりは越冬後、新たに豊富な食料を集められる春が到来したことですっきりを行う。 その行動は、気温の上昇と栄養状態の二つがカギになっていると考えられてきた。 しかし、ここ南国のゆっくりたちは、常に温暖な環境に棲息しており、栄養価の高いエサを 豊富に摂取した状態になると年中すっきりすることが確認された。その中でも、このカニの 大移動、産卵に伴う一斉すっきりは、この島の生態系に適応した繁殖戦略といえる。 だが、生物が産卵のために一箇所に集中する現象はときにゆっくりたちに悲劇をもたらした。 あのカニの産卵から数日後、群れのまりさつむりたちは一斉に夜の海に繰り出していた。 まだ生きている弱ったカニを選別し、ついでに潮が引いた海岸の付着性二枚貝、貝殻の薄め の巻貝、ヤドカリなどを集めていた。太陽の光が和らぐ、これからの季節には軟らかくて食 べやすい海藻も期待できた。主だった食用海藻は夏場はその強烈な太陽光線が生育を阻むた め、冬が盛期となるのだ。 まりさつむりが夜の漁に動員されたのは、夜間は強力なはさみを持ったカニ類が活動するた めである。野球ボール以上の大きさのまりさつむりならば、貝殻の中に身を隠すことで、潮 間帯のたいていの捕食者をやり過ごすことができる。カニ類は夜行性というよりは、潮の干 満に合わせた活動リズムを持っているため、夜だから特に危険というわけではない。しかし、 夜間の狩りは視界が不明瞭であり、月の光だけでは十分な警戒が行えないため、生存性の高 いまりさつむりが選ばれたのである。 「ゆ!ゆっくりできないカニさんだよ!」 大きなカニの接近を察知したつむりが殻の中に閉じこもる。そのとき、入り口を拾った小石 や貝殻の破片でふさげば「ぜったいぼうぎょ」の完成である。 カニははさみでつむりの貝殻を割ろうとするが、このサイズのカニには厚すぎるようだ。 「ゆ!ゆ!まりさはここにいないよ!ばかなカニさんはゆっくりいなくなってね!」 しばらくしてカニがいなくなると、つむりはひょっこり顔を出し、エサの収集を再開する。 「ゆゆゆ!まりさのぜったいぼうぎょを崩そうなんて無駄な足掻きだったね!」 高笑いをしながらタイドプールの回りのエサを集めるまりさつむり。 そのとき、水面下に危険な眼があることには気がついていなかった。 「この貝さんはおいしいよ!ゆっくりできるね!」 また一つおいしそうなエサを見つけて貝殻にしまい込むまりさつむり、次の瞬間なにかに 貝殻を絡め取られ、水中へと引っ張られる。 「ゆゆ?なに!?なんなの?」 すかさず貝殻に引っ込み、フタをしめる。 「まりさはここにいないよ!ぜったいぼうぎょの前にゆっくりしないであきらめてね!」 まりさつむりを水中に引きずり込んだのは大きなタコだった。タコはつむりを口元に抱え るとそのまま水中の物陰で動こうとしない。 つむりは焦っていなかった。捕食者がいなくなった後、素早く水上にでなければならない がこの場所に深いタイドプールはないはずだった。 「ゆー!ゆっくりしないでまりさを放してね!まりさはとってもかわいいんだよ!」 つむりがタコに捕らえられ10分ほど経ったときだった。 小さな音と共に、つむりの貝殻に小さな穴があき、つむりの体にちくりとした痛みが走る。 「なに?なんなの?ゆっくりできな…うべえええええええええ゛!!!」 つむりは急にに気持ち悪くなり、餡子を吐いてしまった。息苦しくて餡子がとまらない。 「ぎぼじわるいいいい゛!だじゅげで!」 つむりが今の状況を忘れて貝殻から顔を出すのに時間はかからなかった。 「ぐばっぼみじゅじゃんはゆっくじ…!!!!!」 次の瞬間タコの腕に絡め取られ、貝殻から本体のみ引っ張り出される。つむりはそのまま タコの鋭いくちばしでかじられていった。 「!!!!!」 タコは貝やカニを捕食する際、殻に小さな穴を開けて毒を注入することが知られている。 毒で麻痺させた後に、貝殻から中身を引っ張り出したり、カニをばらばらにして食べるの だ。しかし、このタコはまりさつむりを少しかじるとすぐ捨ててしまった。 タンパク質性のエサを好むタコは、炭水化物の塊である饅頭に価値を見出さなかったので あろう。 タコから開放されたものの、つむりは水中で麻痺状態にあり、このまま何もできずに溶け ていくしかなかった。 同様の悲劇は他のつむりにも起こっていた 「ゆあああ!タコさんだああああ!ゆっくり貝殻に避難するよ!」 「ゆげええ゛ぎもじば…おぼぼぼぼぼぼぼ」 タコはカニが大好物である。おそらく、この前のアカガニの集団産卵に魅かれて浅瀬へ来 たのであろう。かなりの数のタコがこのエリアに集まっていた。まりさつむりたちはタコ に巻貝だと誤認され、貝殻に穴を開けて毒を抽入され、死んでいった。 まりさつむりがタコによって大きな被害を受けた翌日、今度はヤシガニが巣を襲った。 悪いことは重なるものである。襲ったと言っても、うまく割れずに巣の前に放置して おいたヤシの実を食べて帰っていっただけであった。しかし、まりさたちは勇敢に応戦 し、三匹が永遠にゆっくり、八匹が重軽傷を負った。 と言ってもそのほとんどが、歩いているヤシガニに勝手に潰されただけなのだが。今回襲 撃したヤシガニは15kgはある個体で、まりさたちの棒きれも石もまるで通用しなかっ た。れいむたちは必死にぷくーっをしたが、ヤシガニはれいむを一瞥すらしなかった。 結局、ヤシガニはヤシの実でなごむと去っていき、れいむたちはまりさですら叶わなかっ たヤシガニをぷくーっで追い返したと認識、増長した。 「ゆゆゆー!れいむたちのいだいさの前にへんなのは逃げてったよ!」 「あんなのも倒せないなんて、まりさもありすもぱちゅりーもたいしたことないね!」 ヤシガニのはさみで貝殻ごとまっぷたつにされたつむりや、踏まれて中枢餡をかき回され たまりさの死骸が横たわる中、れいむたちは意気揚々と巣に帰っていく。老ありすは、こ の状況を苦々しく思っていた。 かつてこの群れの7割はまりさ種で占められていた。まりさ種がエサを集め、れいむ種が 生まれた子を育て、ぱちゅりー種がエサ場や環境の変化を読み取り、ありす種がそれに応 じて巣の改造の指揮をとったり、備蓄量をコントロールしたりしていた。 しかし、まりさ種が連続する災厄によって減少し、今ではゆん口こそ夏の頃の9割を保っ ているものの、その半分をれいむ種が占めるようになっていた。おまけにゆん口構成は、 カニの大移動に伴う一斉すっきりーによって、若い方へ大きく傾いている。 エサを自力で取れるベテラン、将来性を期待できる若い個体が不足していた。 「むきゅう…このままじゃ群れはゆっくりできないわ…」 新しくりーだーとなった若ぱちゅりーが苦悩に満ちた表情を浮かべる。 「みんなですっきりーすれば、きっとごはんさんをとってきてくれるまりさが増えるよ!」 そう発言したのは、かつてカニにもみあげをちぎられた子れいむだった。あの後、ぱちゅり ーたちの懸命な治療によって、片方のもみあげ以外は回復したのだ。今では、勝手に側近気 取りで若ぱちゅりーの周りにくっついて歩いている。正直、若ぱちゅりーはこのゆっくりで きない子れいむを嫌っていたが、親があの狩りの名人父まりさであるため、今まで耐えてき た。 「れいむ、今みんなですっきりしてもまりさは増えないわよ…むきゅう…分かるでしょ?」 子れいむは何を言うわけでもなく、片方だけになったもみあげをぴこぴこ上下させている。 何も分かっていないようだった。若ぱちゅりーは小さく舌打ちをした。 頭を抱える若きりーだーの隣にいつの間にか老ありすがいた。 老ありすは静かに口を開いた。 「話はゆっくり聞かせてもらったわ。この群れは滅亡するわよ!」 「「ゆがーん!!な、なんじゃってー!!」」 固まる若ぱちゅりーと側近たち。 「最近、まりさたちがたくさんゆっくりしてしまったせいで、食料は不足、おまけに巣内に 残っているのは、にんっしんしているれいむばかり。もし、またまりさたちがたくさん永遠 にゆっくりしてしまうようなことがあれば、例え春まで生き延びても、おひさまがゆっくり できなくなる頃にはエサがなくなってしまうわ。」 若ぱちゅりーが疲れたような顔をあげる。 「ありす、ならどうすればいいのかしら?むきゅう…いっそ、たくさんのお水とごはんさん でゆっくりできる、あのおばちゃまが住んでいた山の中に…」 「ダメよ!」 老ありすが声を張り上げる。思わぬ剣幕に若ぱちゅりーは冷たい汗をかいた。 「ごめんなさい、こんなのとかいはじゃないわね。山はだめ。忘れたの?ぴかぴかやキング ベヒんもスのことを?」 「…山の中にみじゅもあまあまさんもたからものもいっぱいのゆっくりぷれいす…じゅる…」 子れいむは大事なところをまるで聞いていなかった。その上勝手に妄想まで付け加えている。 だが老ありすはそんな子れいむの戯言を聞いてはいなかった。 「狩りを集団で行うことで、少しでも永遠にゆっくりしてしまうまりさを減らす。そして、 今までとは違う場所にゆっくりぷれいすをつくることもゆっくりしないで検討すべきよ。」 側近たちがざわめく。ほかはともかく、このゆっくりぷれいすを捨てるという選択は、彼ら にとってゆっくりできない提案だった。一方で、老ありすはこの程度でざわめく若い個体に 苛立ちを感じていた。この比較的安全なゆっくりぷれいすで長い間に渡ってゆっくりしたこ とで、お外の危険を、狩りの危険を、そして生き延びることの大変さを知らない世代が増え ていた。 いや、若い世代のせいにするのは老人の傲慢か? 老ありすは考え直した。初夏から秋にかけての完全な分業―狩りはまりさ種頼み―体制をあ たり前と思い込み、巣の中でのんびりすることばかり考えているゆっくりが増えてしまった のだ。今も若ぱちゅりーたちはまりさ種を増やすことを考えている。 それが間違いなのだ。 みんなでお外に出なければ、何も変わらない。 「ぱちゅりー、後で話があるわ。ゆっくり相談にのってくれないかしら?」 「むきゅ?わかったわ。いつでもいいわよ。」 この後、老ありすはぱちゅりーの知恵を借り、肉厚の葉っぱを素材として、まりさ種以外で も夏のお外で行動できる帽子を開発することになる。 「それからまりさ、あなたのゆっくりした子供に、新しいゆっくりぷれいすをゆっくり探し てもらいたいのだけど」 父まりさは表情を強張らせた。 翌日、若手のホープとして期待されている、子まりさを中心とした、 「にゅーゆっくりぷれいすたんけんたい」、通称「最後の大隊」が結成された。 メンバーは六匹のゆっくり、まりさ種が二匹、まりさつむりが一匹、ちぇん種が一匹、あり す種が二匹、そして、あの老ありすの娘の一匹である水色リボンのろりすである。ぱちゅり ー種やれいむ種は外した、完全に屋外探索を目的とした編成である。 老ありすはメンバーに山の魔物の話を伝え、選別として海藻を乾燥させた携帯食料、開発し たばかりのまりさ種以外のためのお帽子、そして万が一のための武器(錆びた釘)を与えた。 ほかのゆっくりぷれいすを探すことが知れ渡ってはパニックになることが予想されたため、 見送りに来ているのは家族のほかは、若ぱちゅりーと老ありすのみである。なお、子れいむ は昼寝の時間ということで来なかった。 穏やかな秋の午後の陽気の中、巣からゆっくりのあんよで一時間ほどの野原でお別れとなる。 他のゆっくりに気取られないよう、巣から離れた場所で出発することにしたのだ。 「おとーさん、おかーさん、行ってくるよ。元気にゆっく…」 子まりさは最後まで言い切れずに涙ぐんでしまった。両親はそんな子まりさを優しくすーり すーりする。 「いつでも待ってるよ。」 「体にはゆっくり気をつけてね」 「「おねーちゃーん!はやくかえってきちぇねー!」」 何も分かっていない妹の赤ゆたちの言葉が、子まりさや両親には辛かった。他の家族もしん みりとした別れの言葉を交わしている。 「ゆっくり行きなさい。帰りを待っているわ。」 目を真っ赤にした老ありすがみなに声をかける。その声に促されるようにゆっくりたちは ゆっくりした足取りで、野原を越え、低木林に入り、見えなくなってしまった。 残された家族は、そんな彼らの後ろ姿をいつまでも、いつまでも見続けていた。 見送りの家族たちが巣に戻った頃にはすっかり日が暮れていた。 行ってしまった。 まりさとれいむのおちびちゃんだった子まりさは、新しいゆっくりぷれいすを探す旅にで かけてしまった。後ろでは母れいむが嗚咽をもらしている。 もう会うことはない。 直感的にそう感じた。 まりさ、どこに行ってもゆっくりしていってね。 心の中でそう祈ると父まりさは巣に戻ることにした。もう夜の闇も深まり、空には満点の星 が輝いている。赤ゆたちを寝かせなければゆっくりできない。 「さあれいむ、おちびちゃんたち、帰ろうね。今日はぱぱが『すたーだすとればりえ★』の お話をしてあげるよ!」 「ゆゆ!とってもゆっくりできそうなお話だよ!」 「れいみゅは!『むそーふいーん♪』のお話がいいよ!」 そのとき、赤ゆの一匹は気づいてしまった。父まりさの後ろから二つの光る目が近づいている ことを 「…ゆ、ゆあああ…ぴゃぴゃ…そんにゃ…うちろに!うちろに!…ゆあああ…目が!」 「ゆ?」 後ろを振り返ろうとした父まりさが最期の瞬間に認識したのは、自分の体を貫く生暖かい牙の 感触だった。 私は内陸部の探検から帰ってきた。 ほとんど前人未到の島の奥地を探検してきたのだ、体のあちこちをダニやヒルに食われ、そ の日はレポートをまとめることもできす、治療に勤しんだ。 机の上には幾つか論文が置いてある。 この島の棲息する動物相、植物相についてまとめた短い論文である。投稿先の雑誌が十年前 に廃刊されたものであったため、探すのには苦労した。これによれば、この島にはワシやミ ミスクなどの肉食性鳥類や雑食性のイノシシが棲息している。この中でゆっくりを捕食する とすればイノシシであろうか?鳥類も捕食するであろうが、鳥類よりも悪食のイノシシの方 が群れに大打撃を与えそうな気はする。 もちろん、これは私の感想に過ぎない。捕食者たちの糞や胃内容物から帽子やリボンといっ たゆっくりを捕食した証拠を見つけなければ結論は出せないだろう。 しかし、だ 山の中で聞いたあの鳴き声はなんだろう。 「んごー!んごー!」 という鳴き声。明らかに獣の鳴き声であった。それとも自分が未熟なだけで、何か鳥かカエ ルの類だろうか?カエルといえば、論文では爬虫類や両生類がほとんど調査されていない。 大型の爬虫類や両生類はいるのだろうか?彼らはゆっくりを食べるのだろうか? 森でヒキガエルの鳴き声は聞いた気がするが、他はどうだろう? ゆっくりたちが海岸にコロニーを設けた理由、 常識的に考えれば、海岸が適していた、または海岸に避難してきた、の二択である。 私はゆっくりたちがそもそも水に弱いことから、内陸の捕食者から逃げてきて、または、内 陸にもゆっくりのコロニーがあり、エサをめぐる競合から海岸へ追いやられたと推測してい る。内陸部の調査で、ぼろぼろになった帽子やリボンのようなものを発見することができた。 おそらく、内陸部にもゆっくりが住んでいるか、住んでいたのだろう。 現時点ではまだ結論は出せない。 私はたまっているゆっくりたちの行動を記録した映像や音声記録をチェックすることにした。 捕食種ゆっくりは棲息している痕跡がさっぱりだったが、イノシシは確実にいる。 幾つか、ススキやササを積み重ねたイノシシの寝床を発見した。寝床からは無数のダニが検 出できたため、今も使っているはずである。内陸部にもカメラを設置すると共に、糞の調査 を行おうと思う。内陸部を動いていれば、いずれあの鳴き声の正体にも会えるかもしれない。 私は紅茶を入れ、ゆっくりたちの巣が見える位置にしかけたカメラと、指向性マイクの記録 の再生を始めた。 続けようと思う 神奈子さまの一信徒です。 前作にて感想をくださった皆様、ありがとうございました。 皆様からのコメント、本当に嬉しく、励みとなりました。 幹部クラスのゆっくりたちの会話が、頭良すぎますね。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ろりす飼いたいなぁ -- 2013-04-07 20 23 36 子れいむが良い感じでピキピキくるねw続きが楽しみだ -- 2011-08-19 16 13 27 ↓無能のれいむ達の犯行なら発覚しないわけないだろ -- 2011-01-06 02 28 42 赤ゆ泥棒 れいむ種がツガイの餓鬼喰ってるだけだろwww -- 2010-09-14 21 19 46
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・6作目です ・作者は取り立てあきですω ・HENTAIなしです。 ・よろしくおねがいします! かねてから飼いゆの二匹はおちびちゃんについて話し合っていた。 しかし飼い主のおねえさんから絶対におちびちゃんは作るな、 作ったら面倒は一切みないし餌もあげないときつく言われていた。 どうなっても知らないからねとも言われていた。 「れいむおちびちゃんがほしいよ。とてもゆっくりできるよ。」 「でもおねえさんにしかられちゃうのぜ?」 「でもでも・・!おちびちゃんはかわいいよ!おねえさんもゆっくりできるよ!」 「れいむ・・・ゆっくりきくのぜ・・・にんげんさんはようしゃをしらないのぜ・・」 「おねえさんはちがうよ!とてもゆっくりしたにんげんさんだよ!」 「おねえさんもにんげんさんなのぜ。りかいできるのぜ?」 「ゆっくりしたにんげんさんじゃなかったら、れいむたちをかいゆになんかしてくれなかったよ!」 話の内容からもわかるとおり、だぜ口調ではあるがまりさの方が賢いゆっくりだ。 それに比べてれいむのほうは餡子脳まるだしの理論を繰り広げる。 「おちびちゃんのときにすてられたれいむたちをひろってくれたんだよ!?」 「だからこそ、なのぜ。」 「ゆ?」 「だからこそ、おねえさんのいうことはきかないとゆっくりできないのぜ」 話し合いは並行線。 まりさもれいむもおちびちゃんは欲しいものの、まりさは飼い主の言いつけの方が優先、 れいむはぼせい(笑)のほうが優先している。 実りのない話し合いはおねえさんに内緒で何日か続いた。 そんなある日、おねえさんの友人が飼いゆのぱちゅりーをつれて遊びにきた。 「じゃあおねえさんたちはお話してるから、ゆっくり同士で遊んでてね」 「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」 まったりとした休日の午後、おねえさんとその友人は話に花を咲かせていた。 「ぱちゅりー!ひさしぶりだね!ゆっくりしていってね!」 「ひさびさなのぜ!ゆっくりしていってね!だぜ!」 「むきゅん!おふたりさんはなかよしなのね!ぱちぇもゆっくりするわ!」 三匹は宝物を自慢しあったり、ぱちゅりーの賢者の話(笑)をきいて感心したりしていた。 「さすがぱちゅりーだね!とてもけんじゃだよ!」 「むっきゅん!それほどでもあるわ!」 そんなこんなで遊んでいると、 「まりさー。ちょっとこっちきてー!」 「ゆ!おねえさんいまいくよ!」 最近取得したまりさの金バッチの話であろう。 だぜ口調は人間には極力控えているらしい。まりさはお姉さんたちの話の輪の中へといった。 ちなみにれいむは銀バッチも取れていない。 残されたのはぱちゅりーとれいむ。 新しく考えたおうたをぱちゅりーに披露していた。 「ゆんゆ~♪ゆんや~♪~」 歌い終わり、ゆっくりなりの礼をする。 「むきゅ!さすがれいむね!おうたがじょうずだわ!でも、なんだか『ゆんやー』は ゆっくりできないからおうたからはずしたほうがけんじゃよ!」 「ゆん!さすがぱちゅりーだね!ゆっくりりかいしたよ!」 おうたも終わり、ぱちゅりーにすりよっていくれいむ。 「む!むきゅ!?どうしたのれいむ!ち、ちかいわ!ぱちぇ、そんなきは・・!!」 「ゆん!ごかいしないでね!ないしょのおはなしだよ!」 「む、むきゅ・・!ぱちぇのはやとちりさんね。れいむどうしたの?」 「ゆっくりきいてね・・・れいむおちびちゃんがほしいよ・・・」 「む!むきゅ・・!ぱちぇは!こころのじゅんびが!!!」 「だからちがうよ!ぱちゅりーとのおちびちゃんじゃないよ!」 「むっきゅー!ごめんなさいね!とりみだしてしまったわ!」 「ゆん。わかればいいんだよ・・・おちびちゃんがほしいんだよ・・・ でもおねえさんはおちびちゃんはきんししてるんだよ・・」 「おちびちゃんがもしできたらどうなるのかしら?」 「ごはんさんがもらえなくなるんだよ。れいむたちはかいゆだから、 かりはできないんだよ。だからたいへんさんになるんだよ・・・」 「むきゅ・・・それはいちだいじね。おちびちゃんはあきらめるっていう せんたくしはないのかしら? 「ゆ!れいむはれいむだよ!おちびちゃんがいるととてもゆっくりできるんだよ!」 なんだか理屈ではないらしい。れいむ種ならではのいいわけである。 「・・・・むきゅ・・さんこうになるかわからないけれど・・・」 ・ ・ ・ 楽しかったティータイムも夕方前には終わった。 「それじゃーまたねー!ぱちゅりーもまたね!ほら、れいむとまりさも挨拶して」 「ゆん!ゆっくりまたこんどね!」 「たのしかったのぜ!ぱちゅりーまたくるといいのぜ!」 「むきゅ!またこんどゆっくりあそびにくるわ!」 その後二匹はいつもどおりおねえさんにごはんをもらい、ゆっくりした夜をすごしていた。 「ゆん!おねえさんそろそろれいむたちはすーやすーやするよ!」 「ゆっくりおやすみなさい!おねーさん!」 「そうね。そろそろおねえさんも寝るわ。ふたりともおやすみなさい」 おねえさんは自分の寝室へとはいって行った。 そして二匹は自分たちのゆっくりハウスへとはいっていった。 「ゆぅぅ~!まりさ!おねえさんにないしょですっきりー!しちゃおうよぉぉ~!」 「ゆん!れいむなにをいっているのぜ?まえにもはなしたとおりだぜ!」 いきなり色目を使いだすれいむをしり目に、冷静なまりさ。 「だいじょうぶなんだよ!おちびちゃんがいてもごはんさんもらえるんだよ!」 「そんなわけないのぜ!おねえさんからそんなことはいわれてないのぜ!?」 「ゆっふっふ!まりさはなにもしらないんだよ!いまはとてもゆっくりできるじだいなんだよ!」 「なにをいっているかわからないのぜ!とにかく!まりさはそんなことしないのぜ!」 「ゆぅぅ~!まりさはつんでれなんだね!どうっていっ!さんなんだね!」 「ゆ!な!なにをいっているのぜ!そんなことはなしてないのぜ!」 「ゆぅ!れいむがゆっくりふでおろしっ!してあげるよぉぉぉ!!!!」 「もういいのぜ!まりさはゆっくりすーやすーやたいむに・・・ ・・ゆんやぁぁぁ!!!!やめるのぜぇぇぇぇ!!!!ゆあぁぁぁ・・・!!!」 ・ ・ 運動能力ではれいむにまさるまりさだが、れいむの勢いに押されてしまった。 すーやすーやしようと思い後ろを向いたときに不意を突かれてしまったのだ。 一度火がついたものは止められない。悲しいかなゆっくりの本能がそうさせてしまった。 「「すっきりー!!!」」 れいむに押し倒される形ですっきりしてしまったのだった。 れいむのぼせい(笑)が強いせいか、茎はれいむの額に伸びていった。 実ゆが3匹なっていた。 「ゆぅぅぅ!!!!やっぱりおちびちゃんはかわいいよぉぉぉ!!!」 「ゆぅ!なんだかよごされたきぶんなのぜぇ・・・!」 少し涙ぐんでいるまりさを横に、すっかりおちびちゃんに夢中のれいむ。 「ゆわぁぁぁ!おちびはゆっくりできないのぜぇ!!!おねえさんにしかられるのぜぇ!?」 「ゆん!まりさはおちびちゃんがかわいくないの!?ばかなの!?しぬの!?」 「そ、そんなことはないんだぜ!おちびはゆっくりできるのぜ!で、でもぉぉ!!!」 「だいじょうぶなんだよ!まりさはしんぱいっ!しないでね!れいむはつかれたから すーやすーやするよ!まりさもゆっくりおやすみなさい!」 「ゆぅぅ・・・。こまったのぜ・・・おねえさん・・・ごめんなさいなのぜ・・・」 そんなこんなで二匹は眠りについた。 次の日・・・ まりさは悩みの種が横にいるせいかゆっくり眠ることができなかった。 「おねえさんにしょうじきにはなしたほうがいいのぜ・・・」 ぐーすか寝ているれいむをおいておねえさんが朝ごはんの支度をしているところへいった。 「・・・おねえさん・・・ゆっくりおはよう・・・」 「あらまりさ。おはよう。今日は早いのね。お休みなんだしゆっくり寝ていいのよ?」 「おねえさん・・ゆっくりできないそうだんがあるのぜ・・・」 「まりさ?どうしたの???」 おちびちゃんの話を切り出そうとしたとき、背後から 「ゆん!ゆっくりおはようだよ!!!」 元気に額から茎を伸ばしたれいむが挨拶をしてきた。 「・・・!!!!!!・・・何・・・それ・・・!!!!」 おもわず絶句するおねえさんだった。 「お!おねえさん!まりさのはなしをきいてほしいのぜ!!ゆ!ほしいんだよ!」 あわてておねえさんにだぜ口調を使ってしまうまりさ。 「ゆん!おねえさんもまりさもゆっくりれいむのはなしをきいてね!」 なんだか自信たっぷりのれいむ。 あわあわしているまりさ。 状況がつかめないおねえさん。 「れいむ!おはなしどころじゃないのぜ!お、おねえさん!まりさはいやいやさんしたんだぜ! なのに!なのにれいむがぁぁぁ!!ごべんなだいぃぃ!!!」 どうしていいのかわからず、まりさは泣き出してしまった。 「ゆふん!ちちおやのくせになさけないね!れいむはしんぐるまざーになってでも、 おちびちゃんたちとゆっくりするよ!てだすけはいらないよ!」 おねえさんも冷静さを取り戻し少し考えてみた。 まりさはれいむよりも賢いことはわかっている。 おねえさんにも誠実だ。問題はれいむだ。 「まりさ・・・。よしよし、こっちおいで」 「ぉぉねえさぁあん!!!うわぁぁーん!」 まりさはおねえさんの膝のうえでゆんゆん泣いていた。 金髪をゆっくりと撫でながらまりさを慰めるおねえさん。 「えーっと。れいむ。正直に答えてね。どうしておちびちゃんつくったの?」 「ゆん!おねーさんにめいわくはかけないよ!」 「・・・そうじゃなくて。ごはんさんあげないっていったよね?忘れたの?」 「ゆふふ!おねーさんからごはんはもういらないよ!」 「・・・野良になるの?自分で狩りするの?」 「そうだぜ!れいむはかりなんかできっこないのぜ!」 、 「おちびちゃんてあてがあるんだよ!!!」 れいむはキリッとした顔でそう言い放った。 「・・・は????」 「ゆ・・・????」 一瞬空気が凍りついた。時が止まった。スタンド使いはここにはいない。 理解できないおねえさんとまりさを見て、れいむはあのムカツク表情で話し始めた。 「せいけんっこうたいっ!があってはとぽっぽさんがやまからきたんだよ! それでおちびちゃんてあてがもらえるんだよ!れいむはかしこいからしってるんだよ!」 「ゆぅぅ!!!いみふめいなのぜぇぇ!めをさますんだぜぇぇ!」 「ゆん!なさけないちちおやはだまっててね!まりさがしゃべるとたいきょうっ!にわるいよ! ぐずなちちおやはえいえんにゆっくりしたことにするよ!おちびちゃんにはそうおしえるよ!」 「・・・・んーっと。れいむ。じゃあご飯はおねえさんからいらないのね?」 「しつこいおねーさんはきらいだよ!いらないよ!ゆん!」 「おねえさん・・・まりさは・・・まりさは・・・」 「いいのよまりさ。大丈夫。なんとなくわかってきたから。まりさは今まで通りでいいのよ・・・」 「ゆん・・・もうれいむにはついていけないのぜ・・・」 まりさはれいむに愛想を尽かしたようだった。 れいむは馬鹿だがまりさにとってはとても大事なゆっくりだった。 しかし、かってにすっきりされた揚句ぐずなど罵られ、もうどうでもよくなっていた。 その日を境にれいむとまりさは別居をした。 おねえさんはまりさのために別のゆっくりハウスを用意したのだ。 餌入れにも『まりさ』と書いたものを用意した。 れいむはというとおうちの中でのんきにお歌を歌っていた。 「ゆんゆ~♪ゆっくりうまれてね~♪」 おうちの外からはおねえさんとまりさの遊ぶ声が聞こえる。 「そうよ!じょうずよまりさ!」 「ゆん!まりさはがんばるよ!ゆん!ゆぁぁ!」 ボールを転がして遊んでいるようだ。 「もぉ。まりさはボール遊びが好きね」 「ゆ!おねーさんにもらったたからものだよ!おねーさんゆっくりありがとぉ!」 「そんなに何回も言わなくていいのよ~。そんないい子のまりさに・・・!じゃーん!」 「ゆ!ゆわぁぁぁ!!!きれーなのぜ!!!こ、これもらってもいいの?」 中にきらきらしたものが入ったスーパーボールをあげるおねえさん。 「ゆわぁぁぁ!!!すごくゆっくりしてるね!おねーさん!たからものありがとぉ!!!!」 そんな楽しそうな声をきいてれいむは 「ゆふん!おちびちゃんはゆっくりできるのにね!ぜんぜんうらやましくないよ! げすなちちおやなんかいらないよ!ゆんゆ~♪」 などとのたまっていた。 おねえさんは冷静だった。れいむが予想以上に馬鹿だったのはびっくりした。 れいむの行く末を手助けはしないが見守るつもりだった。 しかしおねえさんも鬼ではない。 どうしてもご飯が欲しくて、きちんと謝りさえすれば里親でも探してやろう、 馬鹿れいむの子とはいえ、父親は金バッチまりさだ。 貰い手は見つかるかもしれない。などと考えていた。 その夜、もはや生まれ落ちようとしていた。 飼いゆで初めての子ということもあり、栄養状態がいいのかもう実ゆがふるふる震えていた。 おねえさんは遠目かられいむの初出産をみている。 「ゆん!ゆっくりうまれてね!」 うるうるした目で感動しているれいむ。ぽとりと生まれ落ちる実ゆ。 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!!!」」」 「ゆぅぅぅ!!!!かわいいよぉぉぉ!!!おちびちゃんままだよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆぅぅ!みゃみゃ!ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!!・・・ぴゃぴゃは・・・???」 「ゆん!げすなちちおやはえいえんにゆっくりしたんだよ!ままはしんぐるまざーだよ!」 「しょーにゃにょ・・?」「あちょこにいりゅまりちゃは・・?」 不思議そうに首(?)をかしげる赤ゆ。 「ゆん!あれはあかのたゆんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ゆぅぅ?りきゃいしちゃよぉぉ・・・。」ふに落ちてない赤ゆはまりさ種だ。 「ゆん!りきゃいしちゃよ!」何も疑問に思わないのはれいむ種。そのまま餡子が遺伝したようだった。 「ゆん!おちびちゃんたち!くきさんをむーしゃむーしゃしてね!」 「「「すーぱーむーちゃむーちゃたいみゅだよ!!」」」 赤ゆにごはんをあげてれいむは辺りを見回した。 「ゆふぅ~。れいむもつかれたよぉ!・・・きょーろきょーろ」 何度も周りを確認する。 「どおしててあてさんがきてないのぉぉぉぉ!!!!!????」 れいむは赤ゆを産めばおちびちゃんてあてなるものが届けられると餡子脳で思い込んでいた。 「ゆぅぅ・・・あしたなのかもしれないよぉ。きょうはあきらめてすーやすーやするよ・・・」 れいむ一家は眠りについた。 次の日も手当てなるごはんは当然ない。 「どぼじでぇぇぇぇ!!!!!!!」 「ゆぅ?みゃみゃゆっきゅりしちぇにゃいよぉ?」 「ゆ!おちびちゃんはだまっててね!ままはいーらいーらしてるんだよ! しんぐるまざーはたいへんなんだよ!はとぽっぽさんがおそいんだよ!」 まったく意味がわからない赤ゆはれいむの様子が尋常じゃないのでびくびくするばかりだ。 「・・・ゆ!!!!!・・・わかったよ!!!!」 れいむは自分のおうちをでて、まりさのおうちの前に立った。 今日はおねーさんはお仕事で朝早く出かけて行った。 れいむたちは寝ていたが、まりさはおねーさんにいってらっしゃいをして二度寝に入っていたのだ。 「ゆわ~。まだねむたいのぜぇ・・・なんなのぜ・・・ぶぎゃ!!!!!」 寝ぼけ半分で出てきたまりさにれいむが体当たりを食らわせたのだ。 「ゆぅぅ!!!このげすゆっくり!!!!おてあてさんをとったね!!!」 「ゆぅぅ!いたいのぜ・・!それになんのことなのぜ!???」 「どろぼうをするゆっくりはせいっさいっ!だよ!!!!」 「ゆわぁぁぁ!!!!!」 れいむはいつまでたっても来ない手当てをおかしいと思い、だした結論がまりさが盗んだということだった。 その状況を、おうちの陰から赤ゆのぞいていた。 「や、やめるのぜぇ!なんなのぜぇ!!!!」 「うるさいっ!!!はじめからせいっさいっ!しておけばよかったよ!!!!」 「ゆんやぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 またしても不意をつかれたまりさ。あんよがいうことをきかない。 「はやくおてあてさんをかえすんだよ!そうしたられいむもゆるすかもしれないよ!」 「なんなのぜ!それはなんなのぜぇ!」 「はとぽっぽさんだよ!ゆ!これだね!!!!むーしゃむーしゃ!!!!」 「まりさのごはんさんがぁぁぁ!!!」 『まりさ』と書かれた餌入れのごはんさんをすごい勢いで食べつくすれいむ。 「ゆふん!やっぱりとってたんだね!!!げすなゆっくりはこうしてやるよ!!!」 そう言い放ち、渾身の体当たりをかますれいむ。 「ゆげぇぇぇ!!!」 餡子を少し戻してしまったまりさはぐったりとしてしまった。 「ゆっふっふ!げすなまりさはれいむのうんうんでもたべるといいよ! すーぱーうんうんたいむだよ!!!!!」 「ゆ!みゃみゃはさいきょー!にゃんだにぇ!りぇいみゅもかちぇーしゅりゅよ!!」 「ゆん!さすがれいむのおちびちゃんだよ!いっしょにいくよ!」 「「すっきりー!!!」」 まりさはうんうんにまみれてしまった。 「ゆぅぅぅ!!!くさいぃぃぃー!!!!!ゆげぇぇぇ!!!!」 「おぉあわれあわれ!」 「おぉあわりぇあわりぇ!」 れいむと赤れいむはどや顔だった。 「ゆぅう・・・にゃんだかゆっきゅりできにゃいんだじぇ・・・」 赤まりさは加勢しなかった。 「ゆん!きょうのところはこれでゆるしてあげるよ!れいむはこそだてでいそがしいからね!」 そういってれいむ親子は引き返して行った。 「ゆん!おちびちゃんたち!すーやすーやたいむだよ!」 「ゆー!」 れいむ親子はお昼寝を始めるのだった。 まりさは虫の息だ。 「ゆぅぅ・・・もぉ・・・えいえんにゆっくりしそうなのぜ・・・」 大げさではあるがダメージは大きいのも確かである。 「ゅぅぅ。こーしょこーしょ。・・・だいじょうびゅなのじぇ?」 赤まりさが心配して様子を見に来たのだ。 「にゃんだきゃゆっきゅりできにゃかっちゃのじぇ・・・おみじゅ・・あげりゅのじぇ・・」 二匹の赤まりさは小さい体で動けないまりさのところまで水が入った器を押してきたのだ。 「ゆうぅぅぅ!!!!お、おちびちゃんたちぃぃぃ!!!!!」 まりさは感動していた。事故のようなもので出来たおちびとはいえ、かわいいのは当たり前だ。 ましてや自分のことを心配してくれているなんて。 砂糖水の涙が止まらなかった。 ガチャガチャ そうしているうちにドアのカギを回す音が聞こえてきた。 「ただいまーまりさー!今日は早くお仕事おわったからおやつ一緒に・・・」 そう言いかけておねえさんはケーキの箱を床に落としてしまった。 「まりさ!!!!」駆け寄るおねえさん。 「ゆぅぅ!!!おねーさんー!!!!ゆわぁぁぁぁぁん!!!!」 「なにがあったの!?」 「れいむが!れいむがぁぁぁ!!!!はとぽっぽがなんとかってぇぇ!」 そう言いかけたところで、 「ゆん!おねーさんはてだししないでね!げすはせいっさいっ!されてとうぜんだよ!」 「げすなんかじゃないのぜぇぇ!!!」 「おねーさんゆっくりきいてね!はとぽっぽさんのおてあてさんをげすがとったんだよ! せいとーぼーえいっ!だよ!かわいそうなのはれいむだよ!」 「みゃみゃはちゅよいんだにぇ!げしゅはゆっきゅりちんでにぇ!」 まりさは泣くばかりで話にならない。 「まりさが何か取ったってこと?」 「そーだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「正当防衛って・・まりさがなにかしかけたの?」 「ゆん!そーゆーことだよ!」 餡子脳で都合がいいように変換されているらしい。 「ゆ!なにをいってるのぜぇぇ!」 「おちびちゃんたちもままのみかたしてね!」 「みゃみゃはちゅよかっちゃよ!げしゅをしぇーしゃいしちゃよ!」 赤れいむは興奮した様子で話した。 「・・・ゆぅ!おにぇーしゃん・・!」 ちびまりさがキリッとしたいい顔でおねーさんを見据えた。 「ゆ!れいむのおちびちゃん!」 れいむはおちびちゃんがまた加勢してくれるとおもい、きらきらした目で見ていた。 「・・・いきにゃりこのおじしゃんをみゃみゃがしぇーしゃいしたのじぇ・・」 「なにをいってるのぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 「しょれじぇ、うんうんをおじしゃんにかけちゃのじぇ」 「どぼじでぞんなごとゆぅのぉぉぉ!? ・・・わかったよ!まりさににてげすなんだね!ままがせいっさいっ!してあげるよ!かんしゃしてね!」 とびかかるれいむ。 「ゆっくりしんで・・ぶぎゅぁ!」 その瞬間、おねーさんのコークスクリューがれいむにクリーンヒットした。 「どぼじでぇぇぇぇ!!???」 おねえさんはニコニコしていた。 「お、おねーさん・・・?れいむ・・ゆぎゃ!」 右・左とおねーさんはリズムよくパンチを繰り出す。 「うふふ♪いいかげんにしなさいよ?」 言葉とは裏腹にボスッボスッドスッっといいパンチの音が繰り返される。 おねえさんはぐったりしたれいむの頭をアイアンクローよろしく片手でつかんだ。 「まりさ?絶対にのぞかないでね?約束よ?」 「ゆ!ゆ!ゆっくりりかいしたよぉ!!!!!」少し震えながら答えるまりさだった。 「そうそう、あんたも一緒にきなさい」 「おしょりゃをちょんじぇるみちゃいー!」のんきな赤れいむとれいむは隣の部屋へもっていかれた。 隣のへやからおねえさんの笑い声が聞こえる・・・ まりさはぶるぶると震えながら 「ぉ、おちびちゃんたち!ゆっくりしないでおみみ(?)をふさぐんだぜ!!!」 「「ゆ!りきゃいしちゃよ!」」 おねえさんはやけにすっきりした顔で部屋をでてきた。 「ゆ!お、おねぇさん・・・れ、れいむ・・・は・・・」 「あらまりさ。このおうちにはまりさ達しかいないわよね?」 「れ、れい・・」 「まりさたちだけよねぇ???」 「ゆ、ゆん!ま、まりさたちだけだよぉ!」 「よろしい。」おねえさんはにこにこ笑っている。 いつもはやさしいおねえさんだが、人間さんにはかわりない。 怒らせるとゆっくりなどはゴミのようなものだ。 まりさは改めて思い知らされるのであった。 おねえさんの温情によりちびまりさは飼いゆになった。 父ゆずりの誠実さと賢さが功を奏したのであろう。 おねえさんはその後まりさ達の前では鬼神となることはなかった。 「おちびたち!おとーさんところころするよ!」 「「ゆん!こーろこーろ!!」」 その後、親子だということもおちびたちは理解し、仲睦まじくしている。 「なーんてことがあったのよー。」 「そっかー。それは大変だったね・・・」 おねえさんの友人がまたぱちゅりーをつれてあそびにきていた。 テーブルの下でその話をすべて聞いていたぱちゅりーは生きた心地がしなかった。 ちなみにあのれいむ親子は、秘密の趣味ができてしまったおねえさんの サンドバッグとして開かずの間にひっそりと生きている・・・・。 アトガキ 予想以上に長くなってしまいました(私としては) 読みにくくなかったでしょうか? 落ちをつけることってむずかしいなとおもいます。 過去に書いたもの anko1396 しゃっきんさん anko1427 しゃっきんさん その後。 anko1439 むしゃくしゃさん anko1445 おりぼんさん anko1470 しんぐるまざーって大変だね!
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町人Aの憂鬱 ~森の中の切れ込みまりさ~ 51KB 町人Aの憂鬱 【前書き】 初投稿。 幻想郷が舞台です。そこに住む"町人A"の物語。 ゆっくりは割と標準設定に準拠ですが、ドスの設定が標準(?)と違います。(主にサイズ) 原作キャラがチョイ役で出てきます。 幻想郷の人里。 ここにAという名の男が居る。 歳は25、背丈は高く無愛想。 村はずれで果樹園と家庭菜園を営んでいる、農家である。 季節は秋の暮れ、初冬。 今年も男に仕事が舞い込んできた。 男は愛用のスコップを担ぎ、河童から買ったリュックを背負って山に行く。 それにしても今年は何だか憂鬱だ。 男はだるそうに山に入って行った。 Title 町人Aの憂鬱 ~森の中の切れ込みまりさ~ Author 旅人あき ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「Aは居るかい?」 白髪の老人が今年もやって来た。 見ると片腕が無い。珍しい人型だ。そんな人型を俺は一人知っている。 「じいさんか?何か用か?」 Aは無愛想に答える。 「何だ生きてたのか。ああ、今年も副業を頼みに来た」 「毎回言ってる気がするが、前置きがおかしくないか?」 先月顔を合わせたし、寿命はお前が先だろう、と思いながらも年寄りの話を聞き出した。 「そろそろ冬だから、森のゆっくり共を間引きして欲しいんだ」 そう、これがAの副業だ。 田畑を食い荒らす害獣であるゆっくりを、適正数まで間引く。 ゆっくりは数が増えると森から人里まで下りてくる。それが農家達の被害に繋がる訳だ。 だからこの農家達の元締めのじいさんが、有志や"そうで無い者"に依頼を行う。 畑に近い森に住むゆっくりを間引き、降りてこない様にする。 俺はじいさんに借りがあるから断われはしない。良い計算だ。 「まぁ別に構わんけどな」 「それは俺のセリフだ・・・」 このジジイは主語を抜く。略したのは"断わっても"だろう。 俺も主語を抜く。略したのは"受けても"。 時に無愛想に見える事もあるらしいが、気にしない。 日本語は美しい。 「で、報酬は?」 「米や味噌だ。お前の農園じゃ足りんだろう」 「ああ、それで良い」 これは毎年同じだ。俺の生活を把握している。だからまぁ農家の大将なんかやってられるんだが。 これで冬も寝て過ごせそうだ、と思っていたら後ろから誰か来た。 緑髪の女性で、巫女服を着ている。 「どちら様で?」 「初めまして。新しくこちらに越してきた守矢神社の者です」 そういえば妖怪の山に神社が出来た噂を聞いていた。 そこの巫女さんなんだろうか。変な髪飾りをしている。 「こちらがゆっくり仕置人のAです」 ジジイからの素敵な紹介を預かった俺を、守矢の使者はジロジロと見ている。なかなか可愛いと思う。 段々話が読めてきた。ジジイが連れて来たな。こんな村はずれに来るはずが無い。 「実は今日はAさんの家にも分社を建てて欲しくてお願いに来ました。守矢神社では2人の神を祭っており・・・」 なんか良く分からんが御利益の話を始め出した。面倒なのでああ良いですよと生返事をする。可愛いから許す。 「本当ですか?有難う御座います。機会があれば是非本社にお越しください」 「ああ、機会があればね」 「所で質問なんですが、ゆっくりを間引くというのはいつもしているんですか?」 「いや、秋と春だけしかやってないな」 「時間が掛かる物なんですか?」 「さぁなぁ、他は知らないが俺は1日で済ますから、そのぐらいじゃないかな」 「その日限りなんですか?」 「そうなるな」 「なるほど・・」 気のせいか緑巫女は俺を見下す様な憐れむ様な目で見初め 「つまりAさんは、"日雇い"さんなんですね(ニコッ)」 後で寺子屋の先生に聞いたが、日雇いというのは外の世界の蔑称らしい。思い出してもあの笑顔に腹が立つ。 あの巫女はいつか泣いたり笑ったりゆっくり出来なくしてやる。もとい○す。犯○。 だが俺は凡人。ただの町人。聞けば現人神な巫女に敵うはずは無い。 いっそ分社の前で祈ってみようか。願いが叶うかも知れない。 俺が今日憂鬱なのは、これが原因なのだ。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ リュックを背負って山に入ったAは、紅葉が落ち始めた森を散策していた。 外の人間が忘れた森の原風景。紅葉落ちる終わりの秋。美しい。 だが今日探すのは景色では無く、ゆっくりの群れである。 村では秋と冬にゆっくりを間引いているが、これには理由がある。 ゆっくりは冬は穴や洞窟に籠る。籠ってその中で越冬をする。 冬の寒さに耐えれないからだ。 故に秋は越冬のための食糧を集める。つまり外に出ている時間が長い。見つけやすい訳だ。 また春も同様である。越冬を経て飢えているゆっくり達は、ここぞとばかりに餌を探しに行く。 秋と春は『狩り時』という訳だ。 森に入って30分、そうこうしている内に数匹のゆっくりれいむを見つけた。 もみじ色の落ち葉が多く木々が邪魔で見えにくいが、その中で動く肌色の物などゆっくりしかいない。 どうやら例年通り餌を探している様だ。近くに寄って行く。 「ゆ!? おきゃーしゃん!」 「ゆゆ? どうしたのおちびちゃん」 「おきゃーしゃん! にんげんしゃんがいりゅよ!!」 赤ゆっくりが気付いた様だ。親れいむもこちらに気付いた。 「「「にんげんしゃん!! ゆっくちちちぇいっちぇね!!」」」 赤れいむ3、親れいむ1か。 まぁ個体数はどうでも良い。れいむ達に確認する。 「お前ら何してるんだ?」 「ゆゆ!? れいむちゃちは"かり"をしちぇるんだよ!」 「ふゆごもりにはくしゃしゃんがいっぴゃいいるんだよ!」 「おかあしゃんはかりのめいじんなんだよ!」 「ゆ! にんげんさんはあまあまをちょうだいね!! れいむたちはかわいそうなんだよ!! むのうなにんげんさんだね!!」 最後のは親れいむだ。ああ良いだろう。 警戒心の無い親を持って哀れだな。 リュックサックを地面に置いて中に手を入れ、巾着袋を取り出す。 「よし あまあまをやろう」 干しぶどうを数個袋から取りだし、ゆっくりたちの前に撒く。 ゆっくりは見たこともない物を目にし、固まっている。 食い付かない所を不審に思っていると 「おきゃーしゃん! にんげんしゃんがあまあまをくれちゃよ!」 「ゆあああ! おちびちゃんだめぇぇぇぇぇぇ!! どくかもしれないでしょうぉぉぉぉ! いつもいってるでしょぉぉぉぉぉ! おかあさんがどくみするからゆっくりまっててね!!」 前言撤回だ。警戒心はあるらしい。人間が怖くないだけか。 地面の一粒を舌ですくい、咀嚼する親れいむ。 「むーしゃむーしゃ・・・ゆああ~~~~・・・ このまめさんとってもおいしいよ!!! うめ!! めっちゃうめ!!!」 うっとりしたと思ったら突然がっつきだす親れいむ。地面に落ちてた数個の干しぶどうを全て頬張る。 嫌悪感が全開で叩き潰したい衝動に駆られる。 この親れいむは全て食べやがったのだ。子供に残さずに。 「おきゃーしゃん・・・ れいむのぶんは?」 「おきゃーしゃんがじぇんぶたべちゃった」 「ゆゆ!? ごめんねおちびちゃんたち・・・おいしくてついぜんぶたべちゃったよ」 「おきゃーしゃんのびゃきゃぁぁぁぁぁ!! れいむもたべちゃいぃぃぃぃ!! ゆぴぃぃぃぃぃぃ!!!」 「おきゃーしゃんだけじゅるいぃぃぃぃ!! れいむもたべちゃいぃぃぃぃ!! ゆぴぃぃぃぃぃぃ!!!」 「ゆあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! おきゃーしゃんのくじゅぅぅ!! くじゅはしねぇぇぇ!!」 「どぼじでぞんなごどいぶのぉぉぉぉぉぉ!!! みんなのおがあざんでしょおおおおおおお!!!」 目の前で泣き喚きだすゆっくり共。私利私欲、雑言罵倒。 俺はこの光景を見ていつも思う。ゆっくりは神が作った人間の汚い部分の寄せ集めなんじゃないかと。 赤ゆに至ってはしーしーまでして悔しさを表している。人間の赤ん坊でもここまで醜悪じゃない。 地獄の縮図の様な光景を見て、毎度内心辟易する。 そんな中、俺は例年通り話を進める。 「泣くなゆっくり。まだ袋に一杯ある」 「ゆああ!! にんげんさんははやくおちびちゃんたちにあまあまをちょうだいね!! あとれいむにもちょうだいね!! ゆっくりしないではやくしてね!!」 「だが俺にも用がある。お前らが俺のお願いを聞いてくれたらな」 「おねがいをきくからはやくちょうだいね!!」 「約束は破るなよ。俺は鬼じゃないが約束を破る奴は嫌いだ」 そう言って袋の中から更に何個か取りだし、ゆっくり達に撒く。 それを見て親れいむと赤ゆ共は"まめ"を食い出す。 「ゆあああ!! おちびちゃん!! あまあまだよ!! ゆっくりたべてね!! おかあさんにもちょうだいね!!」 「「「むーちゃむーちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~~~!!!!!!」」」 干しぶどうなんか自然界に無い。普段虫や草を食ってるこいつらからしたらかなりのあまあまなんだろう。 赤ゆに至ってはうれしーしーをしている。潰したい。 もっととねだる馬鹿共を見て、ようやく本題に入る。ここまで仕込むのが大変だ。 俺に懐柔させるのが。 「そんじゃお願いを聞いてもらおうか」 「ゆゆ! なんでもいってねにんげんさん!!」 「じつはこの大きな袋(リュックサック)にはお野菜さんが入っててね。 クズ野菜で要らないから捨てる所を探してるんだ。 お前達の群れにやるから群れに案内してくれ」 「ゆゆ! そんなことならかんたんだよ!! れいむのむれにあんないするよ!! おやさいさんをくれるなんてにんげんさんはとってもゆっくりしてるね!!」 「ただ条件が有ってな。 ドスが居る大きな群れを探してるんだ。 お前の群れにドスは居るか?」 「れいむのむれにはドスがいるよ!! あんないするからおやさいさんとあまあまをちょうだいね!!」 「よし案内してくれ」 俺の言葉尻がおかしい事に気付かない。面倒で雑になってしまったんだが、所詮餡子だ。 ぽよんぽよんと奇妙な音を出しながら跳ねて行く親れいむと赤ゆ共。 さて、いよいよ大詰めだ。 俺はこの重いリュックサックから解放される事を想像し、顔が緩んだ。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 親れいむの後に続く赤ゆ達。その後に続く俺。 ガサガサと落ち葉を踏み敷く音がしていく。 が、何か音がおかしい。音が多い。 気配を感じ、後ろを振り向く。 「ゆぐ!!」 振り向くとそこにはゆっくりまりさが居た。 身体はデカイ。親だな。 帽子は膨らんでおり、どうやら餌が詰まっている用だ。 俺に見つかったまりさは俺の横をぴょんぴょんと急いで素通りし、先頭の親れいむを呼びとめる。 「れいむ!」 「ゆ?」 「「「おとーしゃん!」」」 親れいむの番の様だ。 「ゆゆ! どうしたのおとうさん」 「どうしたのじゃないのぜ! なんでにんげんさんといっしょにいるんだぜ!」 「このにんげんさんはあまあまさんをくれるんだよ! れいむのどれいなんだよ!!」 なるほどそういう認識か。これで憐れむ気もしなくて済む。 それにしてもこれはだぜまりさか。珍しい。 「なにいってるんだぜ! にんげんさんはどれいになんかならないのぜ! ぎゃくにえいえんにゆっくりされちゃうんだぜ! さっきのあまあまだってなにかのわななんだぜ!!」 どこかから覗いていたのか。それも最初の方から。 番のれいむが危ないというのに観察とは、ゲスなのかも知れないな。 だが頭は良い様だ。多少のゲス性は生きる上では必要だしな。 「まりさはしんぱいしょうだね! れいむはゆっくりしていてつよいんだよ! にんげんさんはゆっくりできないくずだからよわいんだよ! ゆっくりりかいしてね!!」 「れいむのほうこそゆっくりりかいするんだぜ! それにこっちはむれのほうがくなんだぜ! どすにおこられるぜ!」 「ゆうう!!! れいむおこるよ! にんげんさんはおやさいさんをくれるからつれていくんだよ!! どすもれいむにかんしゃするにきまってるよ!! これでれいむもむれのじゅうやくいりだよ!!!」 群れの重役か。 お花畑もここまで来ると羨ましい。このまりさに同情するよ。 「れいむはばかなんだぜ! どうなってもしらないのぜ!」 「まりさはばかだね! こんなおとーさんはいらないよ!」 「「「おとうしゃんはいりゃにゃいよ☆」」」 赤ゆの反応に驚いた。複雑な家庭の様だ。 結局親まりさが折れる形で、群れへの帰路に就いた。 俺に対してずっと警戒しているのか、一定の距離を保っているのは殊勝だ。 歩く事20分。 といってもゆっくりの速度だから、たいして離れていない。 どうやら群れに付いた様だ。 森の中、紅葉とその落ち葉が景色を覆っているが所々ゆっくりが見える。 親れいむに群れの中心まで案内させ、そこにリュックサックを置いて座り込み一息付いた。 中心は大きな木の様で、そこに続々と群れのゆっくり共が集まってくる。 また撒き餌の出番だ。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「ゆゆ!むれについたよにんげんさん! はやくあまあまちょうだいね!!」 「「「ちょうだいにぇ!!」」」 クソ共が騒ぐ。野菜の事はもう頭に無いらしい。巾着袋からまた数個取りだし、その辺に撒く。 そうこうしているうちにゆっくり同士で会話が始まった。 「「「むーちゃむーちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~~~!!!!!!」」」 「むーしゃむーしゃ、しあわせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「むきゅ、これはいったいどういうこと?」 「みてのとおりなんだぜ。れいむがにんげんさんをむれにつれてきたんだぜ」 「このにんげんさんはとかいはなの?」 「むきゅきゅ、にんげんさんはゆっくりできないっていったのに」 「なんでもおやさいさんをくれるらしいぜ」 「そうだよ!このどれいはおやさいさんをくれるからつれてきたんだよ!! れいむのおかげだよ!! これでれいむもむれのじゅうやくいりだね!!」 「「「おきゃーしゃんはえりゃいんだにぇ!! きゃわいきゅちぇごめんにぇ!!」」」 「むきゅう、あたまがいたくなってきたわ。にんげんさんはほんとうにおやさいさんをくれるの?」 「もりではおやさいさんはほとんどみないから、とかいはとしてはたべてみたいわ」 ああそうだろうよ。ただ中には野菜をたらふく食ったゆっくりもいるだろうが。 さて、そろそろ本題に入ろう。 「ああ、お前らに野菜をやるよ。ただ条件がある」 「むきゅ」 「じょうけん?」 「群れの数を確認したいから、全員を集めてくれ。当然ドスもな。 家にまだ野菜があるから、それを群れの数だけ持って来てやるかも知れん」 「むきゅ、おやさいさんはにんげんさんにとってもだいじなんでしょう? どうしてわたしたちにくれるの?」 「人間が食べない様なクズ野菜だからだ。色が悪いとか、形が悪いとか。"食い残し"とか。 お前らなら食べるだろう。 このリュックサックに入ってるんだ」 「むきゅう、なるほどわかったわ。 いまはふゆごもりまえだからしょくりょうがほしいし、みんなをあつめるわ。 にんげんさん、ありがとう」 「おやさいさんはどんなあじなのかしら」 有難うか。確かに現世は地獄だしな。 森の重役らしいゆっくりぱちゅりーが群れの巣を周っている。 当然その位置を把握する。 ぞろぞろとゆっくりが集まってくる。 「とかいはのありすはぜんしゅるいたべたいわ」 「わかるよー、おやさいさんはゆっくりできるんだねー」 「おやさいさんがてにはいるのはたすかるみょん」 「むきゅ、にんげんさんみんなをよんできたわ」 ぱちゅりーに狩りに出ている奴がいないかを確認した所、今日はまりさ達のみだったらしい。 きけば今日は群れの全ゆっくりの休息日らしい。まりさの家は子供が多いため今日も出ていたそうだ。 ゆっくりにも休息日があるのに驚いた。作ったのはぱちゅ種だろう。 ざっと見渡して数は成体が40匹程。細かいのを入れれば100匹か。赤ゆ子ゆ親ゆの混成。上出来だ。 恐らくすっきり制限をしている群れだな。成体が多い。 「よし、それじゃあお野菜さんを渡す。 ただ一つお願いがある。 食べた事のある野菜があれば、それを教えてほしい。」 「むきゅ? どうしておしえるの?」 「気が向けば同じ野菜を持って来てやるからだ」 リュックサックから大きめの袋を取り出し、それを地面に向けて逆さまにする。 どさどさと落ちる野菜。 どれもこれも誰かの食い残しの様な野菜だ。 それを見て声が上がる。 「わかるよー、ちぇんはそのおやさいさんたべたことがあるよー」 「れいむもそのおやさいさんをたべたことがあるよ!」 「「「おいちかったにぇ!!」」」 「そうか、どこで食べたんだ?」 「やまをおりたところにはえてたよー、いっぱいはえてたよー」 「れいむもやまをおりたところでたべたよ!! とってもおいしかったよ!! ぜんぶたべれなかったから、またいきたいよ!!」 「「「とっちぇもおいちかったにぇ!!」」」 そうか。 それとさっきのあまあまをもっとちょうだいね!!くちょじじぃ!!!とほざきやがる。 その食い残しは俺がジジイから証拠として引き取った物だ。 ジジイの話では、実際に被害が出たらしい。 そして一言付け加えた。「見つけたら制裁を頼む」と。 今年は念入りの方が良い様だ。 ふとだぜまりさを見ていたら、れいむが言うや否や顔を強張らせ巣の方へ走っていった。今回はあいつかな。 それを一瞥した後、今日最後の仕事を俺はやりだした。 「よし、こんだけだ」 「ゆゆ! ぜんぜんたりないよ!! ばかなの?しぬの? はやくあまあまちょうだいね!!!!」 「「「あまあまよこちぇくちょじじぃ!!!!」」」 「これだけなんてとかいはじゃないわね。ぜんぜんたりないわ」 「むきゅ、たしかにこれだけじゃみんなにいきわたらないわ。」 「にんげんさんそのおおきなふくろはなんなんだみょん? ふくらんでるみょん」 「わかるよー、そのふくろにいっぱいはいってるんだねー。 ひとりじめはずるいねー」 ちぇんの一言で場が沸き立つ。なかなか勘が冴えてるな。 ああ、袋に"いっぱい"入ってるよ。 「ゆゆ! ぐずのどれいのにんげんさん!!ばかなの?しぬの? はやくそのふくろからあまあまちょうだいね!!!!」 「そのふくろをひっくりかえせばいいんだねー、わかるよー」 「お前ら袋の中身が見たいのか?」 「みたいよー、なかみがほしいよー」 「とかいはならだしおしみせずにだすべきよ」 「はやくだすみょん!」 「分かった。お前らの選択だ。止めはせんよ」 元々俺がひっくり返す予定だったが、ご要望がある方がやりやすい。 俺はこれみよがしに立ち上がり、リュックサックを持ち上げ逆さにし、中身を地面に放り出す。 その様をゆっくり達が期待に満ちた目で見守る。 二つのバスケットボール程の大玉が地面に落ちる。 (ドサッ) 「いだっ!!」 「いだっ!!」 その瞬間、全ゆっくりが凍りついた。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「う~~、いだいどぉ~~」 「う~~、いだいよ~~~」 中から出てきた2匹のゆっくり。それを見て周りのゆっくり達が悲鳴を上げる。 「「「ゆ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」」」 「「「ゆぎぃぃぃぃ!! れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「ふらんもいるぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! わ"がら"な"い"よ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!!」 「「「「「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」」」 外の世界で言うおーけすとらと言う奴だろうか。ゲスの悲鳴は心地良い。 顔がぐしゃぐしゃになっている様は心が踊る。 赤ゆ共は泣き喚き、おそろしーしーは当たり前。口から餡子を吐いている個体も居るな。 「んあああ!? あまあまだど~☆」 「あまあま~! ☆れみ☆りゃ☆うー!!」 「むきゅあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!どすぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」 阿鼻叫喚。 ゆっくりれみりゃとゆっくりふらんが宙を舞う。両方胴は無い。 どのゆっくりも逃げ出したいが、動いたら狙われそうで動けない様だ。蛇に睨まれた蛙か。 「あーあ、れみりゃとふらんに出くわすとは、お前ら永遠にゆっくりだな」 一人大きな声でつぶやく。ゆっくりによく分かる様、永遠にゆっくりと。 つまりお前らは今日死ぬのだと。 だが俺も鬼では無い。俺は"助け舟"を出してやった。 「よしお前ら、一人だけ助けてやる」 唖然とするゆっくり達。そのまま続けてやる。 「聞こえなかったか? "生き残った奴"を一人だけ助けてやる。 さぁ頑張れ」 「にんげんさん、たすけるって?」 ゆっくり達は理解出来ていない様で、聞き返してくる。 聞き返したのはだぜまりさか、巣から戻ってきた様だ。 「まりさ、聞こえなかったか? お前らのうち一人だけ助けてやる。 どのみちれみりゃとふらんが揃ったら、お前ら全員助からん。 中身の餡子を吸われてぽいぽいぽーいだ。 だけど偶然ここに俺が居るから、生き残った奴は"一人だけ"助けてやる」 「むきゅきゅ! もとはといえばにんげんさんのふくろからでてきたんでしょおぉぉぉぉ! だいたいひとりだけってどういうことなのぉぉぉぉぉぉぉ!!」 ざわめくゆっくりたち。ぱちゅ種が居るとやりにくいなやはり。 だが無視する。去年もそうだった。 「知らんよ。 言っただろ、逆さにしたのはお前らの選択だ。 それに俺は嘘は付かん。 生き残りたければ他のゆっくりを殺せば良いんじゃないか? 一人は助かるんだから。 そうだろうぱちゅりー?」 「むきゅうぅぅ!! ほ、ほかのゆっくりをころせるわけがないでしょおおおおお!!」 「じゃあ皆食われればいいんじゃないか。 お前らの選択だ。好きにしろ。 それとドス、お前も入ってるからな」 俺は目の前に居るゆっくり達のはるか後ろを見て、最後にそう言った。 ドスは驚いた顔でこちらを見、その後近寄って来た。 周りのゆっくりが間を空ける。 そしてちょうど、俺とドスは正対した。 「おどろいたよ。 にんげんさんにはどすがみえてるんだね。 ならゆっくりしてるんだね」 「そうだな。 俺はゆっくりしている」 「にんげんさんはどすすぱーくをしらないの? れみりゃやふらんぐらいなら、どすすぱーくでたいじができるんだよ」 「ああそうなのか?なら好きにすればいい」 にへらにへら笑うドス。そういえば去年もこうだったな。 「ほんとうはぜんぶにんげんさんがしくんだんでしょ? にんげんさん、あまりどすたちをおこらせないほうがいいよ。 どすはどすすぱーくをにんげんさんにうって、にんげんさんをたいじできるんだよ」 「ほう、そうなのか。なら好きにすればいい」 「・・・にんげんさんはばかなんだね。 どすはむれをまもらないといけないから、どすすぱーくをにんげんさんにうつよ!!」 みんなはなれてね、と続けるクソデブ饅頭。 ドスを支点にゆっくりたちが放射状に左右に分かれる。さしずめ俺を中心とした扇形だ。 俺を"たいじ"して、れみりゃとふらんも"たいじ"する算段か。 どおりでこの群れが成体が多い割に落ち着いている訳だ。普通は我先に逃げ出している。 「どすがにんげんさんをせいさいするよ! おちびちゃんはよくみていてね!!」 「「「ばかにゃにんげんしゃんはゆっくちちんじぇね!!!」」」 「わかるよー!! にんげんさんがもえるんだねーー!」 「こんだけしかおやさいさんをわたさないにんげんさんはせいさいしろみょん!!」 「みんなばかなんだぜ、にんげんさんにかなうはずがないんだぜ。 いなかものはこれだからいやなんだぜ・・・」 「ばかなんていうまりさはとかいはじゃないわね。 どすみたいなとかいはなゆっくりになりたいわ」 おのおの歓声が上がる。 よく見ると一部のゆっくりは枝を咥えている。臨戦態勢の様だ。 俺は必要事項を処理するため、相手を目測する。これが最後の作業だからな。 通常、ゆっくりは赤ゆがピンボール(直径3cm)程の大きさだ。 それが子ゆでソフトボール(直径10cm)程になり、成体でバレーボール大(直径25cm)程になる。 胎生妊娠中ならもう一回り大きくなる。 そしてドスと言われるまりさははまりさ種の変種だ。 体長が60cmほどを超えるとドスと呼ばれ出す。大体は最後は150cm辺りまで育つ。 それ以上の個体は殆ど居ない。越冬出来ずに死ぬからだ。 身体がでかい個体は、入る穴にも困る。1mの大穴など、掘れてもすぐに崩れてしまう。 ぱちゅ種指導による綿密な穴掘りか、大木を削って作った空洞に入るとかをしないと生き残れない。 育ち過ぎたドスの大半は冬に凍死する。 100cmを超えていたら、そいつは過酷なゆん生を乗り越えた、頭も回る大物という訳だ。 目の前のドスは体長およそ150cm。生存可能な最大クラスのサイズ。大物だ。 重量はおおよそ70kgぐらいか。成体ゆっくりの約100倍。跳躍も50cmは堅い。 普通のゆっくり達から見たらこのドスは文字通りバケモノだろう。 まず勝てるはずが無い。それは信頼もされる。お前らの世界ではな。 身長170cm後半のAとドスまりさが対峙する。 正対距離は約2m。とんがり帽子のせいでドスの方がAより全高が高い。 ドススパークはスパークキノコを使って熱線を放つドスまりさの魔法だ。 ゆっくりなら熱で燃えてしまう。捕食種も同じだ。 燃えると言うのはゆっくりにとっては致命傷であり、全身火傷の激痛のショックで即死もありえる。 人間でも大やけどを負う。場合によっては服が燃える。だが死にはしない。そこが大きく違う。 このデブは人間様と対峙した事が無いのだろう。哀れだ。 ふとさっきのだぜまりさを思い出したが、すぐに止めた。 俺は善意を持ってドスに一言伝える。 「ドス、先に言っておく。俺に攻撃しようとする度に片目を貰う」 「なにいってるの? どすのおめめはどすのものだよ。 にんげんさんはゆっくりどすすぱーくの"さび"になってね」 スパークには溜めがいるらしいが、俺の知っている個体で溜めの無い個体が居るから、無い物と考える。 俺はドスの動きだけを、ただだるそうに眺める。 ドスが帽子を動かし、中から何かを落とそうとする。 その瞬間、俺は"抜刀"した。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ バズゥッ!!!! 「ゆぎぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 悲鳴を上げ、餡子を撒き散らしながらのたうち回るドス。 縦一文字に右目、顔面右部を大きく切り裂かれたドスは絶叫する。 ドスが帽子からきのこを落としたのが見えた瞬間、Aは背に担いだスコップを"抜刀"していた。 スコップ。 それは土を掘り起こす道具であり、またとても頑丈な"金属加工物"である。 薄く堅く、鋭利。 Aはこの道具が人間の首でも刎ね跳ばせる事を知っていた。 ドスの帽子には大きく切れ込みが入り、その様は真上からスコップに切られた事を表す。 一見ただのスコップだが、実は凶器。 文字通りAにとってスコップは"刀"なのである。 妖怪からの自衛目的にと練習を始めたこの"スコップ"は、今やゆっくり殺しの域にまで高められていた。 「ゆぎびぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ" い"だい"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!」 「どすぅぅぅぅ!! すぱーくをうつのよぉぉぉぉぉぉぉ!!」 横からぱちゅりーが指示をする。顔面を切り開かれたドスに無茶を言う。 だがドスは涙を流し餡子を漏らし、のたうち回りながらもきのこを拾おうとする。 なかなかガッツがあるドスだが、顔中に変な汗と汁が出ていて気持ち悪い事この上無い。 俺は善意を持ってドスに一言伝える。 「いいのか? ドス」 「ゆふぅーーー! ゆふぅーーー! な"に"がっ"!!」 「いいのか? 両目を失ったら、生き残れないぞ」 「どずはぐずのにんげんざんをごろじで、ゆっぐりずるよ!!!」 「俺の動きが見えなかったんだろう? なら次も見えない。 ゆっくりは人間には勝てないんだよ。 試したかったらそのきのこを拾えばいい。 次は左目を貰う」 ドスの動きが止まる。 人間に遭遇しなかっただけで、壮絶なゆん生を歩んできた筈だ。 こいつはもう分かっている。おそらくこいつに指示したぱちゅりーも。 まわりの成体ゆっくりも唖然としており、子ゆ赤ゆに至ってはドスの餡子を見てゆんゆん泣き喚いている。 俺は更に付け加える。 「ドス、俺は一人だけ助けてやる、と言った。 お前も含まれている」 「ゆふぅーー・・・ ゆふぅーー・・・ 」 「どすぅぅ!! きいちゃだめよ!!」 「ドス、死にたくないんだろう?」 「ゆふぅーー! じにだぐないぃぃ!」 「ドス、片目しかないお前じゃれみりゃはともかくふらんは無理だろう。 勿論俺を倒すのも無理だ。 だがもしお前が最後まで生き残れば、それで助かるんだ。 どうするかはお前の自由だ。 まぁ俺がこんなことを言うのもなんだが、 生き残る可能性が高い方に賭けた方が良いんじゃないのか? ドス。 "他人は他人"だろう?」 「う"~~~ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"~~~~!!!」 ドスは涙を流し涎を流し、左目を強く瞑って唸っている。葛藤しているんだろう。 一方のぱちゅりーは顔面が蒼白だ。もう悟ったのだろう。口に枝を咥えだした。笑いが出そうになる。 俺は上で旋回しながら待機していたれみりゃとふらんに合図をする。 あまあまが腹いっぱい食える、と1日断食させていたのだ。群れの一つ程度は食い荒らすだろう。 2匹の捕食者は急降下し、地面に群がる餌に飛びついて行った。 「(がぶがぶ)うう~~ あまい~~☆」 「ゆぴぃぃぃ!? ゆびっぎぃぎぎぎぎ・・・」 「ゆんああああぁぁぁぁぁ!! ぴぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「ゆああぁぁぁぁぁ!! きょわぃよぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆぅぅ! おちびちゃんがぁぁぁぁぁぁ!!!」 俺の方に注目していたゆっくり共は、捕食者が降りてきた事に気付くのが遅れた。 まずはれみりゃが俺を案内したれいむの赤ゆの1匹に噛み付き、餡子を吸いだした。 ふらんは空を旋回し"品定め"をしている。 奇声を上げて白目を剥き痙攣する赤れいむ。それを見てしーしーを漏らしながら泣き喚く2匹の姉妹。 空を飛んでいたれみりゃが降りてきた事により、ドスの右手側のグループはパニックに陥っていた。 まぁどの道赤ゆが生き残る事は無い。せいぜい恐怖で震えて甘くなってくれ。 「みんな! ちがうほうこうににげるのよ!! そうすればたすかるわ!!」 「ゆゆ!! おちびちゃんたち!! ゆっくりついてきてね!!」 「ゆー!! ありすたちもにげるよ!!」 「「「みんな!! ゆっくりにげるよ!!」」」 ありすがゆっくり達に生存策を伝える。このありすは群れの重役かな?確かにそうだな。 それを聞いた一部のゆっくりの親子は逃げ始めた。良いぞその調子だ。 だから俺は付け加える。 「このふらんは俺から離れた奴を優先的に食う。 食われたい奴から逃げれば良い。お前らの自由だ。」 これは事実だ。そう仕込んだ。 案の定なんの命令もしていないのに、ふらんが逃げ出したゆっくりを追い出した。 「う~~~☆ ふらんもあまあまたべたいど~~☆ にげるやつはつまみぐいだど~~☆」 「じゃあこのおおきいのはれみりゃのぶんだど~~☆」 「ゆああああああああ!! こっちこないでぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「ゆんあああああ!! にげてぇぇぇぇぇぇぇ!!」 逃げ出したゆっくりと指示したありすが悲鳴を上げる。 だがもう遅い。四方に逃げたゆっくり達はみな"つまみ食い"をされ、足を無くすだろう。 成体ふらんが一匹居れば、どの道助からないのだ。食うのよりも嬲り殺すのが目的なのだから。 タックルされて身体を倒され、あんよを噛みちぎられ、それで一生が確定する。 ふらんは逃げる奴を食い荒らし、れみりゃは動いてない奴を食い荒らす。 ありすは自分の言った事で仲間が"つまみ食い"をされる様を見て、顔が青ざめていく。 ぱちゅりーはというと、えだを噛み締めて何かを観念した様だ。目が据わっている。 「ゆううううう!! ぱちゅりー!! なんとかしてね!!」 「ゆっくりしないではやくしてね!! れいむたちをたすけてね!!」 「ぱちゅりーはほんとにぐずだね!! ひとりでかりもできないしね!!」 「ありすのせいでふらんがきたよ!! ありすのせいでゆっくりできないよ!!」 「「「ありすとぱちゅりーはほんとゆっくりできないゆっくりだね!!」」」 「どぼじでそんなこというのぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!! ぱちぇもありすもがんばってるでしょぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"」 「そうだみょん!! ぱちぇもありすもわるくないみょん!!」 ゆっくりに責められ泣き出すありす。質の悪い群れの様だ。みょんだけが味方をしている。こいつも重役か? まぁゆっくりにとって「ゆっくりできないゆっくり」と言われるのはゲス以下、死に値するほどらしい。 そこまでこき下ろされたら泣き出すのも無理は無いか。ありす種はプライドが高い様だし。 まぁ俺には関係無い。 その一部始終を眺めた後、俺はドスを生温かい目で見つめていた。 ぱちゅりーと同じく目の据わったドスが満身創痍で動き出したからだ。 「(ブルブル)ゆ"ぅ"ぅ"~~ ・・・じにだぐないぃぃ・・・ どすは・・・」 『・・・!? どす!?』 「どすは、」 『だれか!! どすをとめて!』 「どすは、いきのこるよ!」 『みょん! どすをえださんでさしてぇぇぇ!! はやくぅぅぅぅ!』 「(パクツ)」 「!? わかったみょん!! どすうぅぅぅぅ!! ・・・!?」 ぱちゅりーが叫び、みょんが枝を咥えて突進する。異変に気付いた様だ。なかなか速い。 だが一歩早く、ドスはキノコを舌で取り口に含み、みょんの居るドスの左手側に向き直った。 ああ、位置が悪かったな。むしろ運か。 右手側に居れば、ドスには位置が分からなかったのにな。 カッ! (ボッ)「「「「ゆぎぃぃぁぁああああああああ!!!!!」」」」 ドスはキノコを咥えると、身体を左手に半回転させ口元をみょんの正面に向けた。 予想通り溜めなど無かった。一瞬で眩い光が放たれ、みょんを含む左手のゆっくり達が燃え出す。 ドスから左手側のグループを牽き潰す様に、炎の軌跡が生まれていた。 「「ゆぎゅ"う"う"う"う"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!!!!」」 「「あじゅい"い"い"い"い"い"い"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!」」 「「だずげでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!!」」 「「「「ゆ"ん"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」」」」 「「「「ぴぎぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!」」」」 赤ゆは即死。子ゆと成ゆは全身が炎に包まれ転げ回っている。 みょんも絶叫しながらのたうち回る。ぽよんぽよんという音では無く、バスンバスンと狂った様に。 ゆっくりの肌は人間よりも敏感らしい。ならばこの全身を包む炎は想像を絶する地獄だろう。 およそ左手側の9割が直撃、即死を免れた20匹程のゆっくりが独自のファイヤーダンスを踊りだす。 ゆっくりにとって火が付くと言うのは殆ど死を意味する。顔しかないゆっくりは自分で火を消せないからだ。 しーしーとうんうんを撒き散らしながら飛び跳ねるクソ共を見て、その様を楽しむ。 同時に山火事にならない様に、燃え出した枯れ葉を踏んで消火するのも忘れない。 そしてドスの右手側をAグループ、左手側をBグループとするなら、既に両方にパニックが起きていた。 A側はれみりゃが食い荒らし、B側は火炎地獄となっている。仲間割れも散見出来た。 もう終わりだろう。 A側に居た司令官と思われるぱちゅりー自身が、枝でありすを突き刺しているのだから。 (ザクゥッ!) 「ゆぎゅ"う"う"う"!! ぱちゅりーどぼじでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!!」 「むきゅうぅぅぅぅぅ!! どすがいないいじょう、もうたすからないのよぉぉぉ!!! ならぱちゅりーは、このえださんでみんなをころしていきのこるわぁぁぁぁ!!! さいごのひとりになるのよぉぉぉぉぉぉ!!!」 むきゅきゅきゅきゅー、と笑いだすぱちゅりー。 そうだな。頑張れ。お前では無理そうだが。 「どぼじであ"り"ずな"の"お"ぉ"ぉ"ぉ"!! ごうなっだのはでいぶのせきに"んでしょぉぉぉぉ!! さぎにでいぶをさすべぎでしょぉ"ぉ"ぉ"!!」 流石成体、刺された程度ではまだ死なんか。言ってる事も一理ある。 まぁ言ってる事自体はゲスなんだが、この状況でゲス化しないゆっくりなどいない。 それを聞いたちぇん親子が枝を咥えてれいむに向きだした。 「「わかるよーー!! ぜんぶれいむのせきにんなんだよーー!!」」 「だれかぁぁぁぁ!! おちびちゃんをたずぶぎぃい!!」 まだ叫んでたのかお前。もう死んでるだろ。 2匹のちぇんの枝が左右かられいむの顔に突き刺さる。 引き抜かれた穴から餡子が漏れ、痛みで泣き喚くれいむ。 そしてそれをお構いなしに、付近のゆっくりがれいむに噛みつき出していった。 「れいむのせいだよ!! くずのれいむははやくしんでね!!」 「れいむがしねばたすかるんだよ!! ゆっくりしないでしんでね!!」 「「「くずのれいむ!! ゆっくりごろし!! ゆっくりできないれいむはゆっくりしないでしんでね!!」」」 「ゆぎぎぃぃぃぃ!! どぼじでこ"ん"な"こ"と"す"る"の"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!! や"べでぇぇぇぇぇ!! い"だい"い"い"い"い"い"い"い"!!! ばでぃざばずげべぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!」 皮を引っ張り引き千切り、中から餡子が漏れ出す。 逃げようと必死に飛び跳ねるが、飛び跳ねるごとに皮を噛みちぎられ餡子を撒き散らしている事に気付いていない。 すぐに飛べなくなり、顔の半分以上の皮を持って行かれたれいむが見えてきた。 「ゆ"べぇ"ぇ"!! だずげべぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!」 口から残り少ない餡子を吐いて助けを求める親れいむ。 聞こえないかのごとく執拗に枝で殴る刺す噛みつく引き千切るをするまわりのゆっくり達。地獄絵図だ。 その様を見ていたれいむの赤ゆ2匹は、恐怖でうんうんとしーしーを垂れ流し、口から餡子を漏らして悶死していた。 ふとこいつの番のだぜまりさを探す。 少し離れた所で何かをしているが、よく見ると枯れ葉を集めてその中に隠れようとしていた。 無言で顔は必死だ。全然ゆっくりとしていないが、中々賢いな。 視線を戻すとB側はほぼ壊滅、生き残ったA側のゆっくりがドスを刺し殺そうと枝で突き刺しているのが見えた。 「むきゅうぅぅぅぅぅ!! みんなぁぁぁぁぁ!! どすをころすのよぉぉぉぉ!!! じゃないとどすにころされるわぁぁぁぁぁぁ!!!」 「どすははやくしんでね!! れいむたちがいきのこるよ!!」(ザクッ!) 「いきのこるのはみょんだみょん!! みょんいがいはみんなしぬみょん!!」(ザクゥッ!) 「う~~☆ おっきなあまあまさんなんだど~☆」(ガブゥゥ・・・ブチィ!) 「い"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"」(ドスン!ドスン!) 「むきゅ!? どすぅぅぅぅ!! こっちこないでべぎゅ!!」(ブチャァ!) 「んほぉぉぉぉぉぉ!! まりさぁぁぁぁぁぁぁ!! ありすのあいをうけとめてぇぇぇぇぇぇぇ!!」(ユサユサユサユサ) 「だずげでぇぇぇぇぇぇ!! だれがばでぃざをだずげでぇぇぇぇぇ!!」(ユサユサ・・・) いよいよ本当の地獄になってきた。 ドスを殺そうとするぱちゅりーがゆっくりを誘導し、れみりゃまでもがドスに噛みつき皮を剥いでいる。 痛みで飛び跳ねたドスがぱちゅりーを体半分踏み敷き、圧迫された生クリームが破裂してぱちゅを四散させた。 奥を見ると刺されてないありすがまりさをれいぷしている。すっきり制限で我慢もあったのだろう。 顔は恍惚、舌を大きく出してだらしなく涎を垂れ流すありす。 性欲全開でまりさを犯す様は反吐が出そうになる。しかも相手は子まりさだ。 「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」とありすが奇声を上げた後、まりさは餡子を吐きながら黒ずんで行った。 「ゆふぅーー! じにだぐないぃぃ!」 体力だけはあるクソデブが飛び跳ねる。だがもう身体の下半身は穴だらけだ。 飛び跳ねるだけで餡子が飛び出し、とうとう皮が裂け始めた。 裂けた状態で飛んだ瞬間、大きく皮が裂け餡子が盛大に飛び出した。 「い"ぎぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!! たずげべぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!」 「どすはしねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」(ザスッ!) 「ッッッばあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!! ゆ"ん"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」 もうあんよが裂かれ、飛べなくなったドスの左目にまりさが枝を突き刺す。 両目を失ったドスが絶叫する。この瞬間、ドスが生き残る可能性は消えた。 「おちびちゃん、ごめんねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「やべでおぎゃあしゃん"ん"ん"!! でいぶをがまないでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!」 甲高い悲鳴のする方を見ると、親れいむが子れいむを噛み潰そうとしていた。 すでに近くの赤ゆは誰かに噛み潰された様だ。無残に四散しており、誰の子で誰にされたかは容易に分かった。 ゆっくりは人間同様、子と親の体格差が大きい。子では勝てないだろう。 周辺では他人の子ゆっくりを殺し、また自分の子ゆっくりが他人に殺されるという光景が広がっていた。 殺しやすい相手から、赤の他人からという事なんだろう。 れみりゃはドスを食い荒らすのに夢中で、ふらんは逃げたゆっくりを嬲っている最中だ。 最後の一人になるべく、どのゆっくりも同族と殺しあっていた。笑いがこみ上げる。 そう、いつしか俺は、この光景を見ることだけが生き甲斐になっていた。 燃えさかるゆっくりたち。親子殺し、隣人殺し。強姦。暴行。罵倒。雑言。恐怖。苦悩。苦痛。諦観。 この地獄劇場が永遠に続けば良いと思いながら、俺は阿鼻叫喚を心行くまで堪能していた。 「んほぉぉぉぉぉぉ!! まりさぁぁぁぁぁぁぁ!! ありすのあいをうけとめてぇぇぇぇぇぇぇ!!」(ガサガサガサガサ) ありすのれいぷ宣誓が聞こえた。ふと見るとさっきぱちゅりーに刺されたありすだ。 カスタードを傷口から垂らしながら、枯れ葉の山にガサガサと突進していく。 狙いは隠れているだぜまりさの様だ。 まりさはというと心底嫌そうな顔をし、枯れ葉から出て枝を咥えて応戦しだした。 「どぼじでうけとめてくれないのぉぉぉぉぉぉ!!」 「まりささまのつまはこのむれにくるまえにしんだれいむだけなんだぜ!! れいぱーありすやげすのれいむはごめんなんだぜ!!」 「まりさはありすよりもれいむをえらんだぁぁぁぁぁぁ!! ありすはむれのじゅうやくなのよぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「どすがわるいんだぜ!! あのれいむがだんなをなくしたからつがいになってくれといってきたが、 きょひするならむれからでていけといったんだぜ!! まりささまはしょうだくしたくなかったんだぜ!!」 「ならどうしてありすをえらばなかったのぉぉぉぉぉぉぉ!! むれのおとなのゆっくりはつがいにならないとだめなのよぉぉぉぉ!! まりさがれいむをえらんだからありすはいまだにひとりなのよぉぉぉぉぉぉ!! ありすだってすっきりしたいわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「おまえみたいなげすなれいぱーといっしょになるくらいなら、 げすれいむとゆっくりのないゆっくりせいかつをおくるほうがましなんだぜ!! おちびちゃんのきょういくにわるいんだぜ!!!」 「んはぁぁぁぁぁぁ!! ならありすはまりさとまりさのこどもですっきりしてやるわぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ありすをこばんだばつなのよぉぉぉぉぉぉ!! んほぉぉぉぉぉぉぉ!!」 傷口からカスタードを垂れ流しながらもまりさを襲うありす。 顔は狂喜し舌を垂らして涎をふりまき、ぺにぺにを突き出して突進していく。 きっとまりさを気に入ってるんだろう。尋常じゃない執着ぶりだ。狂ってやがる。 このまままりさが負ければ、親子共々すっきりされてしまうだろう。 まあ俺には関係無いがな。 高みの見物をしていたら、逃げたゆっくりを食い終えたふらんが戻ってきた。 「う~~!! もっとあまあまくいたいど~~!!!」 「んほぉぉぉぉぉ!! まりさぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆぅぅ!? ゆううううううう!!!」 ふらんとありすに挟まれたまりさ。丁度一直線上だ。終わったな。 だが俺の期待と裏腹に、まりさは後ろのふらんの方に走り出した。 ふらんが慌てて急降下する。ありすもまりさを追い掛ける。 噛みつこうとするふらんの下を紙一重で滑り込み、そのまま枯れ葉に潜る。 ふらんはそのまま後ろにいたありすに激突する。 「ん"ほぉ"ぉ"ぉ"ぉ"んぶぎゅ!! い、いだい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!」 ありすに噛みつき、そのまま空高く舞い上がるふらん。 持ち上げたありすを空から落とす。俺が以前教えた「もっと甘くなる方法」をしている様だ。 「ゆ! おそらをとんでるみだばぎゃ!!」 べちゃぁ!!と墜落するありす。 あんよから地面に落ちた様で、傷口が裂けカスタードを撒き散らしていた。 悲鳴を上げるありす。それを見ていたれみりゃが、ちぇんを咥えながら寄って来た。 咥えているのは、どうやら畑を食い荒らしたちぇんの様だ。 しーしーを漏らしながら必死に牙から離れようともがいている。 「う~~☆ ふらんはなにをやってるんだど~~☆」 「う~~☆ そらからおとすとあまくなるんだど~~☆ おにいさんがいってたど~~☆」 「う~~☆ れみりゃもやるど~~☆」 「う~~☆ ふらんがおてほんをみせてやるど~~☆」 ちぇんとありすはそれぞれ上に持ち上げられ、何度も何度も執拗に地面に落とされた。 叩きつけられる度に中身を飛び散らせ、しーしーを漏らして痛みに身悶える。 ちぇんの方は泣き叫びながら「わからないよぉぉぉ」「らんしゃまぁぁぁぁ」と叫んでいる。 ありすの方は「やべでぇぇぇぇぇ」「ばでぃざぁぁぁぁぁぁ」と叫んでいる。 どちらも助けは見込めそうに無い。 ありすの方が可能性は大だが、そのまりさは枯れ葉の中でだんまりを決めているのだから。 「いだい"よ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!! ら"ん"じゃ"ま"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」 「までぃざぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! ありずぼだずげべぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!」 「う~~ そろそろあまあまになってるんだど~~☆」 「ならたべるど~~☆」 「いだび"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!! かまないでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"」 「やべでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!! すっぎり"し"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!」 畑を荒らしたちぇんはれみりゃに。 最後まですっきりしたがっていたありすはふらんに食べられた。 周りを見ると、もう動いているゆっくりは数匹しか居ない。 俺はスコップを片手に、最初に見ていた巣穴に向けて動き始めた。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「・・・おまえ生きてるのか?」 「し、しんでるんだぜ。ほっといてほしいんだぜ」 枯れ葉を足でどかし、隠れているだぜまりさを見る。良い反応だ。 俺はまりさに一言伝える。 「もうゆっくりは皆死んだ。生き残ってるのはお前"だけ"だ」 「ゆ? ほ、ほんとに?」 「ああ、まわりを見てみると良い」 そういうとまりさが枯れ葉の山から出て行った。 辺り一面ゆっくりの死骸だらけ。 焼け焦げたゆっくり、中身が吸われしぼんでいるゆっくり、皮が裂け餡子が漏れ出ているゆっくり。 動いているゆっくりは無く、そこには死体と焼け焦げた匂いしか残っていなかった。 「どうだ? この焼け焦げた匂い。 俺は確信した。 勝利の香りだ」 「しょ、しょうり?」 「ああそうだ。 ゆっくりの神様はお前に味方したようだな」 「・・・・・・」 呆然と周りを見詰めるまりさ。 あのドスが。あのぱちゅりーが。あのありすやれいむ達が。皆変わり果てた姿で横たわっている。 まりさがいつこの群れに入ったのかは知らないが、思う所もあるのだろう。無言だった。 ふらんとれみりゃは中心の木で横になっている。よく食べたからな。 俺は構わずスコップで後始末をする。 「ゆ? にんげんさんなにしてるの?」 「ん? お前らの巣を埋めてるんだ。 残していたらまたここに群れが出来るからな。 人里に近い巣は全て埋める」 そう、スコップはこの為に持って来たのだ。ドスが居れば応戦に使うが、これが主な目的。 手際良く埋め立てて行くと、ある巣の前に来た時にまりさが血相を変えて飛びついて来た。 「やめてね!! にんげんさん!!」 「なにが? 巣ならもっと奥に作れ」 「ゆぐ! わかったからやめてね!! つちさんをかぶせないでね!」 「だからなんで?」 「ゆ・・・ す、すがなくなると、ふゆがこせなくなるよ!! やめてね!!」 「そこの野菜を持って他の群れに行けば、場所ぐらい貰えるだろう。 それにお前一人なら冬が越せるぐらいの量だろう、あの野菜は」 「ゆーー!! ここはまりさのゆっくりぷれいすなんだよ!! はやくはなれてね!!」 ぽよんぽよんと音を立て猛抗議をするまりさ。口調まで普通に戻っている。 よほど慌てているらしい。 生き残ったと言うのにここで喧嘩を売るとは、死にたいのか? 少し考えたあと、ある事を思い出してまりさに一つ質問する。 「まりさ、番のれいむとは同じ巣に住んでたのか?」 「ゆ! べつのすにすんでるよ!! わかったらはなれてね!!」 「そうか。まぁいい。他の巣は全部埋め立てた。そろそろ帰るよ」 それを聞いたまりさは安堵し、口調も戻った。 「ゆゆ、にんげんさんはゆっくりかえるんだぜ!! まりささまももっともりのおくにいくんだぜ!!」 「ああ、そうした方が良いな」 寝ている2匹をリュックに入れ、帰路に付く。 その様子を凝視しているまりさを尻目に、俺は歩き出した。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 20分後、俺は再び群れの中心に戻って来た。 もうお分かりだろう。 まりさの巣と思われるところにスコップを当て、土を掘り返す。 異変に気付いたまりさが巣から飛び出し、顔をぐしゃぐしゃに崩しながら問いかけて来た。 「にんげんさんんんん!! なにしてるのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「ああ、忘れ事をこなしにな」 そう言いながらもスコップで土を掘る手は止めない。 せっかく待ってやったのに、何をしてたんだか。 「にんげんさんんんん!! やめるんだぜ!!」 「それは出来ないな」 「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! やべでぇぇぇぇぇぇぇ!!」 泣き出して必死に俺の脚にぼすんぼすんと体当たりをしてくるまりさ。"うい奴"だ。 上から掘る事で巣が見え出し、真上から巣の全体が見えるまで掘った。 入口に木や石で堅牢なバリケードが敷かれているが、奥に部屋が二つある。 手前の入口側が食糧保管庫兼台所、後ろの部屋が寝室の様だ。 そして寝室には、子まりさが2匹と赤まりさが3匹居た。 「「ゆゆ!! にんげんしゃんだよ!!」」 「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」」」 そう、まりさは賢いまりさだった。 出会った時に帽子が膨らむ程食料を集めていたのは、家族が多いから。 それは休息日に活動する点からも分かる。 休息日に休息していないまりさは、さぞゆっくりしてないゆっくりに見えただろう。 番のれいむからも、その赤ゆからも馬鹿にされる訳だ。まぁもっともここはれいむもだが。 巣に急いで走って行ったのも、バリケードを塞いで子供を助けるため。 ありすを拒んだのも、まりさ種ばかりのため。 それなら別居で済むれいむの方が良い訳だ。れいぷの危険が無い。 ゆっくり如きがここまで頭が回る事に感心しながら、まりさに問いかける。 「さぁまりさ、続けようか」 「ゆう"う"う"う"う"う"!!! なにお"お"お"お"お"お"お"お"!!!?」 「決まってるだろう? 一人"だけ"助けてやる」 「ゆ"ん"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!! どぼじでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!」 「まりさ、はやくしないと上のふらんが食い出すぞ? 隠れなくて良いのか?」 空を旋回するふらん。やはりれみりゃよりふらんの方が役に立つ。 ふらんはニヤニヤしながら今か今かと合図を待っている。 涙を流し涎を流し、哀願するまりさは愛おしくも思う。 「ま"り"ざの"お"お"お"お"お"お"お"お"!! おぢびぢゃ"ん"ばあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!! どっ"でも"ゆ"っ"ぐり"じだゆ"っ"ぐり"な"ん"でずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「ああそうなのか。まぁ俺には関係無いが」 「ま"り"ざば"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! おぢびぢゃ"ん"ばあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!! う"ばあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」 何を言ってるのかさっぱり分からん。 まりさの子供は事態が飲み込めず、姉妹ですーりすーりしている者も居る。ふらんが見えて無いのだろう。 どう足掻いても、絶望。 「ゆっぐりのがみざばはあ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!! ばでぃ"ざの"みがだじゃ"な"い"ん"でずがぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!」 「いやぁ味方なんじゃないかな? 生き残ったのはお前の"家族"だけだ。 次は1人になるまで頑張れ」 「ぞん"な"の"い"や"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!」 憐れなまりさ。親が泣くなよ。れみりゃに追われたか。 ゆっくりふらんが空から降りて来て、わざとまりさの横に座り穴を見た。 中の子ゆっくりと目が合い、合唱が始まる。 「「ゆ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!! ごわ"い"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!」」 「「「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」 中枢餡レベルに刻まれた捕食種への強烈な恐怖がゆっくりを襲う。 ガタガタ震えしーしーを漏らす赤ゆと子ゆっくり達。悪いがその様は興奮する。 親まりさの方は歯を食いしばり、歯と歯の間から涎を垂れ流している。勿論泣いているので汁塗れだ。 ゆっ、ゆっ、と子供が泣いた時の様にえづきながら泣いている。かわいそうに。 だが俺も鬼では無い。仕方が無いからまりさに"助け船"を出してやった。 「なぁまりさ、誰が生き残るのか決められないのか?」 「ぞん"な"の"む"り"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!」 「じゃぁこうしよう。 まりさが死ぬか。子供が全員死ぬか。 これなら選べるだろう」 「ばでぃ"ざがじんだら"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! おぢびぢゃ"ん"ばいぎでいげな"い"ん"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!!」 「なら子供を殺すしかないな」 「ぞん"な"の"む"り"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!」 優柔不断なゆっくりだ。譲歩したというのに。本来なら皆殺しなんだがな。 まぁ子ゆっくりも赤ゆを脱した程度の大きさだ。確かに越冬は無理だろう。 まりさがたまらず哀願を続ける。仕方がないので聞いてやる。 「おでばいじばずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! ばでぃ"ざがじんだら"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! おぢびぢゃ"ん"ばいぎでいげな"い"ん"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!!」 「お前が生きれば良いだろう? 違うのか?」 「ごのごだぢばぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! ずでごなんでずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! お"や"がい"な"い"ん"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!!」 「捨て子か? 別に珍しくも無い」 そうだ。この幻想郷では別に珍しくも無い。 人間でさえ、妖怪に親を食われる事があるのだからな。 「ごのごだぢばぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! ばでぃ"ざがお"や"がわりな"ん"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! ばでぃ"ざもお"や"がい"な"がっ"だん"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! だがら"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! おぢびぢゃ"ん"だげば"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! だずげだい"ん"でずぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!! だずげでぐだざい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!」 親が居なかったこのまりさは、同じ境遇の親がいない他の子まりさを助けたい訳か。 なるほどな。 くだらん。俺が怖くないのか? だがそうだな。子ゆ共はまだ小さい。親がいないと子は死ぬしか無いだろうな。ああそうだろう。 だから俺は、 "ゆっくりの神様"に決めて貰おうと思う。 「よしまりさ、これが見えるか?」 俺は一枚のコインを取りだす。幻想郷の外の世界の硬貨だ。 表に桜が、裏に数字が刻まれている。名前は100円玉という。古道具屋で仕入れた物だ。 まりさはぶるぶると震えながらそれを見る。 「いいかまりさ。この花が載っている方が表だ。花が無い方が裏だ。 このコインを投げて、出た方を殺す。 表が出たらまりさを殺す。 裏が出たらまりさの子供を全員殺す。 これでいいな? 出た方を殺す。 そして投げるのはお前だ。 分かったな?」 「ゆ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!! ぞん"な"の"む"り"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!」 「いいかまりさ。 お前はさっきゆっくりの神に味方された。 だから今回も味方されるのを祈れば良い。 早く咥えろ。 そして、それを高く放り投げろ」 「ゆ"う"う"う"う"う"!!! ゆ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!」 もはや思考もままならないのだろう。 言われるがままに咥えだす親まりさ。 「咥えたな? 思い切り上に放り投げろ。 神に祈りながらな」 「ゆ"う"う"う"う"う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」 ヒュン。 顎を使い大きく上にコインを放つまりさ。 空を舞うコイン。時刻は夕暮れ。運命のコイントス。 真っ赤な陽光が俺とゆっくり達を包んでいる。幻想的な世界。まるであの日の様だ。 世界がスローで進んでいく。 光を反射し紅葉色に煌めくコインは、そのまま上昇が終わると弧を描きながら落下した。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「おぢびぢゃ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん"!!!! う"ばあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」 「「「「「ゆびぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」」」 屋根の無くなった巣の外で身を寄せ合うまりさ親子。 まりさの投げたコインは、まりさの元妻の体に突き刺さっていた。 餡子に垂直に刺さったコインは、表も裏も表さない。 どうやらゆっくりの神というのは本当に居るのかも知れない。俺には分からないが。 俺は約束通り、"出た方"を殺して帰る事にした。出た方が無いのだから、殺す相手も居ないのだが。 コインを餡子から引き抜き、まりさに一言伝える。 「にんげんしゃんんん!! ゆっくりかえってね!! にどとこないでね!!」 「さぁな。 あとまりさ、これはやるよ」 俺は泣いているまりさにコインを投げる。 「ゆぐう!?」 「おまえは運命に打ち勝った。 それは記念に持っておけ」 「うんめい?」 「ああそうだ。 コイントスは人間の持つ、運命を試す方法の一つだ。 困った時に使うと良い」 コインを渡すと、俺は踵を返す。 安堵するゆっくり共の声が聞こえる。それが勘に障る。 そうだ。コインの代価を貰っておこう。 バチンッ!! 「ゆ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!! ま"り"ざの"おぼうじがあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」 親まりさの帽子の"つば"を、仕事用の果樹園用はさみで盛大に切る。 右目の上の部分に切れ込みが入り、人間視点でなかなか"りりしく"なった。 「助かっただけ有り難いと思え」 ただの八つ当たりには違いない。 命よりも大事な帽子に切れ込みが入り、以後のゆん生は難儀するだろう。 命を張ってまで助けた相手が、それほどの価値があるのか。俺が知る事は無いだろうがな。 ふらんは自分でリュックの中に入り、そのまま眠りに付いた。 まりさ親子は助かった事に涙し、俺は仕事を終えて帰路に付く。 もう会う事も無いだろう。まぁ俺には関係無い。 太陽はもう殆ど落ちていた。もうすぐ妖怪の時間だ。 助かった事に安堵する声を後ろに、俺は自宅へと歩き出した。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ Epilogue - 「ふああああ あやちゃんのぱんつみたい」 夏。炎天下。 男は一人つぶやく。叶う筈が無いんだが。 唯一の楽しみである"文々。新聞"を読みながら、ため息を付く。 今回の記事の内容はゆっくり特集。 山の奥に居る希少種などについて書かれていた。 最近はドスの亜種に面白いゆっくりが出てきたらしい。 体長60cmほど、まだ若いドスまりさが人里の果樹園に近い森に居る。 ドスの帽子には大きな切れ込みがあり、あまりゆっくりできていなさそうだ。 だが本人はとてもゆっくりしているらしい。 このドスは一人で生活しており、群れには属していない。 子供が居たが既に独立し、今は悠々自適に生活しているとの事だ。たまに子供が会いに来るらしい。 一人立ちした子供の元気な姿を見てはゆっくりしているらしく、ゆっくりにしては素晴らしい家族関係だ。 そして出会う捕食種やゲスゆっくりに対して、このドスはある"ゲーム"を仕掛けるそうだ。 それはコインを投げるゲーム。 表が出ればドススパークで焼き殺し、裏が出れば帽子を奪う。 どちらにしてもゆっくり的にはゆっくり出来ない、恐ろしい結果だ。 だが回避方法もあるらしい。 どちらの目も出さなければ良いのだ。 そんな事は不可能だと思うが、このドスは昔どちらの目も出さなかったらしい。 曰く「ゆっくりの神が味方した」との事。そんな神が居るのだろうか。 ただ例え回避出来ても、帽子はずたずたにされるらしい。だが取られるよりはマシだろう。 真相は闇の中だが、今回はこの辺で終わりたいとする。次回は町ゆに焦点を絞り・・・ 森の中。 ゆっくり達の悲鳴が木霊する。 あるゆっくりが溜めこんでいる食糧を奪おうと、ゆっくり達が徒党を組んでやって来たのだ。 しかし結果は返り討ち。ゲス共の命運はここに尽きた。 襲われたゆっくりが声を掛ける。 「さぁ、まりささまはせつめいしたんだぜ。 はやくそのこいんさんをくわえるんだぜ。 そしてそれをたかくほうりなげるんだぜ。 "かみにいのりながらな"」 帽子に切れ込みのあるドスまりさは、そういって目の前のゆっくりの「運命」を試しだした。 陽光煌めく幻想的な、あの日の様に。 森の中の切れ込みまりさ 種族:ドスまりさ 能力:ゆっくりの運命を試す程度の能力 おしまい 【後書き】 ゆっくりの重さに散々悩んだ結果、成ゆで700g(バスケットボール7号球とほぼ同じ)という事に。 ただ餡子が詰まってるのなら、直径25cmの球体ならもっと重いはず。 とかスーパーに行って餡子の缶詰見ながら思った今日この頃。重いと蹴りにくいので軽めに設定。 「さぁ続けようか」 「地獄じゃ! 神はなぜ弱者に自由を与えて下さらん」 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ピンボールは4cmだ、よく覚えとけ -- 2013-07-15 13 35 13 依頼が1日で終わるだけで日雇いって訳じゃないんだが、早苗は腹が黒いな原作通りだ ゆっくり駆除系の中では珍しい終わり方だな、ハッピーエンドが受け入れられずに 騒いでる奴が居たようだが、ゲスゆに通ずる所があるな、後この作品好きです。 -- 2013-01-16 12 31 45 面白かった。個人的にこの手のシナリオで善良が生き残るのは当然の既決だと思ってる その分、ゲスやアホは地獄を見てざまぁw しかし最後のどうあがいても絶望から奇跡を起こすとは…… -- 2012-09-24 15 28 23 ↓×5 へー、じゃああなたはもっと上手に自作新種ゆっくりを書けるんですねーすごいなー(棒) 偉そうに評論家ぶるなよ 気に入らなかったら自分でストーリー書いて喜んでろ 自分の思考しか認めない奴とか、凸厨くらい嫌いです -- 2011-12-31 01 17 41 ダーティに運命をベットする切れ込みまりさマジかっけぇ。 まぁ、赤ゆが虐待されんで不満垂れてる人もいるが、別にこの駆除人は虐待お兄さんじゃないんだから、ありだと思いますがね。 -- 2011-08-24 03 34 32 ↓3 過剰ってほどではないだろう。ゆっくりは三以上は数えられない設定もあるし、単に気づいてないだけで結構な数が死んでるのでは? 善良っぽいゆっくりを出す場合、贔屓が入るのは明らか。中にはどうしようもないことになるやつもあるかもしれないが、基本は善良は優遇されるだろ 確かにあの場面で赤ゆが出てきたら期待はするけど、あの結果は贔屓ではないだろ。奇跡のような偶然とはいえ、何億分の一の確率でも、起こりうるんだし。 長々と書いたが、結論。 見たい奴があれば自分で書け。気に入らないからって否定するのはおかしい 以上 -- 2011-05-07 17 41 01 何このドスかっこいい ちょっと潰してきますw -- 2010-11-11 18 45 13 まあ何言っても作者の自由だけどな -- 2010-10-11 17 40 10 途中までは面白かったけど欲張って森の中の切れ込みまりさなる 新ゆっくりまで詰め込んだのが大失敗の元でしたね どの作者も自分の考えた新ゆっくりには過剰贔屓になりがちですが この森の中の切れ込みまりさも典型的な例ですね 帽子に切れ込みがあり、コインで運命を決める俺のカッコイイまりさを 作りたかったのはまあいいとして 守ってた赤まりさ達も無事生き残らせたのは完全に過剰贔屓でしたね 子ゆ達を立派に育てあげた俺のカッコイイまりさにしたかったんでしょうが あのタイミングで赤まりさ達が出てきたら当然虐待を期待するわけです それが俺のカッコイイまりさの為に無傷で生き残ってしまいイラつきました 僕・私の考えた新ゆっくりを出す時は過剰贔屓に注意しましょう -- 2010-10-02 04 10 42 すごく面白かったです! ただ残念なのが必死に隠してた子まりさ・赤まりさが見つかった時に 私の心が完全に虐待モードになってしまっていたので この全員が助かる結末にフラストレーションを感じちゃいました もちろんストーリー的にはとても面白い結末です どんな善良なまりさでも地獄を見せないと気が済まないという 私の心が歪んでいるせいなんですけどねw -- 2010-09-08 23 38 16 これ、いいよなー -- 2010-07-31 10 12 36 早苗さんに言葉責めされるとか、完全にご褒美。 -- 2010-07-17 23 05 34 面白かった! -- 2010-07-09 16 12 15
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ザァァァァァァァァァァァ・・・ ぱしゃぱしゃぱしゃぱしゃ 「あんちゃん!雨が強くなってきたよ!」 「わかってるって!黙って走れ!」 学校帰りに季節外れの大雨に降られ、慌てて走る兄弟がいた。 「もう少し先にバス停があるからそこまで走るぞ!」 「うん!」 兄弟は河川敷を並走するこの村で唯一の舗装道路を走っていた。 村から都会へ一日2本のバスが走る道でもある。 兄はこの道沿いにあるバス停の待合室で雨宿りをしようと考えていた。 「見えたぞ!あそこで雨宿りするぞ!」 兄は猛スピードで走りぬけ、そのままの勢いで待合室である小屋に飛び込んだ。 「いっちばーん!」 グチャ 「「「「ゆ゛っ!」」」」 兄は飛び込んだ瞬間、なにかを踏みつけた。 「・・・うへええええええええええっ?!」 そして小屋の中が予想を超える状況であったことに思わず叫んだ。 「あんちゃん置いてかないでよ・・・うわっ!なにこれ!」 そこに遅れた弟が到着し、息を呑んだ。 バス停の小屋は2畳ほどの広さで、戸や窓は無く、ベンチ代わりなのであろう 木の板一枚が奥のトタン壁を背もたれにするように設置されている、とても簡素な作りであった。 その小屋一面すべてにゆっくりがいた。 それも隙間無く、みっちりと。 「ゆああああああ!まりさのかわいいれいむがあああああ!」 「ゆぴいいいいい!ありちゅのおねーちゃんがあああああ!」 「にんげんさん!!なんてことするのおおおおおおお!!?」 大小合わせて30匹は超えるであろうゆっくりの群がその小屋にはいた。 そこへ、子供とはいえ人間一人が飛び込んできたのである。 兄の足元には数匹のつぶれまんじゅうができていた。 まさにおしくらまんじゅうである。 「うわっ!靴が餡子でベタベタだ!かあちゃんになんて言おう」 「どうせ雨でずぶ濡れだし帰ったら丸洗いしようよ」 「ゆ゛ぅ!!れいむのはなしをちゃんときいてね!」 ゆっくりどもが阿鼻叫喚の中、兄弟は親への言い訳をのんきに話し合っていた。 そこへ一際大きなゆっくりれいむが声高に宣言した。 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ゆっくりできないにんげんさんはでていってね!」 「「「「ぷくー!!!」」」」 ベンチの真ん中にその大きなれいむはいた。 一般的な成体ゆっくりよりふた回りは大きく、その大きさを生かして頭の上に赤ゆっくりを数匹乗せていた。 数種類いることから、群の赤ゆっくりすべてをまとめて乗せているのであろう。 えらそうに真ん中に鎮座し、頭の赤ゆっくり共々ぷくー!と威嚇している。 「でっかいれいむだな、お前が長か?」 「そうだよ!れいむはつよいんだよ!だからあまあまをちょうだいね!ぷくー!わさわさ!」 ぷくー!と同時に今度はもみ上げをわさわささせるれいむ。 それを見て短気な兄のこめかみに血管が浮き出る。 「あ、あんちゃんちょっと待ってね」 弟はいまにも潰しにかかりそうな兄を止め、長れいむに話しかける。 「きみらにちょっと聞きたいことがあるんだけど」 「いいからはやくあまあまをちょうだいね!ぷくー!わさわさわさわさ!」 子供とはいえ人間相手にケンカを売るあたり、長なのにあまり頭は宜しくない固体のようだ。 そう判断した弟は、長れいむに見えないように先ほど潰れたゆっくりを後ろ手に一掴みにしてぎゅっと握る。 「はい、おいしいあまあまだよ」 即席のまんじゅう握りだ。 「うっめ!これめっちゃうっめ!」 「ゆー!れいみゅにもー!」 「まりちゃもたべたいー!」 さきほど潰れた仲間の中身とは気付かないで、あっという間に貪りつくす長れいむ。 赤ゆっくりに分け与えないあたり、このゆっくりはゲスの部類なんだろう。 「たりないよ!もっとちょうだいね!!」 「質問に答えてくれたらもっとあげるよ」 あまあまを食べて少し落ち着いたのか素直に話を聞きだす。 「この辺にはゆっくりは住んでないはずだけど何処から来たの?」 弟が言うとおり、この周辺のゆっくりは絶滅しているはずであった。 農家が大多数をしめるこの村では、定期的に村人総出でゆっくり駆除を行っている。 兄弟が通う学校でも行事の一環として、ゴミ拾いならぬゆっくり拾いがあるほどである。 元々ゆっくりに興味があり、ゆっくり関連の書籍を読みあさっていた弟のアイデアで ゆっくりがおうちにしやすい横穴を掘っておき、人間が管理できる場所におうちを作らせて 数が増えたら一斉駆除するようにした。これにより畑の被害は激減し、周辺のゆっくりもほぼ絶滅に追いやれた。 それでもいつのまにか増えるで定期的に駆除が必要だが。 そして数日前に一斉駆除をやったばかりなので、これほどの数が生き残ってはいないはずであった。 「れいむはおやまのむこうからやってきたよ!」 「ドゲスのせいでゆっくりできなくなったのぜ」 「あんなドスはとかいはじゃないわ!」 どうやらこの辺に住んでいたゆっくりではなく、山の向こうの群のようだ。 元々住んでいた場所を最近やってきたドゲスの群に追い出されて、新たなゆっくりプレイスを求めてやってきたそうだ。 おうちを見つける前に急な雨に振られたので、仕方なくこのバス停の小屋に避難したそうだ。 「ドスかぁ、またゆっくりが増えそうだな」 「帰ったらとうちゃんに教えてあげようよ」 「そうだな!ドスを一番に見つけたならお小遣い貰えるかも!」 兄弟はドスの情報を親に伝えればお小遣いが貰えると喜び始めた。 この村ではゆっくりは害獣扱いなので有益な情報には村から報奨金がでるのだ。 前に弟のアイデアで貰った報奨金からお小遣いを貰えているので味をしめたらしい。 「ゆー!いいからさっさとでていってね!あまあまはおいていってね!たくさんでいいよ!」 一向に去ろうとしない兄弟に痺れを切らした長れいむが怒り出した。 「おまえはゆっくりの癖に生意気なんだよ!よし、外に捨ててやろうぜ!」 「ゆゆっ!?」 掴みかかろうとする兄弟を避けようと体を動かす長れいむ。 「いいのか?下手に動いたら頭の赤ゆが落ちて死ぬぞ?」 「ゆ゛ぅ!?」 長れいむは急いで赤ゆっくりを安全な場所へ降ろそうとするがそんなスペースはない。 おろおろしているうちに足元のゆっくりどもを蹴散らし長れいむの前に立つ。 「赤ゆが邪魔だな」 兄はおもむろに赤ゆっくりを掴むとそのまま外へ投げ捨てた。 外はますます天候が悪化し土砂降り状態だった。 投げ捨てられた赤ゆっくりに容赦ない雨が叩きつけるように降り注いだ。 「ゆー!おしょらを『バチバチバチ』ゆ゛あ゛っ!」 「ゆー!わからにゃ『バチバチバチ』わ゛がらっ!」 もはやスコールに近い勢いの雨に打たれ、肌の柔らかい赤ゆっくりは地面に着地する前に粉々になった。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!でいぶのゆ゛っぐぢじだあ゛がぢゃんがあああ!」 「す゛でぎなおぼう゛じをかぶったあ゛がぢゃんがああああ!」 「どがい゛はのお゛め゛め゛をじだあ゛がぢゃんがああああ!」 あまりのことに叫ぶゆっくりたち。その間に長れいむを左右から挟む。 「よーしこっちは持ったぞ」 「こっちも持ったよあんちゃん」 「いくぞー!せーの!」 片手でリボンを、もう片手でもみ上げを掴み、掛け声と共に長れいむを前転させるようにベンチから転がり落とした。 「ゆー!?おそらをとんでるみたい!」 ブチッグチャブチッ 「「「ゆげげ!」」」」 転がり落ちた長れいむは地面にいたゆっくりたちを押し潰す。 兄は転がる長れいむをそのまま勢いよく外に蹴り飛ばす。 「うげぇ!こーろこーろする『バチバチバチ』ゆぴぴぴぴぴぴぴぴぴ!」 巨体が助けとなりスコールのような雨の中でも溶けずに転がりでたはいいが、 そのまま舗装道路を横切って河川敷の坂を転がり始める。その先は雨で増水した川だ。 「ゆぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ!だれかとめてええええええええええええ!!!!」 ザパーン! 雨音にも負けない爽快な着水音を確認した兄弟は空いたベンチに座る。 「ゆひいいいいいい!!ころさないでえええええええ!!」 「ま、まりさのかわりに、れいむをころすのがいいのぜ!」 「どぼぢでぞんなごどいうのー?!!」 長れいむがあっという間に殺されてパニックに陥るゆっくりたち。 「まだまだ沢山いるね」 「メンドクサイなぁ、腹も空いたしもう帰ろうぜ」 「野良ゆを見逃したらとうちゃんに怒られるよ」 そこで弟が新たなアイデアを思いついた。 「あ、あんちゃん、お腹空いたならいい方法があるよ」 弟はおもむろに近くにいたありすを持ち上げる。 「いやあああああ!ありすまだしにたくないいいいいいいい!」 ありすの叫びを無視して揺すりだす。 それを見て弟のやりたいことを理解した兄が他のありすを揺すりだす。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ?!」 ゆっくりは震動により発情する。その際ありす種だとレイパー化しやすい。 この群のありすは共存のため、レイパー化しないように定期的にひとりすっきりー!をして性欲を抑えていた。 しかし今はおうちをドスに追い出された直後であり、強行軍で移動してきたためひとりすっきりー!をする暇がなかった。 さらに大雨による恐怖と人間による虐殺で死に直面したことにより、ありすの生存本能が大いに刺激されていた。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆんほおおおおおおおぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「「「ゆ゛ぎゃあああああああああ!!れいぱーだああああああああ!!」」」 あっという間にレイパー化したありすたちが群を襲う。 全員必死に逃げるがこの狭い小屋ではどう足掻いても逃げ切れない。 そして外はまだ大雨だ。 「「「「すっきり!すっきり!すっきり!すっきり!」」」」 「ゆわわ!れいむをおそわないでえええええ!すっきりー!」 「まりさじゃなくちぇんをおそうがいいのぜ!すっきりー!」 「すっきりー!・・・もっどゆっぐり・・したかった・・・」 逃げ場を失い次々と茎を生やしで黒ずむゆっくりたち。 茎を生やしたまま母体が死ぬと、茎の赤ゆっくりは死んだ母体から急激に餡子を吸収し生まれようとする。 「「「ゆっくちうまれりゅよ!」」」 「おっと、赤ゆは生まれる瞬間が美味しいんだよなー『むしゃむしゃ』 「ゆ゛ぐっ!」 「このぷちぷち感がたまらないねー『もぐもぐ』 「ゆ゛げっ!」 長れいむの頭にいた赤ゆっくりたちはドロで汚れていたので食べずに捨てたが 生まれたての赤ゆっくりは綺麗なものである。 レイパーにより手間をかけずに数を減らしていくゆっくりたち。 さらに生まれた赤ゆっくりは兄弟がオヤツにしていく。 そして、ものの十数分で小屋の中は静かになった。 レイパーたちがすっきりのしすぎで干からびたのを確認した後、まだ息のあったゆっくりをすべて踏み潰す。 「おっ、いつのまにか雨もあがったな」 「もう帰らないとかあちゃんに怒られるよ」 「腹もいっぱいだし、そろそろ帰るか」 そのとき、小屋の出口付近で黒ずんでいたまりさの帽子から、子れいむが外へ飛び出した。 「ゆっ!ゆっくりにげるよ!」 「あっ!隠れてやがったな!」 この子れいむは長れいむの子であり、親ゆずりのズル賢さで雨が止むまで隠れていたのである。 兄弟が油断した瞬間を狙って舗装道路に飛び出し河川敷を目指した。 子れいむは長れいむが転がり落ちたのを見ていた。 足の遅いゆっくりでも坂まで行けば転がり落ちることにより逃げ切れると考えていた。 子れいむなりの思いつきなので転がり落ちた後の止まり方まで考えてはいないようだ。 「ゆっくりいそぐよ!ゆっくりにげるよ!」 たしかに河川敷の坂まで逃げ切れば兄弟は追いつけないだろう。 しかし所詮は子ゆっくりのスピード。道路を渡りきる前に追いつける程度だ。 兄弟は子ゆっくりを捕まえようと小屋から出る。 「・・・ゆっくりやめてね!おちびちゃんにてをだしたらゆるさないよ!」 そこにはなんと川に落ちたと思われた長れいむがいた。 後でわかったことだが、河川敷を転げ落ちた後、運良く川岸にあった大きな石に当たったおかげで落水せずに済んだようだ。 (着水音は当たった勢いで崩れ落ちた石だった) 舗装道路まで這い上がってきた長れいむは、打撲と雨で中身を漏らしながらも子ゆっくりを必死にかばう。 「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!!!」 「おかーちゃん!ゆっくりー!すーりすーり!」 感動の再会で喜びのすーりすーりをするゆっくり親子。 あれだけいた群もこの親子2匹だけになった。 長れいむはこの子だけはゆっくり育てるよ!と強く誓った。 それを何も言わずに見守る兄弟。 いや、何もする必要がない。 ブロロロロロロロロ『グチャ』キー!プシュー そして、本日最終便のバスが到着した。 そこにいた、ゆっくり親子を踏み潰して。 「こりゃー!バス停で遊ぶなとあれほどいっとろうがー!」 ゆっくりを引いたことにまったく気付く様子がない、年老いたバスの運転手が降りてきた。 「やっべえ!逃げるぞ!」 「あー!まってよあんちゃん!」 慌てて逃げる兄弟たち。 帰り道を走りながら汚れた靴の言い訳を二人で話し合っていた。 すでに兄弟の頭の中にはゆっくりのことなど忘れ去られてた。 季節外れの大雨が上がったあと、バス停横の川に綺麗な虹が架かっていた。
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海祭り05(ロココ島の結果で1人1屋台)【※注釈をご覧ください】 海祭り06(屋台利用券)III付き 一部の当たりアイテムのみ掲載しています ■ぽよくじ LV80 頭: 胴: 脚: 右: 左:でかクマ(赤) LV80 頭: 胴: 脚: 右: 左:でかクマ(黒) LV80 頭: 胴: 脚: 右: 左:でかクマ(茶) LV80 頭: 胴: 脚: 右: 左:でかクマ(緑) LV80 頭: 胴: 脚: 右: 左:でかクマ(紫) LV64 頭: 胴: 脚: 右:景品ぽよ袋α 左:景品ぽよ袋β LV31 頭: 胴: 脚: 右:景品ぽよα 左:景品ぽよβ ■ぽよすくい LV77 頭: 胴: 脚: 右:ぽよーヨーα(青) 左:ぽよーヨーβ(青) LV77 頭: 胴: 脚: 右:ぽよーヨーα(赤) 左:ぽよーヨーβ(赤) LV77 頭: 胴: 脚: 右:ぽよーヨーα(黄) 左:ぽよーヨーβ(黄) LV34 頭: 胴: 脚: 右:ぽヨーヨーα(青) 左:ぽヨーヨーβ(青) LV34 頭: 胴: 脚: 右:ぽヨーヨーα(赤) 左:ぽヨーヨーβ(赤) LV34 頭: 胴: 脚: 右:ぽヨーヨーα(黄) 左:ぽヨーヨーβ(黄) ■射的 LV65 頭:カブトキャップ 胴: 脚: 右:ころころカブトα 左:ころころカブトβ LV62 頭: 胴: 脚: 右:だっこうさくんα 左:だっこうさくんβ LV52 頭: 胴: 脚: 右:だっこうさちゃんα 左:だっこうさちゃんβ LV33 頭: 胴: 脚: 右:だっこうさα 左:だっこうさβ ■ビール屋 LV58 頭: 胴: 脚: 右: 左:ビールサーバー ■うまいもん屋 LV53 頭: 胴: 脚: 右:ミックスクレープα 左:ミックスクレープβ ■ぽよ焼き LV52 頭: 胴: 脚: 右:ぽよやきα 左:ぽよやきβ ■飴屋 LV46 頭: 胴: 脚: 右:わたがしα 左:わたがしβ LV 頭: 胴: 脚: 右:大りんご飴α 左:大りんご飴β ■お面屋 LV 頭:ぽよのお面 胴: 脚: 右: 左: LV51 頭:逆パンダのお面 胴: 脚: 右: 左: ■輪投げ LV35 頭:おもちゃバンド(青) 胴: 脚: 右: 左: LV35 頭:おもちゃバンド(黄) 胴: 脚: 右: 左: LV35 頭:おもちゃバンド(緑) 胴: 脚: 右: 左: LV35 頭:おもちゃバンド(桃) 胴: 脚: 右: 左: 【注釈】海祭り05氷屋のレアがわかりません(初登場でもいきなりI付き) ぽよすくいの[ぽよヨーα][ぽよヨーβ]は存在するのでしょうか? 情報をお持ちの方はぜひご一報をお願いいたします 海祭り06で追加された屋台レアアイテム ■お面屋 LV100 頭:うさぎ隊長お面 胴: 脚: 右: 左: ■ぽよくじ LV100 頭: 胴: 脚: 右: 左:ぽよガラガラ ■射的 LV80 頭: 胴: 脚: 右:射的ぽよ 左: ■飴屋 LV80 頭: 胴: 脚: 右:チビ飴 左: ■ぽよすくい LV55 頭: 胴: 脚: 右:ぽよ釣り 左: ■輪投げ LV49 頭:わんこ首輪 胴: 脚: 右: 左: ■氷屋 LV39 頭: 胴: 脚: 右: 左:氷像ぽよ ■うまいもん屋 LV35 頭: 胴: 脚: 右:ぽよバーベキュー 左: ■ぽよ焼き LV30 頭: 胴: 脚: 右:こげぽよ 左: ■ビール屋 LV55 頭: 胴: 脚: 右:ぽよサーバー 左:
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むらさの舟歌 32KB 観察 希少種 自然界 現代 独自設定 うんしー ぺにまむ むらさのための一話です。 作:神奈子さまの一信徒 淡々とした観察系小ネタです。 南の島シリーズでちょっと出したむらさの生活史について考えてみました。 ほとんど独自設定、ちょっとだけ南の島後半の外伝要素あり、ご注意ください。 『むらさの舟歌』 地球の表面積の七割を占める、海。 母なる海と賛美されるその場所は、太古の昔から、生命のゆりかごであり、 同時に、大空や地上よりも古くから激闘が繰り広げられてきた戦場でもある。 水中の覇権を争うもの、海底の覇権を争うもの、 海藻の上、砂の隙間、わずかなニッチを争い、共有し、 命の欠片は今日も桜吹雪のように海中に狂い咲き、舞い散っていった。 「よーそろー!!!」 そのような環境に進出したゆっくりがいた。 むらさである。 むらさは、ゆっくりの中でも珍しい海棲種であり、主に浅海域に棲息してい る。にとり同様、表面に特殊な皮があるため、水に溶けないとされているが 詳細はまだ分かってない。 大きさは成体でサッカーボール程度、サイズ自体は標準的なゆっくりで ある。外見的特長は黒い髪、真っ白な水兵帽と、その中にしまい込んである 石灰質のあんかーである。中には柄杓を持っている個体も観察されているが、 すべての個体が持っているわけではないらしい。 むらさは希少種として知られ、大枚をはたくことをいとわなければ、ペット ショップでも手に入ることがある。水上まりさよりも飼育は困難であり、繁 殖に成功したという例は正式な報告としては確認されていない。 しかしながら、天然の浅海域においては、むらさ種は決して珍しい種ではな く、海域によっては食物連鎖の重要な地位を占めていることもある。 近年は飼育技術・分子生物学の発達によって、品種改良を受けた、純淡水産 むらさ種、陸上飼育用むらさ種などが試験的に生産され、ダム湖やビオトー プへの放流、愛玩用として少数ながら出回っている。これらについては本報 告では触れない。 ここに、近年の研究によって明らかになったむらさ種の天然環境下での生態 について記す。 春はむらさ種の繁殖期にあたる。冬の間、浅海域に生育する海藻類をたっぷ りと食べた成体むらさは、春になって南からの暖かい海流が勢力を増すと、 発情し、すっきり、産卵を行う。 「むらむらするよ~!!!とってもむらむらするよ~!!!」 「「すっきりー!!!」」 「あ゛~、もうがまんできない!!まだむらむらしちゃう~!!!」 頬を赤らめ、全身からぬめぬめした粘液を放出してすっきりするむらさ、し ばらくするとその頭から茎が伸び、先端に半透明のカプセルに包まれた赤む らさが生じる。 「むらむらするあかちゃん!ゆっくりしていってね!!!」 どこか間違っているが、とりあえず赤ちゃんが生まれたことを喜ぶ親むらさ。 植物性出産の場合、すっきり後2−5日で、赤むらさが自分でカプセルを食 べて孵化する。 「ゆっくちちていってね!!」 「ゆっくちむらむらちゅるよ!!!」 「よーしょろー!!!」 生まれた赤むらさは合計13匹。彼らは親の保護を受けず、そのまま海へと 散っていく。植物型出産の場合、生まれる赤むらさは小さく、その代わりに 水兵帽が体に対して大きい。この水兵帽の中にガスを分泌し、それによって 海面近くに浮き、海流に乗って分散するのである。 「うみさんにぷーかぷーかしゅるよ!!」 「ぷーかぷーかはゆっくりできりゅね!!!」 この時期を赤むらさの「浮遊期」と呼ぶ。 浮遊期のむらさには、遊泳能力はほとんどなく、その移動は海流任せとなる。 そのため、生きていくのに不都合な環境にたどり着いてしまうケースも多い。 「ゆゆ!?なんだかおみじゅさんのあじがかわっちゃよ!!」 この赤むらさは河口に近づいているようだ。満潮時の海から川への逆流に乗 って、川の中に侵入する。 「ゆゆ!?きょきょはごはんしゃんがいっぱいだよ!!!」 河口付近の海水と淡水が交じり合う汽水域は、河川が上流域から運んできた 栄養塩が流れ込むため、プランクトンなどの餌が豊富なエリアである。 そのため、汽水域に集まり、餌が豊富なこの環境で幼い時期を乗り切る魚種 は少なくない。 「むらむらしゅる!!むらむらしゅるよ~!!!」 先程の赤むらさは全身を紅潮させ、粘液を放出している。 「ねばねばさんにごはんさんついちゃよ~!!むーしゃむーしゃ…ちあわし ぇ~!!!」 浮遊期のむらさはこの粘液を網のように海中を振り回し、そこに付着したプ ランクトンや水中懸濁物を粘液ごと食べるのである。 「ゆゆ~!!!ぽんぽいっぱいだよ…ちょっちょくるちいよ…」 だが、それは食べすぎのせいだけではなかった。この赤むらさは川に深く入 り込みすぎていた。 「ゆぴぴぴぴ…くるちいよ…ゆっくり…できにゃい…」 淡水の影響が強い水域に入り込むことで、むらさの浸透圧調整能力の限界を 越えてしまったのだ。淡水が全身からむらさの体内に入り込んでくる。 ビー玉ぐらいの大きさだった赤むらさは、今や、テニスボール大にまで膨れ 上がっていた。だが、その体は薄く風船のようであり、今にも破裂しそうだ った。 そして、限界が訪れる。 「もっちょ…むらむら…しちゃ…ゆびびっ!!!」 ポンッという音が聞こうてきそうな勢いで赤むらさは破裂した。目と皮は四 散し、中身の黒蜜だけが少しずつ海水に混ざり、分散していった。 成長すると、塩分変化への耐性も備えるようになるが、浮遊期の赤むらさは まだまだ脆弱である。 また、この時期は外敵に対して無防備であり、浅海域の表層付近を遊泳する ボラやイワシ、アジなどに捕食される。また、ミズクラゲも運動能力の乏し い浮遊期のむらさには脅威である。 「ゆゆ~!?なんじゃかゆっきゅりちたものがぷーかぷーかちてるよ!!」 ミズクラゲがその傘の部分で作り出す水流、またはその触手に触れれば最期 である。 「いじゃい!!!いじゃいいい!!!ぴりぴりはゆっぐりできにゃ!?きもぢ わぶっ!!!ゆげえええ゛!!!」 先程の赤むらさはミズクラゲの触手に絡め捕られ、無数の刺胞を打ち込まれ ていた。人間ならピリッと一瞬痛みが走る程度だが、赤むらさには致命傷で ある。体は麻痺し、もう逃げることは出来ない。 「ゆげっ!!ゆ゛!ゆ゛!ゆ゛!!」 そのままクラゲの口に取り込まれ、胃に収められてしまった。こうなっては 消化されるだけである。クラゲは体が半透明な種類が多いため、赤むらさが クラゲの体内で溶けていく様子はじっくり観察できる。 一時間もすれば、赤むらさの皮はぐちょぐちょになり、体のどこがどこなの か見分けがつかなくなるだろう。 ミズクラゲには効果がないものの、これらの捕食を避けるために、浮遊期の 赤むらさは流れ藻に集まり、隠れ潜むように生活するものも多い。 ただし、流れ藻にたどり着けるかは、完全に運次第である。 この脆弱な浮遊期も後半になると、赤むらさはスーパーボールぐらいの大き さに成長し、この頃から海水中の炭酸カルシウムを取り込んで、石灰質のあ んかーを作り出す。また、水兵帽の体に占める割合が小さくなり、徐々に浮 力を失って、生活圏を海の表層から、次第に底層へと移していく。 餌は相変わらず、粘液によるプランクトン捕食が中心だが、浮遊期後半には ある程度の遊泳力も発揮できるようになり、海藻などにしがみつき、その表 面に付着している微小甲殻類なども捕食するようになる。 だが、まだまだ捕食者に対しては脆弱である。 「ゆあああああ゛!!!だじゅげで!!!おざがなざんはゆっぐりでぎないい いいいい゛!!!」 このむらさはメバルに追われていた。生活圏が底層に移行することで、主な外 敵はメバルや、マダイ、クロダイ、アイナメなどに変わってくる。鋭い歯で何 度も齧りついてくるフグ類も恐ろしい捕食者である。 「ゆびいいいい゛!!!いやああああ゛!!!ごれじゃあむらむらできなああい いいい!!!ゆぎっ!?」 アイナメがむらさを一飲みにしようとする。しかし、むらさが動いたため、背 中の皮が少し千切れただけだった。 「ゆぎゃああああああ゛!!!いじゃい!!!いじゃいよおおおお゛!!!」 アイナメの追撃により今度は水兵帽を食べられてしまう。 「ゆあああああ゛!!!ぶらざのほごりだがいおぼうじがああああ゛!!!」 ガスを貯める水兵帽を失うと、むらさは浮力の調節ができなくなるため、もう 逃げることはできない。例え、逃げ切ったとして、海底で這い回ることしかで きなくなり、生存確率は激減する。 「おぼうじいいいいい゛!!!ぶらざのぼうぶぶっぺっ!?」 浮力を失い、ゆっくりと沈んでいくむらさはアイナメにパクリと食われ、咀嚼 されて死んだ。アイナメはあんかーをぺっと口から吐き出すと、次の餌を求め て泳ぎ去っていった。 あんかーが一定の大きさになるまで生き延びることが出来ると、むらさは海底 に着底し、海底付近に生活圏を移す。この頃には子むらさと呼べる大きさに成 長し、遊泳力も成体に比べて遜色のないものとなる。この時期を「着底期」と呼 ぶ。 また、あんかーによって砂の中に潜ることが可能となる。 「ゆゆ!!ここならすなさんにもぐれそうだよ!きゅーそくせんこー!よーそ ろー!!」 子むらさはまず、表面の砂を口からの水流で吹き飛ばし、そこにあんかーを差 し込む。潜砂性の底棲生物としてはゴカイや二枚貝が知られているが、ゴカイ では体液の充填により膨張させた頭部を、二枚貝では砂の中に滑り込ませた足 を膨張させ、アンカーとすることが知られている。そして、それを足がかりに 体を砂中に潜り込ませていくのである。 「すなさんをぷーぷーするよ!!からだをもじもじさせるよ!!またぷーぷー するよ!!」 基本的な潜砂行動は、ゴカイ、二枚貝、そしてむらさも同様である。 水を吹き付けることで、砂の間隙を作り、掘りやすくする。そこへ、あんかー へ体を引き寄せるようにして、砂の中に体を潜り込ませていくのである。 このとき、むらさは体を小刻みに震わせることで、砂の中への侵入を容易にし ている。この行動を「もじもじさせる」とむらさは呼んでいるようだ。 「すなのなかでおもうぞんぶんむらむらするよ……うひょおおおお゛!!」 こうして砂の中に潜り込んだむらさは、水兵帽の先端と目だけが砂から出るよ うに位置を調整し、その姿勢で外敵の通過や、餌生物の接近を待つ。 「…ふぅ…」 ちょうど、むらさが潜った辺りに小さなエビがやってきた。砂の中を探るよう にハサミ脚を突っ込み、有機物の破片などを次々と口に運んでいる。 むらさは体の上に乗っている砂が落ちないように、姿勢をやや高めにとる。 餌がよく見えるようにである。 「そろーり…そろーり…」 そして砂に隠れたまま、少しずつ、エビに接近する。不意にエビがむらさの 方に接近したその瞬間、 ぱくっ! むらさは砂の中から飛び出し、周囲の水ごと飲み込むようにして、エビを口 内に納めてしまった。エビがびくびくと動いて抵抗するが、後はもう咀嚼す るだけである。 「むーしゃむーしゃ…すぃあわすぇ~!!!」 そして、しあわせ宣言を済ませると、再び砂に身を隠す。慣れた個体だと、 一連の行動に一分費やさないという。 「…むらさはここにはいないよ~…」 この他、むらさはバカガイや小さなアサリなど、貝殻の薄い二枚貝をあんかー で割って捕食する。巻貝は割りにくいのか、捕食した事例は観察されているも ののあまり好まないようだ。 「着底期」からは、このような潜砂行動と、遊泳力の向上によって、むらさの生 存確率は一気に高まる。ここまでくれば成体はあと一歩であるが、やはり外敵 に襲われ命を落とす個体もいる。 先程のむらさに何やら魚影がせまる。 ナルトビエイである。 エイは頭を砂の中に突っ込み、二枚貝や甲殻類を探して捕食する。むらさに対 しては特に好んで攻撃しているわけではないが、うまく逃げなければ捕食され てしまう。 ナルトビエイが砂の中を頭部で探り、砂の中に隠れていたむらさをツンツンと つつく。 「…む、むらさはここにいないよ~…つつかないでね!…そんなにつつかれたら むらむら…ぎょわあああああ゛!!!」 むらさはナルトビエイに吸い込まれるようにくわえられた。 「はなじでね!!むらさはおいじぐないよ!!はなじでね!!むらさはゆぎゅう うう!?」 むらさはナルトビエイにゴリゴリと咀嚼され、体がぐちょぐちょにされてしま った。 「ゆぎゃあああああああああ゛!!!ぶらざのがらだがあああああああ!!!ぶ ぎゅう!?」 そして、飲み込まれ、あんかーだけが吐き出された。 ナルトビエイが接近してきた時点で、タイミングよく全力で泳ぎ去れば、まだ逃 げられたかもしれない。 こちらでは、むらさマダコに捕まっていた。 触覚で砂の中にいる貝類を探るタコにとって、むらさのように表面近くに潜砂 する小動物は決して捕獲するのは難しい餌ではない。 「やべでね!!!タコさんやべでね!!!ぞんなにざれだら、むらさごわれぢゃ うううううううっ゛!!!」 いろいろと勘違いしているようである。 マダコは食べられるのか確かめるように、むらさを腕でいじくりまわす。 「ゆひいいいいいっ!!!きゅうばんさんですりすりされるとっ!!!んほおお おおおおおおんほおおおっ!!!」 だが、タンパク質代謝で生きるタコにとって、炭水化物が多いゆっくりは魅力の ある餌ではなかったらしい。マダコはむらさを放り出すと、さっさと次の餌を求 めて行ってしまった。 「どぼじでええええええっ!?どぼじでずっぎりざぜずにいっじゃうのおおおお おお゛!!?」 中途半端にむらむらさせられたむらさは、その後しばらく、海中で吼え続けた。 このような砂で底質が構成された浅海域で子むらさは成長する。そして、夏にた くさんの餌を食べ、急速に成長したむらさは、晩夏には成体サイズになり、言葉 も巧みに話せるようになる。 この頃になると、体が大きくなったことで、むらさを積極的に襲う捕食者は浅海 域にはほとんどいなくなる。また、あんかーで潜砂することはあまりなくなり、 あんかーは純粋に捕食のための道具として、堅い貝類やウニを割るのに使われる ようになる。 成体になると、皮が丈夫になり、度々海岸に上陸して餌を探したり、干潮時の干 潟で跳ねている姿が目撃されている。呼吸はそもそも皮膚呼吸であるため、水中 でも陸上でも呼吸は可能である。 ここまで来ると、適時水分を補給しさえすれば、一般家庭でも水槽を用意しなく ても飼育も可能であるため、成体はペットショップに出回ることがある。 よく、いたずらで、水上を帽子で移動するまりさを攻撃するところが目撃されて いるが、それは成体のむらさによるものである。 「まりさはこの川を渡ったら、れいむに告白して、ふぁーすとでぃーぷちゅっ ちゅをするんだ!」 とある河川の河口近く、まりさは水路を対岸に向けて渡っていた。まりさは滅多に 行かない浜辺に行き、きれいなピンク色のサクラガイを拾ってきた。 これをプレゼントとして、今日こそれいむに告白するつもりなのだ。ずっといっし ょにゆっくりしようと。 「れいむ、ゆっくりまっててね!まりさはいまいくよ!!」 自然と櫂を漕ぐ動作も軽快になる。 まりさは告白することに何の心配もしていなかった。れいむの態度から、れいむも きっと自分のことが好きなんじゃないかと、感じられる節があった。 「ゆ?」 異変に気がついたのは、水路の中ほどまで来たときだった。帽子が浸水しているの である。 「どぼじでおぼうじざんにぉみずざんはいっでぎでるのおおおおおお゛!?」 よく見ると、帽子の先端がちぎられたようになくなっていた。 「おみずさんこないでね!!まりさのおぼうしからでていってね!!」 だが、水はどんどん入ってくる。 「どぼじでおみずざんどまらないのおおおおおおおっ!!!」 まりさは慌てて櫂を漕いだが、もう帽子の半分まで水が来ている。 「てきかんげきちん!!よーそろーっ!!!」 まりさの後方でむらさが声をあげる。このむらさがこっそりまりさの帽子の先端を齧 り取ったのだ。 「そんなごどよりだじゅげで!!!ばでぃざじんじゃう!!!たじゅげでええ゛!!」 泣きながら助けを求めるまりさに対して、むらさは答える。 「あ~あ、早く行かないと愛しのれいむちゃんがとられちゃうよ!!」 「いいからだじゅげでえええええええ゛!!!」 「きっと今頃、ほかのゆっくりとすっきりしてるんじゃないかなぁ?」 「ぞんなごどないいいいいいっ!!!」 まりさは顔を真っ赤にして反論する。 それに対して、むらさはからかうような声で答えた。 「すごい~!すごいよ~!れいむむらむらしちゃう~!!!まりさなんかとは比べ物 にならない~っ!!すっきり~っ!!!」 「やめろおおおおお゛っ!!!ぞんなわげあるがああああっ!!!」 まりさはかんかんに怒り、帽子が沈みつつあることも忘れていた。既にあんよの皮が ふやけ、少しずつ餡子が水に溶け出している。 「まりさってだれ!?そんな変なお帽子野郎のことなんか忘れてもっとすっきりして ええええっ!!!」 「ふんぎいいいいいいっ!!!でいぶはばでぃざがずぎなのおおおおっ!!!」 「きっと今頃まりさよりも汚くてかっこ悪いゆっくりにだまされてたくさんすっきり してあかちゃん産んじゃってるじゃない?全弾命中!よーそろーっ!!!」 「ゆがががあああああああっ!!!ゆ゛ゆ゛!?おみじゅざんがっ!!!ぶぶぶ…」 まりさがむらさの戯言に付き合っている間に、帽子は浸水し、まりさはもうあんよが 溶け出して動けなくなっていた。 「せめて…すっきりしてから……」 結局、ばら色の新婚生活を夢見たまりさは溶けてしまった。 「りあ充しね!」 むらさはそういい残すと、満足そうに海へと帰って行った。 このような行動から、むらさの棲息する水域は水難事故が多い難所として、まりさたち に恐れられているという。 秋になると、むらさは繁殖シーズンを迎える。むらさの繁殖シーズンは春と秋の年二 回であり、春に生まれた個体が秋に成熟し、にんっしんっ可能となるのだ。 この時期の海中では、発情したむらさが番をつくり、あちこちですっきりをしている。 「むぅらぁむぅらぁするよほほほほほほほほほほほひひひっ!!!」 「ふう…すっきり…♪…」 飼われているむらさはともかく、天然の環境下ではいつでも繁殖できるわけではない。 生まれた赤ゆたちがゆっくり育つことが出来る季節、それを狙って、繁殖期を合わせて いるのだ。このような一斉すっきり時のむらさは「むらさむらむら」と呼ばれることもあ る。一斉すっきりをしなくても生きていける飼育環境下では見られない行動だが、むら さのシンボルとも言える繁殖様式である。 「むらさのぺにぺには世界一ィィィッ!」 「よぉぉぉおそろぉぉぉぉぉお゛っ!!!」 「仰角15度!!!んほおおおおおおっ!!!初弾!!命中!!!」 むらさの下腹部にそびえ立つは劣情の摩天楼。 全身から大量の粘液を放出しながら、すっきりが行われる。むらさの飼育が難しいと されるのは、この大量の粘液によって、一般的な水槽の水量では急激に水質が悪化し てしまうためである。そのため、通常はむらさが陸上生活に適応するのを待って、繁 殖を行おうとするブリーダーが多いようだ。 この時期は夏の豊富な餌によって、春の繁殖よりも肥えた個体が多く、そのため、すっ きりも、動物型が中心となる。 動物型すっきりの場合、生まれてくるのは、既にスーパーボールほどのサイズにまで成 長した赤ゆであり、植物型の赤ゆとは違い、生まれてすぐに海底に着底、砂に潜って生 活する。直達発生と呼ばれるタイプの、浮遊期を経ない、赤ゆである。 「ゆっくり!!ゆっくりあかちゃん産んでね!!!」 ここでも一組のむらさのカップルに新しい命が生まれようとしていた。 「みゃみゃからしゅっこうちゅるよ!よーしょろー!!!」 「よーちょろー!!!ゆっくちしていってね!!」 「おちびちゃああああん!!!ゆっくりしていってね!!!」 「ぱぱににて、すごいゆっくりしたおちびちゃんだよ!!」 父むらさも母むらさも元気そうな赤ゆの誕生に心から喜んでいた。 動物型にんっしんっのため、一度に生まれる数は少ない。その代わり、春産卵群とは異 なり、親とともに生きていくことが出来る。そのため、秋産卵群は生存確率は高く、生 息域の拡大ではなく、安定した環境で個体数を維持するための産卵群であると言えた。 「さあ、おちびちゃんたち、ごはんさんにするよ!!」 父むらさが捕まえておいた、ハゼや二枚貝を持ってきた。ハゼは予め、頭部を噛み砕い てある。また、二枚貝はバカガイ(アオヤギ)や小さめのアサリのような殻の薄いものを、 石灰質のあんかーで割ってから捕食する。 「むーしゃむーしゃ!!しあわせ~!!!」 「ぐぅ~れいとぉっ!!!」 直達発生によって生まれた赤ゆたちは、この後、両親と共に漁の練習をする。 「きょうはぱぱがごはんさんの捕り方を教えるよ!!」 「「ゆっくりりかいしたよ!!よ−そろー!!」」 父むらさは二匹の赤むらさを藻場に連れてきた。砂地にアマモが繁茂しているが、夏は 強い紫外線によって、多くの海藻・海草類が減少する季節であり、この時期に見られる のはまだ幼草体を中心とした小さな藻場である。 しかし、既にアマモの根本に付着したイガイ類、その表面や間隙に棲息する微小甲殻類、 その周辺には雑多な稚魚が集まっており、漁の練習台としては申し分なかった。 「くささんには、いろんなごはんさんが隠れてるんだよ!ゆっくり捕まえてね!!」 「おしゃかなさんうごかにゃいでね!!!」 「ゆええええ!!なんじぇにげりゅのおおおおおっ!!!」 赤ゆたちは無駄な動きが多く、稚魚を捕まえることが出来ない。何度か、父むらさが見 本を見せたが、一向にダメだった。 「むぅ~…最初はみんなへたくそだよ。むらむら頑張ろうね~!!」 父むらさが赤ゆたちを励まし、海藻表面にくっつく甲殻類や二枚貝の食べ方を教え始め た。 「こういう草さんの周りにはあみさんが群れてるよ。」 父むらさが示したのは、海藻や藻場、海底付近に蚊柱のような群れをつくるアミである。 アミはエビに似た外見を持つ小型甲殻類で、海水魚飼育などの生き餌としてよく利用さ れる。 父むらさはアミの群れの周りをぐるぐるとまわり、少しずつアミの群れを小さく、しか し、密度の濃いものにしていく。 「おちびちゃんたち!!今だよ!!!」 「「よーしょろー!!!」」 二匹の赤むらさは勢い良く、アミの群れに飛び込み、口いっぱいにアミをくわえる。 「むーしゃむーしゃ…しあわしぇ~!!!」 「あみしゃんはむりゃむりゃできるよぉ~!!!」 父むらさからすれば無駄の多い食事であったが、初めての漁に、二匹とも満足してい るようだった。 こうして赤むらさたちは両親の指導を受けてすくすく成長し、一ヶ月もすれば、子む らさと言える大きさにまで成長していた。 晩夏から秋半ばにかけて、この地域は度々台風が襲ってくる。大型の台風はその風雨に よって沿岸域の生態系を一時的に攪拌してしまう。 沖合いの生物が沿岸に持ち込まれ、逆に沿岸の生物が沖合いに運び去られる。 さらに高波によって、砂浜は削られ、海藻はちぎれ飛んでいった。 「まだだよー!!」 「がんばっててーはくしてね!!おちびちゃんたち!!!」 台風などで水中が荒れたとき、通常、むらさ種はあんかーを砂の中に打ち込んで、荒波 や水流に流されないようにする。しかし、今回の台風のように、あまりにも水中の攪乱 が強い場合、丈夫そうな海藻などの茎に齧りついてやり過ごすのである。 むらさたちは、このような行動を「てーはく」と呼んでいた。 「ゆぎいいいひいいひいひいっ!!!もうむりじゃよおおおお゛っ!!!」 「おぎゃああじゃあああんっ!!!おぎゃあさんのおくちさんにいれでえええっ!!!」 直達発生の赤ゆたちは既にそれなりの大きさであるため、親むらさの口の中に隠れられ るのは生まれて最初のうちだけである。 赤むらさたちは自力で歯を食いしばり、荒れ狂う水界に立ち向かわなければならなかった。 「ゆぎいいいいいっ!!!ひゃあっ!!!」 姉むらさが遂に力尽き、食らいついていた茎を離してしまう。 「おねえちゃあああんっ!!!」 妹むらさは必死にあんよを伸ばした。しかし、姉むらさが噛み付いたのは、妹むらさが必 死に差し出したあんよではなく、お尻だった。 「お゛ね゛え゛ぢゃあああああああああああああああんっ!!?」 姉むらさは流されまいとして、必死に妹むらさの尻に食らいつく。生まれてからとりあえ ずひどい目にあっていないはずの妹むらさのぷりぷりした尻に、ぐいぐいと姉むらさの歯 が食い込んでいく。 「ふごごごっ!!!ほへんへええええええっ!!!」 「いじゃあああいいいいっ!!!むらじゃのぷりちーなももじりがあああああっ!!!」 姉むらさの顎が耐えられなくなるのが先か、それとも妹むらさの尻が耐えられなくなるの が先か… ぶちっ! 「「!!?」」 一番最初に荒れ狂う海に耐えられなくなったのは、二匹が噛み付いていた海藻だった。 「おぢびぢゃあああああああああっ!!?」 「むらざのびずぼじだだるいいぶずめがああああああっ!!?」 「おぎゃああしゃああああんっ!!!」 「おどうじゃあああああああんんんん!!!」 子むらさの姉妹は荒波にもまれ、海藻もろともどこか遠くの海に流されてしまった。 流されたむらさ姉妹は大きな流れ藻にあんかーをひっかけて海面を漂っていた。周 囲には同じように沿岸域から流されたのであろう、何匹かの稚魚が流れ藻の影を泳 ぎ、流れ藻の上には甲殻類の幼生や小さなタコの子供がしがみついている。 もうどれくらい海を漂っているのか分からない。海は深まり、海底はとっくに見え なくなっていた。眼下には底の見えない海が広がり、太陽光線も届かないその奥底 には、何やら薄暗い空間が広がっている。時折、大きな魚影が真下を通ったり、夜 中に光る何かが周囲を泳ぎ回っては、姉妹は身を寄せ合うように流れ藻にしがみつ き、息を潜めた。 「ねえさん、またおさかなさんいっぴきいなくなってるよ。」 「きっと、ゆっくりできなくなったのよ…」 その日、姉妹はこの流れ藻のマスコット的存在であった、可愛い小さなタコを分け 合って食べた。妹は流されて以来よく遊んでいたこのタコを食べるのを最後まで嫌 がったが、もう簡単に食べられそうな流れ藻の付着生物は食べきってしまっていた のだ。また、稚魚の類はまだ漁の経験が乏しい二匹には捕まえるのが困難であった。 姉むらさは一度稚魚を捕まえようとしたものの、気がついたら流れ藻から遠く離れ た、真っ青な海中に稚魚と二匹で取り残されたことがあった。なんとか懸命に泳い で流れ藻にたどり着き、事なきを得たものの、まだ子供のむらさ姉妹には、この広 い海の真っ只中で、一匹取り残されるという感覚はトラウマとなった。 それ以来、姉妹が流れ藻を離れて行動しようとすることはなかった。 「むーしゃ…むーしゃ……」 「ふう…そこがみえないうみじゃ、ゆっくりもむらむらもできないよ…」 現状では起きていても体力を消耗するだけである。姉妹は食事を終えると、まだ日 も高いうちから交代で眠りについた。日中は、片方が起きて警戒と、周囲の観察を 行う。そして、夜間は二匹とも眠りにつき、命を運に任せてきた。どうせ、夜行性 ではないむらさの目では、夜間はほとんど何も見えなかった。 ふと姉妹が目を覚ましたとき、周囲にはかつてないほど無数の生命がうごめき、何 かが光り、そして泳ぎ回っていた。 「おねえちゃん!!おほしさまがうみのなかにっ!!!」 かつて父むらさが内陸部で見たことがあるという、蛍とはこういうものなのだろう か?それともこれは人の巣の光だろうか? それは日周鉛直移動−昼と夜で深海と表層を往来するアミやハダカイワシの群れだ った。ちょうど、複数の海流がぶつかる栄養塩に満ちた海域まで流されてきたのだ ろうか?そして、それらに導かれるように、真っ暗な深海の奥底から、影しか見え ない魚が、煌びやかな光を身にまとったクラゲが、そして流れ星のような不思議な 動きをする生き物(姉妹は知らなかったが、発光器官を備えた外洋性のイカである) が海中の星空へと加わっていった。 「きれいだねえ…おねえちゃん、おほしさまはうみのなかでもとてもゆっくりして いるよ。」 「でもなんだかむらむらしてて、ゆっくりできないおほしさまもいるよっ!!!」 それは獰猛な捕食者たちによる凄惨な捕食の現場であった。 一つ、また一つと小さな光が消えるたびに、儚い命が海へと還っていく。 それはまるで、宇宙の深遠で誕生と消滅を繰り返す星々の無窮動曲のようであった。 そのとき、いくつかの影が流れ藻に接近してきた。影は流れ藻の周りに集まると、 つつくようにして、流れ藻表面の微小な付着生物を食べていく。 微かな星明りに浮かぶ黒い羽のシルエット、トビウオだった。 その度にむらさ姉妹があんかーでしがみつく流れ藻はぐらぐらと揺れた。 「ゆええええええっ!!!やべでね!!!ゆれるよ!!!ちんぼつしぢゃうよおお おおっ!!!」 「あっぢいっで!!!おざがなざんあっぢいっでね!!!じーじーずるよ!!!」 トビウオの大きさから丸飲みにされることはないだろうが、自分達の唯一の拠り所 が揺れる度に恐怖し、姉妹は泣きじゃくった。姉はお尻を振りながらしーしーをば ら撒いたが、ちゃんと流れを読んでしーしーしなかったため、自分のところに戻っ てきただけだった。 「ゆわあああんっ!!!おねえじゃんのじーじーのにおいがずるっ!!!」 「ゆべべ!!!しーしーのんじゃっだよっ!!!」 あまりに騒ぎすぎたせいか、それともしーしーの臭いに魅かれたのか、トビウオは 姉の体を口でつまむように突いてきた。 「いやあああああああああ゛っ!!!やべでえええっ!!!むらざおいじぐないよ おおおおっ!!!つつかないでえっ!!!」 「やめてね!!おねえちゃんにひどいことしないでね!!!」 ぷくーっをして威嚇する妹むらさ。しかし、この程度の大きさのぷくーっではトビ ウオ相手にお話にならなかった。もっとも、今は夜なので、どのみち外敵を威嚇す る効果など皆無なのだが。 べりりっ! 「ゆんやあああああああああああああああ゛っ!!!」 姉むらさの頬の皮が薄くはがされてしまった。 「ゆぎゃあああっ!!!いじゃいいいっ!!!いじゃいよっ!!!だじゅげでぱぱ ぁっ~!!ままぁ~っ!!」 泣き喚く姉むらさ。幸い、まだ中身の黒蜜は漏れていなかったが、トビウオに取り 囲まれている限り、それは時間の問題のように思えた。 「だじゅげでええええっ!!!いじゃいいっ!!!じにだぐないいいいっ!!!」 流れ藻から離れて泳いで逃げるべきか?それともこのままトビウオがいなくなるの を待つべきか? 姉妹は迷った。 このまま流れ藻に留まれば殺られる。 かといって、逃げたところで、浅海域に棲息するむらさがこの海底の見えない沖合 いの海域で生きていけるとは思えなかった。 第一、食べるものにも困り、疲労しきった自分達が、このトビウオから逃げられる 保証はないのだ。 「おねえじゃんっ!!!」 逃げよう! そう妹むらさが言おうとした瞬間だった。 ぱっと散るようにして、トビウオの影はむらさ姉妹がしがみついている流れ藻から 離れた。姉むらさを突いていたトビウオだけ反応が遅れる。 姉むらさを突いていたトビウオの体が不自然によじれ、何者かに捕らえられた。 アオリイカによる攻撃である。 アオリイカは沿岸性のイカであり、釣りの対象として有名である。 アオリイカはトビウオを触腕で捕らえ、まず、トビウオの頭の後方、人間で言えば 頚椎のあたりを齧り、脊髄を分断してトビウオの動きを封じると、その肉をゆっく りと齧りながらどこかへ行ってしまった。 「た…た…たすかった…?」 むらさ姉妹はそれ以上言葉をつむぐことも出来ず。ただ流れ藻に隠れるようにしが みつき、その夜を過ごした。 翌日、いつの間にか眠ってしまっていたむらさ姉妹が目を覚ますと、中天の太陽光 が燦々と海水に突き刺さっていた。心なしか、水の色が明るく、水そのものも暖か い。 「ねえさん、なんだかうみさんがぽーかぽーかするよ!!!」 「ほんとうだね!!むらむらしてくるよっ!!!」 傷は大したことなかったのか、姉むらさは軽口を叩いた。 「ゆ!?よーそろー!!!ろくじのほうこうになにかいるよっ!!!」 妹の声にふと、姉むらさが後ろを向くと、後方の表層を何か、黒くて大きなものが 泳いでいた。 「なんだろう!?むらむらするよかんが…」 「えいさん!?」 それはマンタ、オニイトマキエイであった。 「よーそろー!とってもおおきなえいさんだよっ!!」 マンタは熱帯、亜熱帯の暖かい海に生息する。プランクトン食の大型エイであり、 その体重は3トンにも達する。我々が夏の海で遭遇するようなエイが、一般的に 砂地の中に隠れている底棲生活者であるのに対して、マンタはその大きな胸鰭で 悠然と泳ぐように表層を遊泳する。 「ゆっくりしていってね!!」 「あんなおっきなおさかなさんはむらむらするよぉっ!!!」 マンタはぐんぐんと水中を飛ぶように前進し、勢いをつけて水の外へと飛び出し た。 「「おおおおおおおおっ!!!」」 マンタのジャンプが一体何のために行われるのかは、今も結論が出ていない。一 説には寄生虫を払うためとも言われている。 「「よーそろおおおおおおおっ!!!」」 むらさ姉妹は感嘆の声を上げ、マンタのジャンプを注視した。 何トンという体が空中を飛ぶのだ。圧巻である。 そして、マンタは倒れこむように、空中から海中へ、ちょうどむらさ姉妹の真上 へと着水する …真上? 「ぼんばぁぃえ゛っ!!!」 「ねえざあああああああああああああああああああんっ!!!」 マンタの巨体はむらさ姉妹がしがみついていた流れ藻を直撃した。 濛々と白い気泡が辺りを乱舞し、流れ藻はマンタの体に割られるように四散した。 姉むらさには最期のセリフを言う時間すら与えられなかった。 そして、姉むらさの体も、流れ藻に混じって、ちぎれ、水中をぼろぼろと落下して いった。 「ねええざあああああああああああああんっ!!!」 妹むらさはマンタの着水の衝撃で流れ藻から放り出され、水中をくるくると回転し ていた。その間、妹むらさが最後に見た姉むらさの姿は、ぼんやりと水中を分散して いく黒蜜の姿だった。 その日の夜も前日と同じ光景、深海からやってくる血生臭いプラネタリウムがむらさ の下方で展開された。しかし、前回のように、それを美しいと思うことも楽しむこと もできなかった。 ただ一匹、水面近くから眺める真っ黒な深淵は、舞い踊る光の乱舞は、ただひたすら 不気味だった。 妹むらさは流れ藻の破片にしがみつき、夜明けが来るのを待った。しかし、もう限界 が近かった。流れ藻はちぎれ、餌らしい餌は何も残っていなかった。おまけに、流れ 藻に集まっていた稚魚もどこかへ行ってしまった。 そして何より、これ以上、ただ浮かんでいるだけの長旅を一人で続ける自信も、理由 もなかった。妹むらさはそっとあんかーを流れ藻の破片から外した。 「おとうさん…おかあさん…ねえさん…むらさは…もう…」 むらさは目を閉じて波の動きに身をゆだね、ゆっくりと沈んでいった。 そして、むらさの体はサンゴ礁に横たわった。 とある南の海、サンゴ礁が鮮やかな海で、一匹のむらさがウミガメから逃げていた。 「来ないでね!!!むらさは食べられたくないわ!!」 お尻に残った実の姉の歯形の痕…あの妹むらさの成長した姿である。 どうやら、むらさはそれなりに場数を踏んできたようだ。 巧みにウミガメの追撃をかわし、サンゴの影に隠れる。 ウミガメはしばらく辺りを泳いでいたが、諦めたのか、それとも別の獲物を見つけたの か、どこかに泳ぎ去ってしまった。 「ふう…やっとゆっくりでき…」 そのとき、むらさの視界に入ってきたのはレモンザメだった。レモンザメは最大で3m ほどにもなる暖かい海に生息するサメである。その名はそのレモン色の体色から来てい るが、実際は個体差もある。 今回、むらさが見つけたのは、体長70cm前後のまだ若いレモンザメだった。若い個体 はしばしば、リーフ内の浅い海に入ってきて捕食を行う。いくら海中に適応したむらさ でも分の悪い相手であった。 砂に潜るか…それとも陸に逃げるか…? 妹むらさは成体と言えるサイズになって皮が丈夫になり、乾燥への耐性を備えたことで ある程度陸上でも行動できるようになっていた。 むらさは一度上陸して、この捕食者をやり過ごすことにした。隙を見てサンゴの影から 抜け出すと、波打ち際に飛び跳ねるように逃げていく。 「…ふう…ここまでくればゆっくりできるわ…」 そこは真っ白なサンゴ砂に覆われた浜辺だった。海の中では感じることのなかった、照 りつけるような太陽が痛い。まだ、陸上での生活経験が乏しいむらさには強すぎる太陽 だった。 それでも、さめさんといっしょよりはゆっくりできるわね… むらさは太陽から逃げるように木陰に跳ねていった。 「おや?見ないゆっくりだね!ゆっくりしていってね!」 そこにいたのは見たことのない二匹のゆっくりだった。 大きな耳を持った笑顔の素敵なゆっくり 「ぼくはなずーりん」 そしてもう一匹は頭に可愛い花を乗せた、少しおどおどしたゆっくり 「…しょうです…」 「むらさ、わたしはむらさよ。」 むらさは初めて会う別のゆっくりにどう振舞っていいか分からなかった。 「きみはどこの飼いゆっくりなんだい?」 なずーりんと名乗ったゆっくりはむらさが野生だとは思わなかったようだ。 南国の太陽の下、照りつける太陽に濡れた黒髪に魅かれるものがあったのかもしれない。 「わたしは海から来たの。にんげんさんに飼われているわけじゃないわ!」 「すごいや!しょう聞いたかい!?海に棲んでるんだって!!」 なずーりんは目を輝かせる。むらさはなずーりんが一体何に驚いているのか良く分から ず、少々困った顔をしていた。 「うん…海の中ってどんな感じなのかな?…とっても興味あるよ…」 しょうと名乗ったゆっくりも海に興味があるらしい。このゆっくりたちにとっては、海 の中の世界がそんなに珍しいのだろうか? 「ねえ、むらさ?これからぼくらが面倒見てもらっているお兄さんのゆっくりぷれいす に行かないかい?きみの棲む海の中に興味があるんだ!ゆっくりした話を聞かせてよ!」 「わたしも…お話聞いてみたいかな?…」 まあ、いいか むらさはそう思った。どうせレモンザメがいなくなるまで、海の中に戻るつもりはない。 それに一度、地上をゆっくり見てみたかった。 「いいわよ!みんなで一緒にゆっくりしましょう!」 快諾したむらさの笑顔に、なずーりんとしょうの顔もほころんだ。 「ねえ、むらさぼくらと同志になってくれないかな?」 「同志ってなに?」 「一緒に遊ぶと楽しい友達のことさ」 なずーりんの笑顔は無邪気でとてもまぶしかった。 むらさはこの二匹と一緒ならば、たくさんゆっくりできるような気がした。 海の中しか知らなかったむらさは、なずーりんとしょうの二匹に出会い、様々な思い出を 作っていくことになる。 陸地から海に進出し、また再び陸にも上がろうとするむらさ種、このゆっくりはどこを目 指すのだろうか? まぶしい太陽の下、むらさの新しい生活が始まった。 完 神奈子さまの一信徒です。 私の専門である水棲ゆっくりって、にとり、むらさしかいないなぁ~ってことで書いてみ ました。すわこはカエル、いくは深海魚、ぬえはカニっていうイメージもあるのですが、 どうなんでしょう? あまり一人で独自のゆっくり量産するのも気が引けましたので、南の島シリーズ後半でち ょい役で出てきたむらさにスポットライトを当ててみました。 こんなのむらさのイメージと合わないという方、ごめんなさい。 お目汚し失礼いたしました。 挿絵 by絵本あき トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓のコメント誰が書いたんだろwww -- 2019-10-12 13 18 36 L(・_L)ズン(ノ_.)ノドコL(・_L)ズン(ノ_.)ノドコ -- 2019-10-12 13 16 16 ナイスむらさ! -- 2018-07-06 02 34 04 こwwwれwwはwww -- 2017-12-03 15 26 31 リア充爆発しろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! -- 2017-04-04 13 35 48 すばらしい -- 2011-03-02 21 13 47 これは面白い。むらさの生態が細かく描写されていてとてもゆっくりできましたー! -- 2010-11-22 20 38 47 どうして貴方の書くまりさ(つむり)はこうも生理的嫌悪感を掻き立てるのか。相変わらずのキショさで逆に安心するぜガクブル -- 2010-09-22 20 02 37 このなずーりんが後にゲスになるとは… -- 2010-08-27 06 14 40 いいね! -- 2010-06-16 02 49 38 面白かったよ。 -- 2010-06-14 22 52 38
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ゆっくりを、叫ぶだけ 12KB ※M1あきさんのネタ振りに触発されて書きました。 雨が降っていた 大粒の雨に、強い風。豪雨だった。 そんな雨の音にかき消され、それでもかすかに歌が聞こえた。 「ゆ~♪ ゆ~♪ ゆっくりしていってね~♪」 調子っぱずれで耳にうるさいその歌は、ゆっくりのものだった。 木の下にできた穴はゆっくりの巣になっている。その中に一匹の成体れいむと子まりさの 親子がいた。 ゆっくりを、叫ぶだけ。 「おちびちゃん~♪ きょうはおかーさんのことをおはなししてあげるね~」 ゆっくりにとって、雨は最もゆっくりできないものの一つだ。 子まりさの不安を紛らわせたいのか、れいむの声は明るく穏やかなものだった。 「しんじゃったまりさおとーさんはね、『かいゆっくり』だったんだよ」 れいむはある日、人間さんに連れられたまりさと出会った。 飼いゆっくりは普通、野生のゆっくりより栄養状態が良く、いわゆる「美ゆっくり」であ ることが多い。れいむが目を奪われたのは確かだ。 だが、何よりれいむが惹かれたのは、まりさにとてもゆっくりできるものを感じたからだ。 人間で言うなら、運命の紅い糸を目にしたような衝撃を覚えたのだ。 それはれいむばかりでなかった。まりさもまたれいむに一目惚れしたと言った。 まさに運命の出逢い。 ゆん生はあまりにも短く、ゆっくりの恋は早い。 二人は一日で仲良くなり、ツガイとなる決心をした。 「おにいさん! まりさはれいむとずっとゆっくりしたいよ!」 まりさの真摯な願いをおにいさんは聞き届けた。 そして二匹は晴れてツガイとなった。 「まりさはとってもかしこいゆっくりだったんだよ!」 初めての野生生活だったが、まりさはれいむの教えを受け、狩りや巣作りなどを次々に覚 えていった。そればかりか、れいむの知らないキノコの知識や高度な巣作りについての技 術までも知っていた。飼われていた頃、「てれび」というもので覚えていたのだという。 すぐに野生での生活に馴染んでいった。本当に優れたまりさだった。 だが、なによりまりさが賢かったと言えるのは。 「まりさはね……れいむとあったひ、にんげんさんにすてられちゃうって、わかってたん だ……」 それは二匹の生活が安定した頃、まりさが告白したことだった。 飼い主のおにいさんはまりさを捨てようと、この森まで来たのだそうだ。人間の事情はよ くわからないまりさだったが、ずっと連れ添ってきたおにいさんの「ゆっくりできない雰 囲気」には前々から感づいていた。だから、あらかじめ野生で暮らす勉強をしていたのだ。 「でも、れいむにはほんとうにひとめぼれしたんだよ! もりでくらすためになかよくし たんじゃなくて……すごくすごくれいむがゆっくりできるとおもったから、れいむとずっ とゆっくりすることにしたんだよ!」 まりさは餡子を吐くように、苦しげに言った。隠しごとをしていたという罪悪感があった のだろう。れいむはそんなまりさの優しさが嬉しかった。とてもゆっくりできると思った。 「れいむもまりさのこと、だいすきだよ! まりさとゆっくりできてうれしいよ!」 「ありがとう、れいむ!」 「ゆんゆん、まりさ、だいすきだよ!」 「「ゆっくりしていってね!」」 そして、その晩。 二人は初めてすっきりーした。 すっきりーし終えると、れいむのぽんぽんが膨れた。胎生型にんっしんだった。 「それがおちびちゃんがだったんだよ」 目を細め、傍らの子まりさを見つめる。ぽんぽんを痛めて産んだ子供が、一際愛おしいも のだ。 子まりさは恥ずかしくなってしまったのか、顔を上げようとしない。 それを見て、れいむは穏やかに微笑んだ。 「でも……おちびちゃんはまりさおとーさんにあえなかったね……」 れいむのぽんぽんも大きく膨らみ、もう二、三日もすれば産まれるという頃だった。 れいむは動けず、まりさが狩りにでかけていた。まりさはもうれいむよりずっと狩りが上 手くなっていた、子ゆっくりがうまれても大丈夫なよう、食べ物も充分に備蓄できていた。 なんの不安もなく、れいむはゆっくりとしていた。 平和でゆっくりとした森。れいむには、まるで森がれいむたちを祝福してくれているみた いに思えた。 「おちびちゃん~♪ ゆっくりしてね~♪ でも、はやくいっしょにゆっくりしたいよ! ゆっくり~……」 「ゆぐぅ!」 れいむの平穏を破ったのは、まりさだった。 「まりさ! どうしたのぉぉぉぉ!」 酷い有様だった。まりさの綺麗だった金髪。その後ろ髪のほとんどが無くなっている。 後頭部が無くなっていた。 餡子の露出したその痛々しい断面は、なにかに食いちぎられたように無惨なものだった。 まりさはれいむに答えず、黙々と巣穴を厳重に偽装し始めた。 動くたびに、傷口から餡子が漏れた。 「まりさぁ、ゆっくりしないと……!」 「ゆっくりしずかにしてねっ……!」 叫び出しそうになるれいむを、まりさの押し殺した声が制止する。その真剣さにれいむの 餡子が冷える。ひどくゆっくりできないことが起きている。 やがて、巣の偽装が終わると、まりさの身体は崩れ落ちた。 元気だった姿は見る影もない。まりさの身体には、もうかつての半分も餡子が残っていな かった。 「れいむ……おおきなこえをだしちゃだめだよ……すあなのふたはいぬさんのきらいなに おいのするくさをつかってるから、しずかにしてればだいじょぶうなはずだよ……」 「まりさぁ……いったいなにがおきてるのぉ……」 「にんげんさんが、いぬさんをつかってゆっくりを『くじょ』してるんだよ……」 れいむにはわからなかった。 この森は人里から離れている。人間を見る機会はなく、れいむが知る人間はまりさを連れ てきた優しそうなおにいさんだけだ。だからこのまりさのケガと人間が結びつかない。 だが、犬のことは知っていた。とても強くて鼻が利く、とてもゆっくりできない生き物だ。 それが、まりさをこんな風にしてしまったのだ。 れいむは必死にまりさをぺーろぺろした。しかし、もうゆっくりがふさげるような傷では ない。まりさの死は確実だ。それがわかっても、れいむはなにもせずにはいられなかった。 「まりさぁ……」 「れ、い……む……」 「まりさぁ……まりさぁ……」 「ゆっくり……していってね……」 そして、まりさは永遠にゆっくりした。 れいむは泣いた。声を押し殺して泣いた。自分と、お腹の中のあかちゃんをゆっくりさせ ようと頑張ったまりさのために、歯を食いしばって声を抑えた。 「それでね……おちびちゃん。まりさはえいえんにゆっくりして、ほかのみんなもいなく なっちゃったんだよ……」 れいむは思い出す。 あの日、まりさが永遠にゆっくりしてから二日が過ぎた。食べ物の備蓄に不安を感じ、思 い切って外に出てみた。 森は静かだった。 にんっしんした身体は動きづらかったが、巣にずっとこもるわけには行かない。一人で過 ごすのは難しい。だから、助けを求める必要があった。 ゆっくり慎重に進む。 そして……誰とも出会わなかった。 近くに住んでいたちぇんも、物知りのぱちゅりーも、普段なら他のゆっくりと確実に出会 う広場に行っても、何もなかった。 森は静だった。残酷なぐらい、静かだった。 「おちびちゃん、さみしかった……? れいむはさみしかったよ。でも、おちびちゃんが うまれてさみしくなくなったよ!」 そして、れいむは一匹で出産することになった。産まれたばかりの子まりさを受け止める のはまりさの帽子のハズだったが、二匹で仲良く寝ていたベッドがその代わりを務めた。 幸い、出産は成功した。産まれたのは子まりさだった。死んだまりさによく似た、とても ゆっくりした子ゆっくりだった。 だが、ゆっくりしてはいられなかった。 野生でのしんぐるまざーは過酷だ。餌あつめと子育ての両立は並大抵の苦労では済まない。 普通なら群れの仲間に助けを求めるところだが、人間の”駆除”によってあたり一帯のゆ っくりは全滅していた。 しかし、まりさが命を懸けて守ってくれたのだ。れいむは何があっても子まりさを守ろう と決意した。 だが。 「おちびちゃん……おなか、すいた……?」 子まりさのまわりには食べかすがたくさん散らばっている。 全て、子まりさの吐き出したものだ。 れいむが集めてきた草も、花も、ちょうちょさんもいもむしさんもきのこさんも……あら ゆる食べ物を、子まりさは受けつけなかった。 噛んで柔らかくしても、口移しで食べさせようとしてもだめだった。 何を与えてもどんなに手を尽くそうと、子まりさは「むーしゃむーしゃ」も「ごっくん」 もが出来ないのだ。 これは親のまりさが飼いゆっくりであったためだ。 市販のゆっくりフードを産まれたときから食べ、味覚ばかりでなく体質そのものが変化し ていた。ゆっくりは本来、何でも餡子に変換する能力を持つ。だが人工的に作られたゆっ くりフードの摂取は、その能力を弱めてしまったのだ。 親まりさの餡子を多く受け継いだ子まりさは、もはや野生では生きていけないゆっくりに なってしまっていたのだ。 厳しい狩り。 一向にうまくいかない子育て。 他のゆっくりがいないという孤独。 永遠にゆっくりしてしまったまりさ。 ゆっくりできないことばかりだった。 だが、れいむは微笑む。泣きたくても微笑む。泣けばゆっくりできない。子まりさをゆっ くりさせてやれない。 子まりさが産まれて以来、れいむがずっと顔に張り付かせているのは虚ろな微笑みだけだ った。それ以外の顔はできなかった。許されなかった。 そんな微笑みに、母ゆっくりの無言の愛情に、しかし子まりさは答えない。 れいむは不安になる。最近子まりさの衰弱が激しい。当然だ。産まれてからなにも口にし ていないのだ。 そして、雨。ゆっくりできない雨がここ数日続いている。せめてひなたに出れば少しは元 気も出るだろうに。 れいむは巣の入り口、その向こうから響く雨音を睨んだ。 その時だ。 突風に、巣穴を偽装していた蓋が吹き飛ばされた。強い風と雨が吹き込んでくる。 「おちびちゃん! おうちのおくにかくれてね!」 再び蓋をするにしても雨や風の侵入は避けられない。衰弱した子まりさには雨風の負担は 大きすぎるだろう。 だが、子まりさは動かない。 「おちびちゃん!」 風に、子まりさの帽子が飛ばされる。 それでも子まりさは動かない。ゆっくりにとって飾りは命。それが飛ばされて動けないこ となんてありえない。 だから、れいむは嫌でも知ることになった。 「おちびちゃん……」 子まりさは、とっくの昔に「永遠にゆっくり」していたのだ。 モチモチと膨らんでいた頬は、すっかりやせこけてしまっていた。キラキラ輝いていた金 髪は、今はすっかりくすんでいる。可愛らしかった大粒の瞳は、しなびた瞼に痛々しく閉 じられていた。 「……ゆっくりしていってね……」 れいむはただそう、一言告げた。 本能によるものだ。子まりさにできる唯一の手向けだ。 しかし、れいむはその言葉を憎んだ。 なにがゆっくりしていってね、だ。 「おちびちゃんは、ぜんぜんゆっくりできなかったよ……!」 まりさが命がけで守ってくれた子まりさをちっともゆっくりさせてあげられなかった。 れいむに落ち度はない。何一つ悪かったことなどない。むしろよく頑張ったと言える。 だが、れいむには自分を責めることしかできなかった。 やがて、ゆっくりできない感覚が全身を包む。 巣穴の蓋は剥がれたまま。激しい風と雨が吹き込んでくる。それはとてもゆっくりできな いことだ。すぐに対処しなくてはならない。 それなのに、れいむは動こうとしなかった。 「まりさ……もう、ゆっくりしてもいいよね……?」 まりさはいなくなった。子まりさも永遠にゆっくりしてしまった。まわりにもゆっくりは いない。 なにも、ない。 だかられいむは吹き込む風と、あんよを覆う水の感触に……残酷で慈悲深い自然に、自ら の行く末を委ねた。 れいむは日のまぶしさと暖かさに目を覚ました。 「ゆ……?」 巣穴から降りそそぐ陽光。 雨は上がっていた。れいむは生きていたのだ。 「ゆうぅ……」 失望とも安堵ともつかないため息。 そして、れいむはあたりを見回す。 巣の中はひどい有様だった。 風に吹き荒らされ雨に蹂躙され、まりさといっしょにつくったゆっくりできるベッドもテ ーブルも食料の貯蔵庫もグチャグチャだった。床は浅く浸水していて、それは巣穴にムッ とする湿度をもたらしていた。 そして。 子まりさの死体がある。 雨に濡れぐちゃぐちゃになっている。腐敗はまだ始まっていないが、ゆっくりのみが感じ る独特の死臭がひどい。巣の中にむせかえるほど充満している。 ここはもうゆっくりの巣ではなくなっていた。 絶望の支配する、墓場より一歩地獄に近づいた廃墟だ。 れいむは震え上がる。 ここは、ゆっくりできない。 見上げれば、暖かな陽の光がある。 生というものは、平穏な暮らしの中では実感できない。 生は死を意識して初めて本当に輝くのだ。 全てを諦め死を受け入れたはずのれいむは、今やこの巣穴に充満する生々しい死を恐れて いた。 せめて陽光の中に行きたい。強くそう願った。 それなのに。 「どぼじでれいむのあんよさんうごかないのぉぉぉ!」 侵入した雨はゆっくりにとって死をもたらす量ではない。だが、れいむは長く水に浸かっ た。あんよはぐずぐずに溶けて、もはやその機能を完全に失っていた。 その事実が、れいむを恐慌に突き落とした。 「やだあぁぁぁぁぁ! ここはやだぁぁぁぁ! ゆっくじでぎないぃぃ! ゆっぐじでぎ ないよぉぉぉぉ! ごごにいだくがないぃぃぃ!」 叫びは巣の中で反響し、何倍にもなってれいむに響く。それがなおさら絶望をかきたて、 死を意識させる。ゆえにれいむは生にしがみつく。本当の死を前にすれば、誰だって生き たいと思う。思ってしまう。 「ゆっくりさせてぇぇぇぇぇ!」 絶叫する。 森はただその声を木々の間に吸い込んだ。 この森にはもう他のゆっくりはいない。 ゆえに救いはもたらされない。 この森に捕食種はいない。 ゆえに喰われて死ぬという救いはもたらされない。 森は残酷なほど静かで、壮絶に無慈悲だった。 ただ、ひとつだけれいむに死をもたらしてくれるものがある。 それは、時間。 ゆるやかに、しかし確実に、れいむを殺してくれるだろう。 だが、それはあまりにも遅い。れいむが望まない「ゆっくり」だ。 ゆっくりを、叫ぶだけ。 れいむが死ぬまでにできて、ずっと続けたことは、ただそれだけだった。 それから数年後。 ゆっくりのいなくなった森は切り開かれ、別荘やゴルフ場ができた。 人間のための施設で埋め尽くされた。 そこには、ゆっくりの暮らしていた痕跡など何一つ残らなかった。 了 by触発あき 元ネタ絵 byM1 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓↓じゃあこれ見んなよカス わざわざ嫌なものを見に来る程頭がわるいのか? -- 2016-01-31 15 09 01 ↓お前が狂ってる -- 2014-08-24 19 24 02 このSS見て虐待したいなんて言う奴は頭が狂ってる -- 2012-09-18 20 24 51 __ 〈〈〈〈 ヽ 〈⊃ } ∩___∩ ∩___∩ | | | ノ --‐ 、_\ | ノ ヽ ! ! 、 / ,_; ; ;ノ、 -=・=- / ● ● | / ,,・_ | ( _●_) ミ | ( _●_) ミ/ , ’,∴ ・ ¨彡、 |∪| ミ 彡、 |∪| / 、・∵ ’ / ヽノ ̄ヽ / __ ヽノ / / /\ 〉 (___) / / / -- 2012-04-05 20 21 23 親れいむよくぞ頑張った!天国で永遠にゆっくりしておいで…。 -- 2012-03-18 09 34 46 人間の食べ物しか食べられない赤まりさざまあみろ!! 永遠に赤まりさは泣け、苦しい顔をして叫びながら大号泣しやがれ!!!! -- 2012-03-03 23 02 48 れいむ頑張ったのにな~。普通の野良との子供なら幸せになれたのにな~。その幸せを俺らが潰すんだがwww -- 2011-12-21 19 51 43 お食べなさいしてやったところで意味なくね? 親の体の餡子なら食えるかもしれんけど、それ喰い尽くしたらもう食えるもの無いしょ 舌肥えた状態で作られてるんだし。 てかそれ以前に食料を集める技術がないだろうし。 -- 2010-11-15 05 00 17 自分の餡子を食わせる選択肢はなかったのか? -- 2010-10-09 11 43 35 幸せという言葉ほどゆっくりに似合わない言葉はないな。やつらは不幸の申し子だから。 -- 2010-09-03 19 18 08 赤ゆは不幸に死ぬために生まれてくるんだね。ざまあ。 -- 2010-08-20 11 29 09 途中までだけど、強く生きたれいむだなぁ ゆっくりの生きざまを見て、我が身の在り方を恥じるなんて…… -- 2010-08-08 01 33 58 取り合えずこの赤ゆを虐待したい 特に意味は無いが、赤ゆと言うだけで虐待したくてQNQNする -- 2010-07-27 00 43 02 ゆっくりの不幸は蜜の味だわ。 -- 2010-07-26 22 37 59
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それでもゆっくりは畑を守る 9KB そのまりさは畑を守っていた。 耕された、栄養さんのある黒い土。 そこに、さほど深くなく埋められた小さな小豆色の種。 埋めたのは何日前になるだろう。 三日より前は数えられないからわからない。 気が遠くなるくらい年月をこうして守っている気がする。 だが、冬さんはまだ1回も来ていないし、まあるい月さんはまだ2回しか見てないから、そんな長すぎるわけではないだろう。 畑からは数本の、長い茎が伸びていた。 種から出た芽が成長し、伸びたものだ。 その茎の先端に、ピンポン玉かミニトマトくらいの大きさの、丸いつぼみがくっ付いている。 それは、まりさの我が子たちだ。 愛しい我が子達だ。 立っている茎の周辺には、枯れてしなびた茎や、半分から先が齧られて無くなっている茎もいくつかある。 それは、育たなかった我が子たちだ。 あるいは、守れなかった我が子達だ。 まりさは先端を削った短い棒を口に銜えながら、大分前からこうして我が子を守っている。 やがて、あの丸いつぼみが花さんが咲くようにゆっくりと割れて開いて、中から可愛い我が子が生まれてくる。 それを、まりさはひたすら待っていた。 「みずさんをかけるよ! ゆっくりそだってね!」 「はやくおおきくなってね!」 まりさとれいむがすっきりー!して、れいむの頭から伸びた蔓に宿り、そして零れ落ちた数十の小豆色のゆっくりした種。 日当たりの良い肥沃な土地を木の棒で耕して畑を作り、撒いた種にそっと土を被せる。 その上に、まりさは川から口に含んで汲んで来た水さんをかけた。 まりさとれいむの種族はこうやって子供を作るゆっくりだ。 土に抱かれて水分をたっぷり吸った子供たちの種は、やがて土の中で小さな芽を出す。 夜のうちに土を押しのけて芽は外に出て、朝の光を浴びるだろう。 「ゆっ! めさんがでたよ! ゆっくりしていってね!」 「おひさまをあびて、ゆっくりはやくそだってね!」 日光を浴び、穏やかな風を受けた小さな芽は、すくすくと育つ。 葉を二枚、四枚と増やし、茎を伸ばし、空へ向かって成長する。 しかし、全部の種が芽を出せるわけではないし、全部の芽がそうなるわけではない。 「やべでえええええ!! はとさん、まりさたちのたねをたべないでええええ!!」 「ここはれいむたちのはたけなんだよお!? たねさんたべたらあがちゃんだちがゆっくりできなくなるでしょおおおお!? ほじるのやめないとれいむおこるよ! ぷくー!!」 「うわああああああ!! めさんがたべられぢゃっでるうううう!!」 「どおじでごんなごどずるのおおおおお!? とりさんやむしさんには、ちもなみだもないのおおおおお!?」 折角撒いた種や、折角発芽した芽を何割か食べられてしまったまりさとれいむは、畑を守る必要性に直面する。 群れで畑を作っている同種のゆっくりたちは、一箇所に畑を作って皆で植えて、皆で交代で畑を守る事もするという。 しかし、いかなる理由によってか群れに属していないまりさとれいむは、たった二匹きりで自分たちの畑を守らなければならなかった。 畑を守るのは容易ではない。 畑を襲いに来る外的は、昼に来るのも夜に来るのも居るからだ。 加えて、まりさとれいむは自分たちが生きるためにご飯を調達しなくてはならない。 交代で畑の番をすれば、片方一匹だけでは畑を守りきれない事も多いのだ。 そして、畑を襲うのは何も外敵だけではない。 「ゆっ! おいしそうなやさいさんがはえてるよ!? むーしゃむーしゃしあわせー♪」 「なにやっでるのおおおお!? それはまりさたちのあがぢゃんなんだよおおおおお!?」 「ゆ? なにいってるの? あかちゃんがはたけからはえてくるわけないでしょ? へんなうそをついておやさいさんをひとりじめしないでね!」 「まりさたちはそうやってこどもをつくるゆっくりなんだよ! そのくきさんからまりさたちのあかちゃんができるんだよ!?」 自分たちとは繁殖方法が違うので、それが子供たちが実のる茎だと知らないゆっくりの襲来。 「ゆーしょ! ゆーしょ! ゆー! いっぱいしごとごっこしたりゃ、ちゅかれたよ!」 「なにやっでんのおおおお!? どうじでくきさんをひっこぬいでるのおお!! どこのちびちゃんなの!? おやはどんなぎょういくしでるのおおおおお!? ばかなの!? しぬの!?」 「ゆぇーんしりゃないおばちゃんがいじめりゅー!」 「ずいまぜんずいまぜん! なにもわがらないこどものやっだごどなんでず! ゆるじでね! ゆるじでね!」 分別の付かない子ゆっくりの遊びや悪戯によって、台無しにされてしまう茎や芽。 自然環境もまた、敵である。 「どおじでかれじゃっでるのおおおおおお!?」 「ゆう…あめさんがゆっくりしてたから、ねっこがくさっちゃったんだよ…おひさまもっとでてね!」 「こんどはどおじでたおれちゃでるのおおおお!?」 「ゆうう…あめさんがたりなかったからだよ…みずをくんでこなきゃ…おひさまあんまりゆっくりしないでね!」 「ゆあああああん!! やべでね! かぜさんゆっぐりふいでね! れいむたちのこどもをゆっぐりさせであげでよおおおおお!!」 「ゆああああん! せっかくみがつきはじめたのにいいい!! おっごちぢゃっだよおおおお!! かぜざんのばがああああ!!」 ただ長雨が続いたり、日照りが続いたり、風が強く吹くだけなら多数は残ってくれる。 最大の敵は季節の変わり目にやってくる。 「たいふうざんゆっぐりじないではやぐどっがいげえええええ!! あめさんもかぜさんもどっがいげええええ!! れいむのかわいいちびちゃんをゆっぐりさぜろおおおお!! たいふうさんはゆっぐりじねえええええ!! こどもだちはれいむがまもるよおおおおおお!!」 「れいむ! だめだよ! はやくおうちにもどってね! れいむがえいえんにゆっぐりしぢゃうよおおおお!!」 大粒の雨が勢いよくれいむの体を打ちつけ、強風がゴウゴウと森の木々を揺らすなか、れいむは畑の前で暗い空にむかって叫んでいた。 まりさは帽子が吹き飛ばされそうになるので、おうちの中かられいむに呼びかけるしか出来ない。 だが、必死に畑を守ろうとするれいむには、まりさの声は届かなかった。 やがて、れいむの悲痛な声も風に掻き消されて聞こえなくなり、台風はその夜が明けるまで猛威を振るい続けた。 ゆっくりできない台風さんがれいむと、畑の子供たちの多くを永遠に連れ去ってしまってからも、まりさは畑を守り続けた。 残った実をつけている茎は、まりさが数えられるほどしか無い。 たったこれだけしか、生き残らなかった。 台風の後も、大きく育ったつぼみを狙って、捕食種のれみりゃやふらんが畑を襲う事もあった。 「うー♪ うー♪ あまあま~♪」 「やべろおおおお! まりさのあかちゃんたちをすうなあああ!!」 「ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 「ゆっ! このっ! ゆぎゃあああ!!」 生まれる前の、赤ゆっくりを宿したつぼみは捕食種にとって絶好の餌である。 毎夜襲来するれみりゃやふらんに対し、まりさは尖った棒で必死に応戦し、傷だらけになって畑を守ったが それでも力及ばず、残り少ない実はさらに少なくなってしまった。 あらゆる色んなものがゆっくりしてくれなかったので、愛しいれいむとの結晶は、たった一本の茎とその先端のたった一個の実だけになった。 だがそれも、やがて報われる。 茎の先のつぼみは、ようやく充分な大きさにまで育っている。 もうすぐだ。 もうすぐ、あのつぼみが、実が割れて、中からまりさとれいむの赤ちゃんが姿を現すはずだ。 そして、ゆっくりしていってね! と挨拶してくれるに違いない。 そうしたら、自分も涙を流しながらゆっくりしていってね! と返すのだ。 茎から元気よく飛び降りてくる赤ちゃんをまりさのお腹で受け止めて、そして残った茎をまりさが柔らかく噛み砕いてから、 赤ちゃんたちは生まれて最初のご飯を食べるのだ。 それからは、まりさは赤ちゃんとゆっくりした日々を過ごすのだろう。 まりさはその瞬間を待ちわびながら、畑の前で守り続ける。 いまかいまかと、つぼみを見つめながら。 そして、運命の瞬間は 「ゆっ…! つぼみさんがひらきはじめたよ! まりさのあかちゃん、ゆっくりでてきてね! ゆうううう! おそらさんにいるれいむ、みて、まりさたちのあかちゃんがゆっくりうまれるよおおおおお!!」 「ゆっくち…」 ゆっくりと 「あっ、こんなところに畑さんがあるよ! 赤ちゃんゆっくりさん、お兄さんに千切られてね!」 「ゆびぇ!」 台無しにされた。 心無い人間の手によって。 「ゆうううううう!? にんげんさんなにやっでんのおおおお!? まりさのあかちゃんがああああ!!」 「何って、赤ちゃんは畑から勝手に生えてくるものでしょ? お前ら、俺の畑をいつもそうやって荒らすじゃん。 赤ちゃんを独り占めにするのは悪い事なんだよ? 」 「あかぢゃんはかっでにはえでごないでじょおおおおお!? それに、まりさはにんげんさんのはたけをあらしたごどなんがないよおおおおお!! どおじでごんなひどいごどずるのおおおおお!!」 「うるせえ! いつもいつも俺が苦労して耕して、種を撒いて、虫を取って、鳥を追い払って、育てた野菜を収穫前に荒らしやがって! 野菜だって勝手に生えてこないんだぞ!! お前がやってなくても、お前らの仲間がやってるんだろうが! お前らゆっくりなんて大嫌いだ!! 全滅しちまえ!! 種族を残せないようお前らの畑全部潰してやる!! ヒャッハー制裁だ!!」 …結局、人間の八つ当たりに近い報復行為のおかげで、まりさは自分たちの子供を一つも守る事が、生まれさせる事が出来なかった。 たった一つの、生まれようとしていた赤ちゃんを人間に潰され、自身も暴力を振るわれてボロボロになったまりさは 痛む体を引きずって畑の上に投げ捨てられた、生まれるはずだった我が子の亡骸に這って近づいてゆく。 人間の手で乱暴に掴まれ摘み取られ、握りつぶされて捨てられた赤ゆっくりのひしゃげた体からは、餡子がぶにゅると漏れていた。 まりさは涙をとめどなく流すと、我が子の亡骸に頬を摺り寄せた。 声も出なかった。 泣き言一つ呟く気力すら、まりさには無かった。 やがて秋が訪れ、冬を越し、暖かい春が来た。 「みずさんをかけるわ! ゆっくりそだってね!」 「はやくおおきくなってね!」 まりさとありすがすっきりー!して、ありすの頭から伸びた蔓に宿り、そして零れ落ちた数十の小豆色のゆっくりした種。 日当たりの良い肥沃な土地を木の棒で耕して畑を作り、撒いた種にそっと土を被せる。 その上に、まりさとありすは川から口に含んで汲んで来た水さんをかけた。 生き延びて冬を越したまりさはありすという新しいパートナーを見つけ、再び畑に子供たちを植えた。 土に抱かれて水分をたっぷり吸った子供たちの種は、やがて土の中で小さな芽を出す。 夜のうちに土を押しのけて芽は外に出て、朝の光を浴びるだろう。 「ゆっ! めさんがでたよ! ゆっくりしていってね!」 「おひさまをあびて、とかいはにそだってね!」 まりさは何度でも繰り返す。 何度芽を踏み潰されても、引っこ抜かれても、雨や日照りや強い風に枯らされても、台風になぎ倒されても、 捕食種に実を食べられても、人間に意地悪されても。 それでも、種を撒き、育て、畑を守る。 今度こそ、今度こそ守る、ゆっくりした自分たちの赤ちゃんと、ゆっくりしていってね!と笑いあうと胸の内で誓った。 元ネタ絵 byM1 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 挿絵の顔がキモイ -- 2012-12-18 17 18 59 絵の鳥謎いw -- 2012-09-16 22 43 42 ゆっくりがお百姓さんにおこなってきた仕打ちを考えれば、ゆっくりは何も言えないような気がする。 -- 2012-09-01 23 11 40 今回の虐待お兄さんは新でいいとおもう。 -- 2012-04-08 04 31 48 流石に今回は人間が余計 -- 2012-02-22 19 49 31 因果応報ってのはまさにこのことか… 赤ゆの行動ってどうしても悪意があるとしか思えない -- 2011-07-17 19 27 11 押絵の鳥がエビフライに見えるwww -- 2011-01-10 22 56 38 普段ゆっくりが自然や人間にやってる事がそのまんま返ってきてるな -- 2010-10-06 16 08 01 やはり同種であっても赤ゆ子ゆのウザさは異常 まじで赤ゆ子ゆだけは無条件で潰れろ -- 2010-08-25 23 13 28 挿絵のれいむが可愛すぎる -- 2010-08-25 20 29 26 こんな繁殖法では滅びちゃうんじゃ… -- 2010-07-07 09 25 56 やっぱ赤ゆがいっとうウザいな 親は何も分からない子供とか言ってるし実際そうなのかもしれんが、行動がいちいち悪質すぎる -- 2010-06-26 15 52 17 八つ当たり兄さんのせいで野菜勝手に生えてこないと思ってる種全滅させたら自業自得だと思う -- 2010-02-25 22 24 40
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「ふたば系ゆっくりいじめ 481 虐待・後篇/コメントログ」 狂人が -- 2010-03-02 18 11 22 とりあえずその結婚式あげた瞬間両親族から縁切られるのと会社で白い目で見られるのは免れないな -- 2010-03-06 03 19 11 ↓自分に似ているからかわいそうだと思うんですねわかります。余白あきさん面白かったです。ところでお兄さんのほうは虐待でなく虐殺お兄さんなのでは? -- 2010-03-08 21 02 55 ひでえ内容とコメントw -- 2010-05-26 08 32 28 ウホッ!!!エグいSSだったな -- 2010-06-02 13 25 11 全てが凝縮されている感じがした -- 2010-06-09 23 14 48 すっきりー -- 2010-06-20 21 13 38 これぞ虐待! -- 2010-06-24 22 37 16 二人の結婚式の話し読みたいです。 -- 2010-06-28 22 21 36 うげぇ。 -- 2010-07-12 00 07 34 面白かった 何だかんだ言ってお似合いのカッポォーですな それにしても赤まりさの我が儘振りには思わずぶっ潰したくなってしまった、お前の所為で親が苦しんでるだろうがよ!w -- 2010-07-12 01 24 05 赤ゆは苦しんで死ぬためにうまれてくるんだね。 -- 2010-07-28 02 57 50 HENTAIお姉さんと虐殺お兄さんですな -- 2010-08-03 14 37 13 ↑ここではこれが普通。お前が狂人w 満足! すっきりーwww ただ自分で潰したいwww -- 2010-10-11 18 13 31 あれ、結婚できなくなるかと思ったのに意表を突かれたぜ… お食べなさいをすれば、意趣返しできたのになぁww -- 2010-10-12 19 21 26 とてもゆっくりできました! 確かにお姉さんの言うようにあっさり潰したら勿体無いですよね 徹底的に追い込んで心を砕かないとw ただお兄さんの赤ゆの「ちゅっ、ちゅぶれりゅ!」を我慢出来ずに 一気に潰しちゃう気持ちも分かりますけどねw ともあれ夫婦で共通の趣味を持てる事は素晴らしい事ですね 人に言えない趣味ですとなおさらですw -- 2010-11-11 23 02 12 前編で、アンチ虐待と結婚しなくてよろしいと書き込みかけたけど安心しましたwww 二人に祝福を。 ゆっくりにZETUBOUを。 -- 2010-12-18 21 28 50 「ちゅっ、ちゅぶれりゅぅぅ!」と言われて潰さないのはもはや失礼に値する。 -- 2011-01-09 19 32 50 ゲームの理由はこれか…… -- 2011-04-27 22 09 08 面白いねー リアルだねー 作者はリアルに虐待経験あるねー -- 2011-07-05 22 45 08 HENTAIお姉さんて、いいよね -- 2011-09-07 02 22 41 つい先ほど前作の方でお姉さんをゴミを可愛がる異常者と書いてしまったが前言を撤回させてくれ このお姉さんは常識人なうえに自分の中に確固たる芯のあるとても素晴らしいお姉さんだよ。 -- 2011-11-04 17 33 47 正直なところ、なんか雑な虐め方する男だなあと思ってしまったがオチで納得。 虐殺お兄さんと虐待お姉さんのカップルだったんだね。 -- 2012-03-25 20 11 13 か カップルでしたか・・・俺も非常識 とか書いてしまいました。すみません。 -- 2012-05-05 00 18 07 この二人のガキが誘拐されて虐待されて殺されればいいのに -- 2012-09-21 23 12 51 ↓アンチさんはこないでねー、わかれよー -- 2012-09-27 22 40 56 後日、アンチは内臓ずたずたにやられました -- 2014-05-03 02 29 18 確かにただ闇雲に潰すだけでは三流と言われても仕方ないかもしれんな・・・ -- 2014-06-05 17 32 40 結婚おめでとう -- 2019-03-31 22 20 30 ありがとうございます😊😊😊 -- 2019-05-27 17 50 38 うるさい!死ねば? -- 2019-05-27 17 51 40
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どうすればいいのだろう 作、 茄子 まりさは苦悩していた。それは 『赤ん坊』だ、親を馬鹿にしているのだろうか 自分のいうことをまっったく聞かない どうすればいいんだろう、れいむも話を聞かないし… 「いい!?おとうさんのまねをしてするんだよ!みてて!」 そう言って親まりさは肛門を地面に触れるか触れないぐらいに 近づけて、『うんうん』をした、これが正しい『うんうん』の仕方 「おとーしゃん…なにうんうんしてるの?ばきゃにゃにょ? こどみょにきょうもんみしぇてはずかしきゅにゃいにょ? しゅーちぷれいにゃにょ?」 「みょういいよみゃりしゃ、うんうんとうちゃんはほっといて ごはんしゃんをたべようよ」 「…ッ!!」 これだ、こうやって親の話を聞かないのが悩みなのだ しかも妻のれいむは… 「さっさとかりへいってこいッ!!!」 どうすればいいんだろう… 「ごはんしゃんもたべたしうんうんしゃんをしゅりゅよ!!」 「しゅりゅよ!!」 果たしてちゃんとできるのか親まりさはどきどきして見守りました 「うんうんしゅりゅよーーーっ!」 赤まりさはひっくりかえりながらうんうんをしました 案の定顔にうんうんが付きました 「ゆっぴゃあああ!!くしゃいいいい!!!」 隣では赤れいむがうんうんにはまっていました、 どうして… 「うんうんくしゃいいいい!!!!」 「ゆぴゃあああああああああ!!!」 「しょうがないね、ちゃんとまりさのを見てなかったから こうなったんだよ!!」 そう言って親まりさは赤ゆ供をぺーろぺろしました 所が、 「なにきょどものうんうんしゃんにゃめてりゅの?」 「しょんにゃにりぇいむのうんうんしゃんにゃめたいの?」 「ッ!!」 さすがに親まりさも堪忍袋の緒が切れたようです 刹那、親まりさが赤ゆを突き飛ばしました、 「「ゆっぴゃああああああ!!!」」 「にゃにしゅりゅにょおおおおお!!!」 「しどうだよ!おやとしての!!!」 「ふざけるなあああああああああアッ!!!」 なんと親れいむが親まりさに向かって タックルをしたのです 「ゆべえええええええええ!!!!」 「なにがしどうだよ!!このこたちは こどもなんだよっ!!おやなんだから なんだっておしえなきゃいけないんだよっ!! じっくりじっくりとね!!! まったくこれだからまりさはだめなんだよ! かりしかのうがないくせに!!! だめおや!ぎゃくたいちゅう!! このくそあんっこさんがああああああああああ!!!」 すると、まりさの頭の中で何かが 『はじけました』 なやむ?どうすればいい? そんなのかいけつするのはかんたんだ それはっ… 「ゆっぎゃああああああッ!!!!」 「れいむがいけないんだよ!!!」 まりさは帽子に隠していた『棒』を れいむに突き刺しました 「いだいッ!!はなぜっ!!!」 「ゆははははははハッ!!!」 まりさは口を一の字に振りました するとどうでしょう、 綺麗にれいむの体が一の字切れたではありませんか 「ゆぎゃああああああああッ!! くそでぃーぶいがああああ!!!」 「くるしまくるしめくるしメッ!!!!」 まりさは踊っていました、れいむも踊っていました それは『死の踊り』あんこが飛び散る、踊りッ!!! 「ゆはー…ゆはー…」 「…………」 ペースト状になったまりさはものすごい快感におぼれました それはカタルシス、あぁ、また味わいたい、 まりさは後ろを向きました、そこには おびえている2匹の子供、 「おちびちゃん…」 「「っぴぃッ!?」」 赤まりさのはらからちーちーがでてきた 「おもらししちゃだめだよぉ 『掃除』しなきゃねッ!!」 親まりさは赤まりさの髪をくわえて ちーちーした場所に叩きつけました 「こうやってッ…そうじッ…するんだよッ!!!」 親まりさは赤まりさを地面に8の字の形に 擦り付けてました、 「ゆぴゃあッ!!やべッ!!やべでッ!!」 「だめだよ!じぶんがしたことは じぶんでかたづけなきゃねっ!!!!」 ぶちゅ… 「あはははっはああああああああ!!!」 又、この世のものとは思えない快感に 酔うまりさ、 解釈 きゅりゅってるよ!? (くるってるよ!?) にゃんであのばきゃおやはみんにゃを (なんであのばかおやはみんなを) きょりょしたにょ!?つぎはりぇいむのばん? (ころしたの!?つぎはれいむのばん?) きょろしゃりぇるの?あのばきゃに!? (ころされるの?あのばかに!?) その時、赤れいむは思い出した 親まりさの後ろからタックルして ぼろぼろにしたことを… しょうだ…りぇいむはあいつに (そうだ…れいむはあいつに) あんなきずをおわしぇたんだ!! (あんなきずをおわせたんだ!!) ほんきでやりぇばきゃてる!!! (ほんきでやればかてる!!!) 正直都合のいい妄想ですけどね まだ、まりさは快感の余韻に 浸っている、 赤れいむはまりさの後ろに回り… タックルッ!!!!! 「ゆふん!!りぇいむのすとろんぐたっくる!! いたしゅぎてちにぇ!!!!」 「…にげればいいものを…ほんとばかだね」 「ゆ?」 ビリリッ!!! 赤れいむの自慢の髪飾りが破れた いや、破かれた、まりさは、知能を得たのだ、 『ゆっくりを殺す知能!苦しませて殺す知能!』 「ゆわあああああ!!りぇいむのじみゃんの きゃみかじゃりいいいいいい!!!!!」 「ゆふふふ…もっと苦しませて、殺してあげるよ!」 知能も得たのだ ぶちゅ しゅみましぇん ぐちゅ やめて ゆるちて どちゅ ゆっぴゃあああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああ あああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 「まだ、味わいたいこの感覚に」 まりさは群れへいどうしていったのだ